第3話 『みはるくん』のアドバイス
『みはるくん』はライフサポートシステム。マダム・ガミーヌの一人娘であるミズ・コレリックが高齢の母親を思いやって取り付けたものだ。
186歳とはいえまだまだ若々しい気持ちでいるマダム・ガミーヌは、ミズ・コレリックの提案に「自分を老人扱いするのか」と憤り、初めは強い懸念と難色を示した。
しかし、ミズ・コレリックの15年にわたる辛抱強い説得に押し切られる形で渋々このシステムを家に取り付けることになった…という経緯はさておき。
ミズ・コレリックが力説するには、『みはるくん』は最先端の体調管理システムで、手首につけたバングルを通して、体重から脳波まで、マダム・ガミーヌの体調に関わることすべてにわたって監視してくれる。
もちろん緊急時には真っ先にかかりつけの紫煙クリニックとミズ・コレリックに連絡を取り付けるよう設定されている。そしてそのアドバイスはいつも的確だ。
さて、『みはるくん』はさらにバングルをチカチカ光らせてマダム・ガミーヌの体調をざっと検分し、そしてマダム・ガミーヌに向けて的確にアドバイスをした。
「マダム・ガミーヌ様、体調不良のサインがでていまス。
速やかに病院で診察を受けることをお勧めしまス。
ミズ・コレリック様にも早急に連絡を取ることをお勧めしまス」
「承知しましタ。ミズ・コレリック様への連絡を発信中……しばらくお待ちくださいイ」
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