第6話 ようやく到着した敵

「マダム・ガミーヌ様、今日の日にぴったりなコーディネイトが決まりましタ!

ラッキーカラーのピンクを中心にしたコーディネイトを3パターン、ご提案いたしまス。

今の気分で選んでくださいネ。どのコーディネイトもマダム・ガミーヌ様が86時間前に施術されたキュートなマニュキュアとも相性抜群ですヨ」


パワフルジョーズが仕事を完了…

つまり床に散乱したゴミと一緒にマダム・ガミーヌを全自動リサイクルシステム付きのダストシュートに放り込んだその時、電子レンジが3度目の警告を出した。


「飲み物が冷めてしまいましタ。温度を設定し直してもう一度温めなおしてくださイ」


すかさず『みはるくん』が答える。


「マダム・ガミーヌ様の現在の体温は36.3度…平熱でス。しかし脈拍と脳波に異常が…」


と、その時、ついに、救急隊員を2名と運転手1名が乗った救急車が到着した。

「ガミーヌさん、ガミーヌさん、いらっしゃいますか?」

防護手袋をはめたチャイムを連打する。



「マダムガミーヌはまだどなたともお会いになりません。どうぞお引き取りください。」

訪問客に強引さにいささかムッとしたドアを管理する『マジカルキー』が慇懃に対応する。そう、仕事熱心な彼はマダム・ガミーヌから午前10時までの早朝と午後9時以降の深夜は何人たりとも取次をしてはならぬというモード・ドントディスターブを仰せつかっているのだ。


しかし敵も慣れたもので、インターホンにある認証センサーにかかりつけ医認定カードをかざして『みはるくん』に扉を強制解除させた、急いでいるので『みはるくん』と『マジカルキー』の間にどんなやりとりがあったかは割愛させていただく。


ドアが開くなり救急隊員はドッとばかりにマダム・ガミーヌの城にズカズカと踏み込んだ。

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