第9転 分析完了
「ん んん!?ルルン!そのペンダントは!?」
「えっこれは小さいころにお母さんから貰ったものでずっと身につけてるの」
ウィルフは目を輝かせながら
「良ければ手にとって見せてもらっても良いだろうか?」
「え うん どうぞ」
そっとペンダントを受けとるとウィルフはまたボソボソと一人言を始めた。
「信じられない だけどそれ以外に…これならば…」
あまりの集中ぶりに店員が支払い方法を聞きに来たことさえ気づいてなかった。
「あぁ すいません この
そう言って肩からかけた小さめのカバンからカードを取り出して渡した。店員は一瞬驚きながらもカードを持ってカウンターへ戻っていった。カウンターから声が聞こえる。
「盗難捜索番号に照らし合わせましたが届けはでてないようです」
戻ってきた店員が確認した。
「お客さま大変失礼ですがこちらのカード発効国とお名前を伺って宜しいでしょうか?」
ウィルフは大きくため息をついて
「エルフ王国 ゼカ・ウィルフだ」
「大変失礼致しました カードをお返し致します またのお越しお待ちしております」
ルルンもジンユもそのやり取りを見てウィルフが幼女にしか見えないことから店員が疑ったのではと思ったが半分正解ってとこだった。
「ありがとうございました~」
その声を背に公園中央にあるベンチへと歩いていく。そしてウィルフはペンダントをルルンに返すと興奮を抑えながら言った。
「ルルンこれは素晴らしいペンダントよ 何度か実物を見たことはあるがこれほどの物は初めてよ」
ルルンは目を丸くして?といった表情で聞いている。ジンユに限ってはもはや空気か?と思うくらい静かだった。
「この石の名は数多くあるけども集心石 集魔石、合心石、主にそう呼ばれる物だ かつて人間の先導者が持っていたとされる物と同じ物だ」
「あれ?たしかジスさんも同じ事を言ってました」
「ジス…あの従者か随分と見識が高いな」
ウィルフは一呼吸置いてから続けた。
「この石は相性が非常に大事で合わない者が持っていても只の石ころなのよ けれど相性が良いものが持つと素晴らしい魔道具となるのよね」
ルルンもジンユも真剣に話しを聞いている。
「かつての人間も平和を求めてる人達の心のエネルギーをこの石に溜めて魔界へと交渉しに来たと言うわ ルルンはこの魔石を使用出来たことはある?」
ルルンは1度だけペンダントが光ったことや魔力を吸収したこと。そして自身の服装が変わったこと、時間と共に戻った事と状況を説明した。
ウィルフはうつむき少し考えた後言った。
「状況から察するに変身能力や魔力具現化能力っぽいな 今使えないか試してみてもらえないか?」
「私ももちろん魔力変換したいのだけど1度っきりで学院でも上手くいかなかったの」
ウィルフはぽりぽりと頭を軽く掻いて言った。
「1度だけってのがまた実に分かりやすくて良いな 要はその時と同じ気持ち 状況を心の中で作れば良いわけだからね 1度でも魔力を吸収されたのであれば適性ありよ 自信もってやってみなさいよ」
「そっか そうだよね う…うん やってみる!」
目を閉じて集中し始めるルルン。見守る二人。ルルンが目を閉じてから5分は経っただろうか、あるいは10分以上だったかもしれない。ルルンの魔力が魔石に吸い込まれていき薄いオーロラのような膜がルルンを包んだ。次の瞬間ルルンの格好がウィルフそっくりに変わっていた。
「できた!できたよ!ウィルフ!」
「だけどなんでまたウィルちゃんそっくりに変身したんだ?」
ジンユは二人の格好を見比べる、多少のデザイン違いはあるけどもそっくりであった。
ルルンは少し興奮気味に
「あの時のクルの隣にいた人のイメージが上手く出来なかったからウィルフをイメージしたの 」
だってウィルフの方がインパクトあって可愛くてよっぽと驚異に感じたもんと言いたかったがそこは言わなかった。
「なるほどね ルルンの魔石の魔力変換効果が見えてきたわ これは変身魔法に見えるけどさらに上位魔法だね」
ルルンは言葉少なめに
「変身魔法って言っても服装だけだから変装魔法とかじゃないの?」
ウィルフは首を横に振り自信をもって言い切った。
「これは属性変換魔法で間違いないわ」
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