第10話 ~トラウマ~
意識が戻り、口に布を当てられ騒げないようにされている状態に気付き
次は辺りを見渡そうと目を開けようとすると
目隠しをされているのと、腕や脚を縄で縛られているのか全く動けない事が分かり
私はあきらめるしかない事を悟った。
どこかへ移動している最中なのか幾度か体が振動を受け木の床板に打ち付けられる。
そして、聞き覚えのある声が近くに来て私のお腹を目掛けて強い蹴りを入れ
「おら!起きろよ!朝だろうがッ!!」
と、3発蹴りを入れられ私は痛みに我慢できずむせると、すかさず
「あ、こんなのしてたら昼か夜かも分からねぇか!」
と言ったのと同時くらいで目隠しと一緒に乱暴に髪を引っ張られ
そこに居る人物を見て私は驚愕した------。
ルード・ミーデア・ファース.......先日会ったばかりの方と、
そのそばには彼の執事が控えていた。
「坊ちゃん、そんな乱暴に扱ってしまってはすぐに壊れてしまいますよ。」
執事は止める気がないのか、慣れた光景なのかルードさんを窘めるだけだった。
ルードさんは私の顔を見ながら満足そうに気色の悪い笑みを浮かべ
「ルーシィーちゃんは、今日から死ぬまで俺の別荘地での下僕だから
肝に銘じてねぇ?」
初めて会った時とは別人のようなルードさんにそう言われ私は絶句した。
そのまま私はルードさんの足元に引きずられ身動きが取れないようにされた。
ファース家の別荘地は各地にあるらしく、今回は南にあるウリ島の
別荘に行く予定だとルードさんと執事さんの会話で知った。
ウリ島に着くと脚の縄が外されたが腕の縄と口の布は取ってもらえず、
再び目隠しをされルードさんによって引っ張られどこかに通されると、
首に何かが掛けられ重くなった、肩に5年前の………忘れていた過去の傷が、
記憶が甦った。
目隠しが乱暴に取られ暗さに目が慣れ辺りが見えるようになると、
辺りに飛び散った血が長い年月を掛けて固まった様な壁や、何かが引っ搔いた様な跡
また、机の上には見たこともない器具。1つしかない血まみれの椅子、
ポツンと部屋に設置された布団は元の布が黄色いのか
何かのシミなのか汚れなのか判別ができない状態だった。
また、部屋の隅に一つだけ見覚えのある焼印があった。
私は手に拘束具を付けられ、部屋の外へ逃げることも抵抗する事も叶わないと知り
ベットに座り心の中でカインとティードを思い浮かべ
半地下にあるらしき部屋に差し込む月灯りを眺めた。
しばらくしてから扉が開き、ルードさんが片手にパンやスープが乗ったお盆を持って現れ
「ルーシィーちゃんおなかすいたよね~俺がちゃ~んと食べさせてあげるからね~」
と言われ安心したのも束の間、
ルードさんは私の口にパンを全て押込み息が出来ない状態にし、
さらにそこに熱々に暖められたスープを流し込まれ
私はむせたのと同時に半分ほど口から出してしまった。
それを見たルードさんは私の顎を持ち上げ
「どーして吐き出しちゃうかなぁ??俺があげたご飯まずかったのかなぁ?
ねぇッ?!教えろよッ!!」
疑問が怒りに変わったのか、お腹に鈍い痛みが走るのと同時に
食べたばかりの物が全て流れ出てしまった。
本当に5年前と同じ様な状態……いや、食事は5年前よりひどいかもしれない。
私は5年前と同じ様に泣いて許しを請うことしか出来ず
1週間が過ぎたー------。
花弁雪(はなびらゆき) よな @pina_pieee
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。花弁雪(はなびらゆき)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます