第5転 100%エルフ ゼカ・ウィルフ登場

「おっはよー!」


バンバンと肩を叩き挨拶するとすぐさま返事が返ってくる


「あぁーレドか おはよおはよ」


眠そうに返すのは友達の魔人男子バンプ・ジンユだ。背丈はクルとほとんど変わらずだが性格は社交的で誰とでもすぐ仲良くなれるおしゃべりマンだ。私の視点からだけどね。


毎朝の通門ケルペロチュと挨拶を交わして中等部に向かう。ルルンがジンユに


「私もしかして魔力変換できたかもなんだ~お先に高等部行っちゃうかもねん」


そんなルルンを見てジンユは髪をいじりながら全くの悪意なく


「へーへーそりゃよござんすね! 早いとこ愛しのケイメン様に毎日会えるように頑張ってくだせー」


「はぁ!? なにその言い方!愛しのケイメンだなんて…」


ジンユは思った。ツッコミ所がそこかよ!と。だが頬を赤らめるルルンを見てジンユはツッコミではなく


「そういや昨日からだっけ?ケイメンの嫁探しってやつ」


ルルンは少し表情が硬くなった。


「そうなんだよね…今日も学院後に様子見に行ってみるけど…」


ジンユはルルンを応援したい気持ちなのだがケイメンの事を思うと少しばかり悩んでしまうのだった。


「もしなんだっら俺も一緒に行ってみようかなぁ~」


いつもなら二つ返事で断られるのだがルルンも気弱になってるのだろう。


「そうね バンプでもいてくれたら多少気楽になるわね」


「多少っすか!まっいいけどねっ!」


二人は約束を交わしてそれぞれのの学科をこなしていった。ルルンは先生の前で魔力変換にチャレンジするも何も起こらずに普段道理の魔力操作で終わった。

ジンユも同じく魔力変換が出来ず基本的には魔力操作の毎日のようだった。


「終わったのね! さっ急ぐわよ!」


門犬ケルペロチュの近くでジンユが出てくると同時にルルンが発した。


「そーいえばクル今日は見てないけども全く学院にこなかったのかなぁ」


ジンユは両手をサッと上げて俺も知らないよと言わんばかりのジェスチャーをとった。二人は学院を後にし、真っ直ぐにクル家へと向かった。学院からクル家までは徒歩ならば30分位なのだがルルンが足早になっていたためわずか20分ほどで到着した。

公募の影響であるのは一目瞭然なほどに執事やメイドが走り回っているのが見える。


「うわぁ~これってクルに会えない感じじゃね?魔病院の待合室ばりに混雑してんじゃん」


「うん…どうしよう」


二人が忙しそうに動き回る使用人を見渡してるときに後ろから声をかけられた。


「あの~」


振り替えるとそこには小柄で綺麗な銀髪の女の子が立っていた。服装は上品に見え、白と緑のチェック柄のスカートが印象的だ。一目でルルンは可愛いお嬢ちゃんだなと感じ、子供に接するように


「どうしたのかなぁ~お姉ちゃんでよかったら力になるからね~」


ピキッ


「この子公募参加者の妹さんとかかしら」


ピキッピキッ


「いやいや、だとしたらお姉さんも公募来るような年齢じゃないだろうから未亡人子連れとかじゃね?」


ピキッピキッピッキーン!!


「ちょっとあんたたち!ケンカ売ってるの!?もしそうなら今すぐ買ってあげるから!」


突然の剣幕に二人は驚ろき顔を見合せ確認した。


「まさか参加者ですか!?」


「はぁぁぁぁ!? まさかって何よ!まさかって!? いいわ よくお聴きなさい!」


そう言い放つと同時に右手で長い銀髪をかきあげた。二人はその時にエルフだと初めて気づいたのだ。エルフは特有の長い耳を持つ種族だ。中には羽まで持つものもいる。だが彼女の耳は形こそエルフの耳なのだが大きさは魔人や人と変わらない大きさだった。


「私は100%純血のエルフ ゼカ・ウィルフよ!」


シーン 少しばかりの静寂が辺りを包んだ。

























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