第4話 〜ぬくもり〜
目が覚めると、手に暖かな温もりがあり
心配そうに顔を覗き込む青年がいた。
「お嬢様、大変うなされておりましたが、
どこか痛む所などありませんか?
お食事も無理せず、
食べられるだけお食べ下さいね。」
そう言うと青年は、暖かいパンスープを掬って食べさせてくれた。
半分程食べたあたりで
お腹がいっぱいになってしまった為、
残りは夜に出してもらう事にした。
そして、私はずっと聞きたかった事を聞く事にした。
「カインさん、私がこの家の当主と言うのは……なにかの間違いですよね?」
そう聞くと、青年は
「いいえ、貴女様のお父上と継母様は、
つい5日前不慮の事故でお亡くなりになられたのと、お兄様であるティディー様も
1か月程前に亡くなられているので、ルーシィー様が現在
この家の当主となられています。」
簡潔に情報を教えられ、
私はびっくりした……お父様とお義母様が
不慮の事故でお亡くなりに……??
お兄様が亡くなられてから既に1ヶ月も……?
混乱し始めていると青年は
更に申し訳なさそうな顔で
「また、当主である
お父上と継母様が亡くなられた際に生き残っているはずの娘であるルーシィー様が
見当たらないため給与の支払いが無いと執事やメイドは皆
他の家へ行ってしまった為、現在私くらいしかいません。」
そう告げられ
途方に暮れていると青年は
「私は給与等はいりませんので、どうかお嬢様の執事にして頂けませんか?
私はお嬢様のそばでお仕事させて頂きたいのです。ダメでしょうか?」
私が今何も持っていない事を知っているらしく給与は要らないと青年は言い始め、
私もここまで優しくしてくれた青年を追い返す事も出来ず・……
「何もかも未熟ですが、どうぞよろしくお願い致します。
また、給与等は今後話し合って行きたいので……無しは絶対にダメです……。」
と、給与等大事な所はしっかりダメ……と伝えつつ
お願いしますと、言うと
青年ー……カインはとても嬉しそうに
「!!!!お嬢様!!
あぁ!ありがとうございます!
これから心からお嬢様に仕えさせて頂きます!」
そう言うとカインは真剣な顔になり
私の手を取り下り跪いて
「お嬢様にお誓い致します。
この私。カイン・ルシファ・ミリィーは
ルーシィー・フィリップ・ティリィー様を主とし、生涯お仕え致します。」
カインは私の掌に額を当て何か呟いた後向き直り
驚いて固まってしまった私に
この家の設備が脆くなっているところの確認をして来ると言って
私に布団を掛けどこかへ行ってしまった。
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