第7話 抜け落ちる

 ボロッと爪が抜け落ちる


 醜く荒れた指の先

 紫に変色した指の先


 根元から抜け落ちた爪が絆創膏にぶら下がる


 白く…黄色く…歪んだ爪

 痛みすら無く


 そっと触れてみる

 ブヨブヨとした皮膚と違い

 半端に硬い僕の爪

 歪んで変色した僕の爪


 これは僕だ


 半端に硬い僕の夢

 歪んで変色した僕の夢


 歳重ねる毎に歪んで小さくなって…色褪せる


 取れてみて解る


「何のために付いていたのか…」


 取れとも違和感すら感じない


 あってもなくても困らない

「これが僕の…夢…」


 それがオマエだ

 これがオマエだ


 ぶらさがった爪が、せせら笑う


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