第6話 ~懐かしい香~

 

呼び鈴がなり驚いていたらカインが来て、私の来客だと教えてくれた。

カインに来客を応接の間に通してもらうと、

ティディーお兄様に似た雰囲気の青年がソファーに腰かけていた。


「こんにちは、お嬢様。

私、ティード・ニーア・ティリィートと申します。

本日はお嬢様の執事になりたくここに参った次第でございます。」


私は、2日連続で執事志望の来客に動揺しつつ

この家の現状を考えカインのほうを見ると

カインは、どうしましたか?といった風にこちらに身を屈めてくれ

耳打ちしやすくしてくれた。


「カインは、この家を今一人で整備したり私のお世話で忙しいと思うんだけど、

ティードさんを増やしてカイン負担になったりしないかな?って………。」


するとカインは、

「教えるのはそんなに負担にならないですし、覚えて動けるようになったら

お嬢様との時間が多く取れるかもしれないですね。」



私は、カインの言ったことを踏まえてティードさんの方に向き直り


「今私の家は執事がカインの一人しか居ないのですが………それでも良ければ

ティード・ニーア・ティリィートさん、どうぞよろしくお願いたします。」


「本当ですか!!

ルーシィーお嬢様の執事になれて大変光栄です。それでは早速………。

お嬢様にお誓い致します。

この私。ティード・ニーア・ティリィート

ルーシィー・フィリップ・ティリィー様を主とし、生涯お仕え致します。」


ティードはカインの時と同じように私の掌に額を当て何か呟いた………。


その直後カインが私に向き直り


「お嬢様、お部屋にお戻りになりますか?

お休みになるようでしたら、ハーブティーを持ってまいります。」


私は、カインも忙しいだろうし部屋に戻ることにしたー--。


部屋に戻りリラックスできるハーブティーのおかげかすぐに眠りに着いたー-……。



ー--


「ルーシィー今日は表情が暗いね………。またお義母様と何かあったんだね。

今日はもう大丈夫だよ。ずっと僕が君といるからね。

安心して眠るんだよ。」


ティーディーお兄様は眠れない時や、中々寝付けない時頭を撫でてくれたり

背中をさすったりして気持ちを落ち着けさせてくれた。


ー--


目が醒めるとティードが私の頭を撫でながら心配そうにこちらを見ていたが

起きたことに気付くと、はっとして


「うなされていて心配になってしまって………

妹がいた際の癖でついつい…撫でてしまい……すみませんでした。」


そう謝るティードを見て私は感じたことをしっかり伝える事にした。


「私にもつい最近までお兄ちゃんがいたのですが、眠れない時よくそうやって

寝かしつけてくていたので懐かしかったです。ありがとうございます。」


それに今日も悪夢を見ずにー--……

どちらかと言うと懐かしいお兄様の夢だったのだー--。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る