第8話 ~忍び寄る影~



あれから毎月1回カインとティードとピクニックに出かけるようになって、

もう5年が経って私が17歳を迎えると、結婚の申し込みが増え始めたー--。

その求婚状を見るたびにカインとティードはしかめっ面をし

暖炉に放り投げ燃やしてしまおうとするのを止めるのが私の日課になり始めた。


「お嬢様………本当に好きになった方と一緒になってくださいね。」


とカインから耳にたこができるほど聞かされ、

ティードからは


「やっぱりお嬢様の執事でなくなるのは嫌ですね………」


と泣き言を言われ宥めていた。


私は社交界などには出ずに、近くの森林公園にカインとティードと散策に出向いたり

孤児院などに寄付を行ったりと地味に過ごしていたはずが

何故か求婚状が届くようになっていた。

昔、ティディーお兄様が生きていた頃お兄様は


「面倒だと感じるけど、1回は会ってみてどんな方なのか知って、

いい方なら親交を深めてお付き合いして結婚でいいと思うんだ。

でも、ルーシィー以上に可愛い方なんか早々に居ないから僕は困っているよ。」


と、苦笑いしながら話していた。

それを思い返しながら私は、カインとティードに向き直り


「この求婚状の中から適当に選んだ方と1回お会いしてどんな方なのか知って、いい方なら親交を深めていこうと思います。」


と言うと、ティードは驚いたのか一瞬目を見開いたが、何事もなかったかのようにいつもの顔に戻ると、二人は肩を落としながらも

お嬢様がそう決めたなら従います……と渋々納得してくれた。


そして、私は求婚状の中から適当に引いた

ルード・ミーデア・ファースという方と1週間後に首都で会うことにした。



------------1週間後------------



会ってみるとルードさんは気さくな人で、カインとティードが近くに居ても

嫌な顔をせず首都にあまり行かない私達をエスコートしてくれた。

また、首都にある珍しい花を育てている温室や美味しいご飯のお店、カップケーキのお店を周り、辺りが暗み始めると


「もし良ければ、首都にある私の家にお泊りになっていきませんか?」


と誘われ、私は少し考えてから


「好意は嬉しいのですが、それはまたの機会にしようかと思います。

本日はこの様な楽しい場を設けて下さりありがとうございます。

また、郊外でお会いできた際は私がどこか案内致しますね。」


丁重にお断りをして、首都から少し離れた所にあった宿屋キンディノスで

朝を迎えることにした。


そこの宿屋は男女同じ部屋は言語道断!別の部屋!という方針らしく

私はカインとティード二人とは別の部屋になってしまった。


ほぼ毎日カインとティードが手をつないで眠ってくれていたせいか

私は中々寝付けずにいるとカインが扉をノックをした------



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