第3転 絶望開始と希望開始

「レド様もお見合いに参加してみては如何ですか?」


ピクッ ルルンが反応する。


「私もですか?と言うより私なんか参加できるんですか!?」


ルルンは恐る恐るながらも力強く聞いた。


「もちろんでございますレド様。このお見合いの公募には絶対条件がありません。先代の奥方様も公募にて知り合いに成りまして今のケイメン様がおられるのです」


立て続けにジスは顔色ひとつ変えずに


「それとレド様もすでに学院中等部にて成績を修められてると聞きます。よろしければそちらのペンダントをお貸しいただけませんか?」


ルルンは誰に聞いてるの?と素朴な疑問となぜペンダントを?と思ったがクルが絶対の信頼を寄せるジスにそれ以上の疑問を抱くことはなかった。


「どうぞ…昔は綺麗な赤色の石だったんですけど…」


と首から外しジスに手渡した。ジスは内ポケットから布を取り出すとその場でペンダントを磨きながら魔力を取り除いてるかのようだった。


「あの…」


言いかけたルルンにジスはそっとペンダントを渡し表情ひとつ変えずに


「レド様が幼くまだ魔力操作すらできないときにこちらのペンダント絡みで少々危険な出来事がありましたので、勝手ながら私が目立たぬよう封印細工しておりました。今のレド様ならば問題なく使えると思います」


ルルンは記憶の中で多分あのときかな?って位にしか思い出す事が出来なかったが、さしあたってペンダントがどのような使用効果があるのか気になった。


「ジスさん このペンダントってどういった使用方法があるんですか?」


ジスは顔色ひとつ変えずに


「私が知る限りではそちらのペンダントは想いを集積する魔道具かと。かつて戦争が絶え間無く続いていた時代に人間の勇者が身に付けていたものかと思われます。」


想いを集積する…ピンとこないルルンはとりあえず魔力を注いでみることに。あれ…魔道具なのに魔力を注げない…それを見ていたジスが


「どうやら使用選択型ではなく発動条件型のようですね」


ルルンは少し考えた後に、今はこんなことよりもクルのお見合いの事を考えなきゃとハッとする。


「ジスさん!クルに今から会いに行っても平気ですか?クルも急な出来事で混乱してるんじゃないかなって思って…」


ジスは一瞬の間を置いたがすぐさま


「大丈夫ですが、既にお見合いが開始されているとのことですが構いませんか?」


構うに決まってるでしょうが!!と心でツッコミを入れつつも


「とにかく向かいましょう!」


「かしこまりましたレド様」


魔馬車にジスが魔力を軽く注ぐと凄まじい速さでクル家に向かった。ギュカカッ!まずクル家敷地内には割りと速く着くのだがそこからさらに移動が待っている。


「こちらのようですレド様」


ジスが案内する先に、開けた庭園の池の前にてクルと笑顔で話しかける女の姿が見えた。あれ…思ってたよりクル…楽しそう…美人な人だ…クルの隣はずっと私がいたのに…そこは幼なじみの特等席だったのに!そう強く思った瞬間ペンダントがルルンの魔力を吸い込み赤く光を放った!


「え、ちょっと何がおきたの!?」





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