第8話
高校卒業後は、とりあえず公務員になった。
公務員になりたかった訳じゃないけれど、公務員なら文句を云われないだろうと思い、試験を受けた。
五年間公務員を続けた。我慢して実家に住み、お金を貯めた。
このタイミングで転職をした。今勤めている会社に採用された。
親は「公務員以外なんて無いよ」などと云っていたが、地元ではそこそこの企業だったので、公務員時代より給料がアップした。
念願だった一人暮らしを始めた。
けれども物理的に離れただけで、根本的な解決にはなっていなかった。
負のエネルギーを使うので、何かを成し遂げなくてはならないと思った。
自分の中から感情が溢れてしまいそうだったので、とにかく文章を書いた。
一人暮らしにより、家事は全て自分がやる。時間がどんどん無くなっていった。
生活費も自分で出すので、お金もどんどん無くなっていった。
けれども実家に戻ると何をしていても文句を浴びせられる環境に戻ってしまう。
そこには戻りたくないので嫌な仕事にも耐えた。
仕事を失うと実家に戻らなくてはならなくなるので、必死で仕事を覚えた。
一年程経つと、階級が一つ上がった。
けれども相変わらず何をしていても、私は他人の目が気になる。
毎日毎日、自分の本音を語る事無く、穏便に過ごす。
誰の目にも止まりたくない。
家族の話題を、笑いながら話す人を見ると胸が苦しくなる。
私はそんな風に、出来ない。
私がこんな思いをするのは親のせい、家庭環境のせいだと思うと悔しくなる。
何で私だけがこんな思いを抱えなくちゃならないんだろう。
同時に、いつまでも親と環境のせいにしている自分が気持ち悪い。
人のせいにして、自分の力で打破出来ないと叫んでいるようだ。
いつも同じ思考が頭の中を回る。
いつもいつも同じ事を考えている。
いつまでこうなんだろう。
〇●
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