第16話 本人がガン見してても盗撮は盗撮、許可が無いとボコられる。
無事全試合が終わり、閉会式が行われている。 それは簡単な物で、直ぐに終わる物だった。 そして今は、マリーヌ様が閉めの挨拶を始めようとしている。 この挨拶が終われば全て終了だと聞いている。
「さて皆さま、無事トーナメントも終わり、第一競技が終了しました。 これから第二競技が始まるのですが、残念ながら帝国組は負けが決定しました。 今後もまた精進を重ね、次回にその力を発揮してください。 それでは地図を配るので、各国の代表選手は、運営のノアさんから受け取ってください。」
「え?」「あぁ?」 「あららー?」「・・・ふう。」
あの試合で終わりだと思っていたのだが、まさか次があるとは思いもしなかった。 いきなりそんな事を言われても、ものッッすごくやる気が出ない。 マリーヌ様、出来ればめんどくさく無さそうな物にしてください。
各国に地図が配られている。 俺は隊長に背中を押され、ノアさんからその地図を受け取った。 俺はそれを広げてみるのだが、どうもこの行く先は、町の外に行かなければならないらしい。 この場所に到着した者が優勝とかそんな感じなのだろうか?
「さて、各国の選手に行き渡った所で、早速ルールの説明をいたしましょうか。 各国一チームとし、地図に描かれた場所を目指してもらいます。」
お、やっぱりそんな感じか、だがそこに行くだけなら俺達の勝利は間違いない。 馬を使わずとも空を飛べるし、魔物にも遭遇せず楽に到着出来るだろう。
「その地図に描かれた場所には洞窟が存在しています。 その内部には無数の魔物が犇めいているので、それを殲滅して先に戻って来た者が勝利となります。 そして不正を防ぐ為に、各国には一人同行者を付けて貰います。 その同行者に大怪我を負わせたり、万が一死なせる様な事があれば失格とします。 ・・・・・では各国準備が整いしだい、順次出発しなさい。」
・・・・・なんだか想像したよりも随分大変そうだ。 同行者が居るとなると、空を飛んで行くのは無理だ、やっぱり馬を借りるしかないな。
俺達に同行する人物を待っていると、運営のノアさんがやって来た。 同行するのはノアさんらしい。
「あ、バールさん。 私が同行しますので、どうぞよろしくお願いします。」
「あ、ども。 それでえっとノアさん、ちょっと疑問な事があるんですけど。 この会場から出てしまったら、お客さん達には見る事が出来ないんじゃ?」
「フフフ、それは大丈夫です、我がブリガンテが生み出した新魔法をお目に掛けましょう! さあ刮目して見てください! これが我々の新魔法です!」
会場の真ん中に現れたスクリーンと言う物に、俺達の姿が映し出されている。 これはかなり便利だ、こんな物があれば他国との連絡も用意に出来る。
「ほう、こいつはすげぇな。 ノアさん、これはどんな組み合わせで作り出した魔法なんだ? ちょっと俺達にも教えてくれよ。」
隊長が仕組みを聞いているが、新技術をそうポンポンと教える馬鹿は居ないだろう。 そう俺は思ったのだが、ノアさんは隠す積もりもなく、それを気前よく教えてくれた。
「構いませんよ。 この魔法は光の力をベースにして、闇、そして火と水と風の力を使います。 同行する私の目を通して、このスクリーンに映像が出力する仕掛けになっております。 どうでしょう、凄いでしょう。 これは革新的ですよ!」
教えてはくれたものの、五属性縛りとなると、そう簡単には使えるものではない。 一般的に魔法を使える者からしてレアなのに、属性を多く持つ者はもっとレアだ、王国内でも三人居れば良いぐらいじゃないだろうか。 まあ使える事は使えると思うが、一般的には普及出来ないだろうな。
そんな映像魔法だが、今会場は凄く盛り上がっていた。 スクリーンに映し出された映像はに、ある人物のおっぱいを映し出している。 それが誰かと言われれば、俺の隣にいるフレーレのものだ。
「へ~、面白いわねー、でもなんで私の胸ばかり映ってるのかしら? どうしてかしらー? 何か理由があるのかしらー? ねぇ、教えてくれないかしらノアさん? ねぇどうしてなの?」
「・・・・・の?」
笑顔だが二人の目が笑っていない。 エルは見られていないというのに、まさか見られなかったから怒っているのだろうか? それはちょっと理不尽だと思いますよ。
「と、特に理由はありませんよ、ちょっとした確認の為です、出っ張っている物とかどう映るのかと思いまして。 ・・・・・すいません、煩悩に負けただけです・・・・・。」
「そうなのねー、じゃあ次見たら腕にしっぺしてあげるわー。 だからちょっと覚悟しておいてね?」
シュピュンシュピュンと、フレーレが素振りをして、エルの体から炎が立ち昇っている。 指の動きから腕の動きまで幾つもの残像が見えている。 その風圧だけで威力が予想できる。 当たったら腕が千切れ飛びそうだ。 失格になるかもしれないけど、この二人ならきっとやるだろう。 ノアさん、死にたくないなら止めた方が良いぞ。
「はい、二度と致しません・・・・・。」
「んじゃボチボチ出発してぇんだが、足とかはどうするんだよ? まさか自費で出せっていう訳じゃねぇだろ?」
「はい、マリーヌ様から会場の外に馬が用意してあると聞きました。 それを使って目的地に向かうとしましょう。」
「うっし、出発するぞ。」
俺達は会場の外に出て馬を手に入れた。 しかし何というか、他国との差が酷い。 他の国は四頭立ての馬車だというのに、此方は裸の馬が五頭。 いや、これ馬じゃないな。 良く見なくてもロバだこれ。 優勝した俺達には、これもハンディとか言うんだろうな。
因みにロバの速度は全速で時速五十キロぐらいで、馬との差は二十キロもある。 しかしただ歩かせるならそれ程の差はないだろう。
まあトーナメントでも優勝したし、今更負けたとしても別に構わない。 きっとイモータル様も許してくれるだろう。
他のチームも次々と出発しているのだが、各国とも同じ場所ではないらしい。 選手が乗った馬車がバラバラに分散して行く。 俺達もそのままロバに乗って、指定の洞窟へと向かった。
指定された場所には三時間程で到着し、今俺達の目の前には大きな洞窟が見えている。 洞窟、というより、地下に続く遺跡の様な物、と言った方が良いだろう。 この中からは無数の気配と、血の臭いが溢れ出て来ている。
「行くわよエルちゃん! 何方が多く倒せるのか競争よ!」
「・・・・・まけ・・・ない!」
作戦さえ決める事無く、女二人が突っ込んで行った。 それを追って隊長も追い掛けて行く。
「おいテメェ等ちょっと待てやコラ!」
「ちょっと、作戦ぐらい立てた方が良いんじゃないですかね隊長!」
「あいつ等に言えや!」
「行きましょうノアさん、置いて行かれてしまいますよ!」
「分かりました。 では王国の力、とくと見せてもらいますよ。」
やっぱりノアさんも俺達の力を測ってるんだなぁ。 まあ良いか、そういう事は隊長に任せるとしよう。 俺が気にすることはないな。
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