第7話

                 〇●


 私は東北の片田舎、経済状況は中の中の家庭に生まれた。

 家族は両親と、兄が一人。

 両親は、普通の人間だと思っていた。二人とも会社勤めをしていて、家計に余裕がある訳では無いが、借金も無い家だと思っている。

 自分が周りと違うと思い始めたのは、小学生の時だった。


 休日や夏休みに、同級生は家族連れで外出をするらしい。

 私の家でそういった事はしない。

 同級生の食事風景は、家族が揃ってごはんを食べるらしい。

 私の家では、皆バラバラにごはんを食べる。

 父親は晩酌から始まり、異様に晩ごはんの時間が長い。

 兄は基本的に早食いで、気付いたらいない。

 母親は後半になってから現れて、少量のごはんを食べる。


 私は部屋にごはんを持って行き、一人で食べる。

 幼少時代から、食事中に父親の文句と罵声が飛び交うのが日常だった。

 嫌だなぁと思いながら、何処の家でもこんな感じなんだろうなって思っていた。

 けれども同級生と会話をしていると、家がちょっと変わっているという事に気付いた。

 気付いても、何だか恥ずかしくて、打ち明けられなかった。

 同級生が「うちのパパむかつくの!」などと大声で云っているのが羨ましかった。

 家族の話題など、したくもなかった。


 ある日同級生がこんな事を云った。

「家は人数が多くてややこしいから、私は部屋で一人で食べている」

 これを聞いて私は、そういう手もありかと思い、実行した。


 ここから少し、変化があった。家族の不仲はどう見ても変えられないものなので、そういう事なんだと思い受け入れた。

 そして、負けられないと思った。このうるさい両親に。

 負のエネルギーをバネにする。

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