#04「暴かれる謎」
島津蛮のマンションを出た正宗は、急ぎ携帯で連絡を入れた。
『あやとり』
「正宗です! 妖魔の移動方法が分かりました!」
『落ち着いて。妖魔は、どうやって移動しているっていうの?』
「さっき行った漫画家が襲われた部屋は、完全な密室でした。
ドアには三重ロック、窓は分厚い上に閉め切っていた。蟻の子一匹――下手な忍者なら侵入出来なさそうなほどの密室だった。
だが、一か所だけ抜け道があった。
『水道管……?』
「彼女の部屋にはキッチンがあって、当然水道管も通っていた。妖魔はその水道管を使って侵入したんだ!」
『では、これまでの被害者達にも?』
「道路なら地下に下水管が通っているだろう。トイレで襲われた美術鑑定士は、トイレの水道管から、だ」
『なるほど。繋がりましたね』
「とは言えどうします? 妖魔が下水は水道管を移動しているのなら、二人で探すのは困難です。応援を呼ぶしか――」
『いえ、それには及びません。明日襲われる人物が絞り込めました。その人物の周りで、水道管に注意すれば――妖魔を、おびき出せます』
「妖魔のターゲットが誰か分かったんですか?」
今までの犠牲者は野球選手、陸上選手、香水ソムリエ、美術鑑定士、そして漫画家。
まるで共通点が無い。
『共通点がありました。彼らは、テレビ番組で紹介されていたんですよ。
水曜日夜八時からの番組。"若き才能ショー!"っていう各業界の期待の新人を紹介する番組でした。
その番組で紹介された人物が、その翌日に妖魔に襲われていたようです』
「それはつまり――妖魔がテレビを見て、犠牲者を決めてたってことですか!?」
『現状を見るに、間違いないかと。そして、先ほど今週の"若き才能ショー"が放送されました。紹介されたのは、料理人の矢切えりか。おそらく、彼女が――』
「次の、犠牲者」
『早急に連絡を取ります。貴方は戦闘準備を整えて、はの四十五地点で待機をお願いします』
「了解」
携帯を切り、正宗は夜の街を走り始めた。
夜空は暗く、月は見えなかった。
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