第9話 ~焦がれたおもい~
ノックされた扉を開きカインを見ると、カインの目には何故か涙が滲み出でいた
私はカインに何を言えばいいのか迷っているとカインが
「私と、一緒に夜の散策に行きませんか?」
と誘われ、二人で夜風に当たり月明かりに照らされたカインを横目で見ると
金の髪が月明かりで光り。
また透明で消えてしまいそうなくらい透き通った肌を際立たせた----。
しばらく歩くと切り株があり、そこに二人で腰かけると
カインはしばらくの沈黙を破り
「本当は執事としてお嬢様に話すべき事ではないのですが、
お嬢様がどこか私の手が届かない所へ行ってしまう前に伝えずに終わりたくない……と思ってしまうほどに私はお嬢様と過ごすうちに
執事としてあるまじき感情を抱いてしまったのです。」
私はカインの胸の内を聞き動揺していると、カインは居心地が悪いのか苦笑いし
「こんな事を話されたところでお嬢様様の今進めてる恋路の横恋慕ですね。
明日からは、しっかり執事として振るいますのでどうか………今だけは
少しお嬢様の優しさに甘えさせていただいてもよろしいでしょうか?」
そう言うとカインは私の肩に顔を預け少し目を伏せ月を見た。
私はそんなカインを眺めながら、
髪と同じ金色の月明かりに照らされ光り輝く長いまつ毛や、
私の頭をよく撫でてくれる手を見て、改めてカインとティードは男性であり、
また私が、カインやティードに恋をするかもしれないと言う事………
その逆もあるのだと思い知らされた。
しばらくするとカインはほほの熱が引いたのか、冷静になったのか私に手を差出し
「夜風に当たりすぎて冷えてもいけないので宿に帰りましょうか」
と話し私達は宿へ続く道を歩き始め宿屋が近くなった頃カインの手が震え目が宙をさまよい少し置いて何かを決心したかのようにこちらを見て
「お嬢様にもう1つとっても大事な言わなければいけない事があります。
それは私達執事であるカイン・ルシファ・ミリィーと
ティード・ニーア・ティリィートは------」
とカインが決意を決めて重大な事を話そうとした途端宿屋から何かが争う音が聞こえ
会話が中断され
カインは私を大きな木の物陰に誘導し確認して来ると離れて行ってしまった。
私はそんなカインの後ろ姿に伸ばした手を空中に残しカインが伝えてくれた気持ちを反芻し言いかけたことは何だろうと考えていると------
どこからか伸びてきた腕に引かれ、悲鳴をあげる隙もなく草むらに引っ張られ
その勢いで顔に何かの薬品に当てられ聞き覚えのある声が近くでしたのを最後に
私は意識を手放してしまった------。
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