第16走者 終わる物
16
合宿は終わったと思っていたらまだ、終わっていなかった。
別に他に訓練があると言うことではなく、レクリエーションみたいなものがあるらしい。
そのレクリエーションが何かは聞かされていないが、あると言うことを夕飯が終わった時に8:30からレクリエーションがあることを来我さんから聞いた。
夕飯を7:30に食べ終わり、8:30から始まると言うレクリエーションまで約1時間の暇ができたので俺はある男の元へ向かうことにした。
コンコン。
「入っても大丈夫か?」
「かしこいかわいい?」
「エ●ーチカ」
「よし入れ。」
「なあ、この合言葉やめようぜ。●ちゃんといえばー?にしよ。」
「ダメだ絶対に譲れない。エリ●カこそが至高なのだ。」
「おいおい、黙って聞いてりゃ舐めたこと言ってんじゃねーZO。そら言い過ぎだ。●んちゃんの方がかわいいだろうが。」
「なんだテメー、あれが欲しくないってことか?」
「そんなこと言ってねーだろううが死ぬほど欲しいわ。でも折れるわけにはいかんな。」
ここで折れてしまっってはファン失格だ!
「その心意気いいね。嫌いじゃない。入れ。」
誰だよこいつ。何言ってんだ?だが、認めてくれたのは良かった俺の気持ちの勝ちということだ。
「で?どうだった?」
そろそろ本題に入る。
「まだ危険だからデータ化しかしていない。」
「そのデータを送ることは可能か?」
「可能だけど、送るのは帰ってからの方がいい。何があるかわからんからな。」
「了解。」
それそろ何について語っているか語ろうと思うが、ぶっちゃけ盗撮写真である。
あの時覗いていた俺たちの上から唯一風呂を覗ける部屋から写真を撮っていた変態がいたのだ!
当然社だ。
そして俺はこの計画にいち早く気づくことによって、この男の財宝独占状態を未然に防いだのである。
この男は「俺興味ないんで。」みたいな、どこで見えはってんだよと思わせておきながら俺たちをだしにして盗撮を行なおうとしたのである。
しかし、それは俺が見つけ交渉の末写真を男子の中で共有することにしたのだ
「まあ、ここまで来て裏切りなんてしないよ。安心して待っててくれ。」
「ああ、待ってるぜ。」
まるで、永遠を誓った恋人の片方がどこかへ旅立つ時のような待ってるぜだった。
「ところで社、国見何かあったのか?」
写真のことも当然最優先事項として扱っていたのだが、正直一番聞きたいのはこの事だった。
「やっぱり気づいたか…。」
「気づくに決まってんだろあんなに落ち込んでいる国見を見たのは初めてなんだから。」
「よく分かるね僕にはいつもとの違いなんて全くわからなかったけどね。」
何を言っているのだろうか?国見はいつもより少し首が前に下がっていたし瞼もいつもより開いてなかったし普段は決してしないため息までしていた。ここまで揃っておいて分からないなんて国見のなにを見ているのだろう。
「君は良く人の事を観察しているんだね。僕なんかよりリーダーに向いてるよ。」
「なわけねーだろ。俺には覚悟とか責任感とかやる気とかがないんだから。それに人間観察はただの趣味だよ。変態な趣味だろ?」
というかそんな気もしていたが、社がリーダーだったのか。まあ、部長だからそうかな?とは思っていたが…。
だとしても個人戦しか出ない俺にはあまり関係のない事だが。
「そんな事ないよ。というほど僕は包容力はないから一瞬引いたけど、それでもやっぱりその趣味で培った能力は素晴らしいものだと思うよ。」
その時の社の目は、俺にその人を観察している能力が羨ましいとは思ってもいないし、その事以外のことを考えているような気がする目だった。それはどこか違う場所でも見ているようで見えていなくて、それを知っているから見たくて、それでもやっぱり見えない未来を見ようとしている目なきがする。
「そらどうも、お前に褒められるのは嬉しいからな。」
「ごめんねこんな話をしちゃって、国見の事は絶対僕がどうにかするから。さあ、レクリエーションの時間だから行こう。」
さっきとは全く違う覚悟を宿した目だった。
~
「遅いですよ。皆さん疲れてるのはわかりますが集合は守ってください。間に合いそうにないなら連絡をしたりするのが基本じゃないですか!というかそもそも5分前行動が基本でしょ!………。」
とまあ、俺は1分遅れた事を保険ちゃんにくどくど怒られている。この家が広すぎて二回迷子になったのが原因だった。あんな話をした後だったから社と行くのが気まずくなってそこししてから行こうと思ったのがいけなかった。当然社は迷うわけがないので、間に合っていた。
「カズくんは昔から時間にルーズで…てっ!聞いているのですか?人が話をしている時はその人の目を見るのが基本でしょうが!」
「まあまあ、保険ちゃんそれくらいそれくらい。せっかくに楽しいレクリエーションがたのしくなくなっちゃうよ?」
ナイスだ社。というかお前のせいだからな。(ちがう)
「しょうがないですね。今回はこれくらいにしますが、気をつけてください。」
「はい!」
とても元気に返事をした。しかし、怒った姿も可愛かったのでこのままでもいいかなという気持ちと助け舟の社に感謝をしてしまう自分がいたがそのバトルは大変だった。
「では、みなさん揃いましたね。では、ビンゴカードを配ります。」
「「「ビンゴかよ」」」
理科と英吾と気が合ってしまった。
「まずは理科さん。はい。次は英吾君。はい。次は…あれ?国見君はどこですか?」
おいおい、いくら国見の影がちょっと薄いからと言っていないのに気づいてやれよ。
「ああ、国見ならさっき私に一人になりたいからレクリエーションは参加しないと言ってたぞ。」
「そうなんですか…しかし心配ですね。後で見に行きます。」
「いや、保険ちゃんそれはやめてやってくれ。」
「カズくん何故ですか?体調が悪かったりしたら心配じゃないですか?」
正論なのだが、今の国見は一人にしてやりたい。しかし、国見にだってプライドはあるだろうから誰も国見の事を保険ちゃんに言えなかった。
「俺が行くよ。異性より同性の方が何かといいだろ?」
「それもそうですね。ではお願いします。では、引き続き配りますね。カズ君。はい。社会長。はい。小森先生。はいどうぞ。来我さん。はいどうぞ。矗さん。はいどうぞ。……リュー君。はいどうぞ。」
子供参加するのか。どうりでさっきからうるさいわけだ。
「一(はじめ)さん。はいどうぞ。」
「「誰だよ!!」」
ここに来て知らん人が出てきた。いや、視界には写っていたがただの使用人かなと思って、何も言わなかったけどビンゴに参加すんのかい!
「ああ、そうか。あの人はさっき出張から帰ってきたから知らないんだね。ここの執事達のリーダーみたいな人だよ。」
「そうなのか。というか英吾は驚かないんだな。」
「ああ、はい夕食の時に一緒に配膳をしたのでその時に。」
そんな事は正直どうでもよかったのだが、時間を稼ぎたかった。何かと言うと、名前に驚かないようにするために呼吸を整える時間が。
正直驚かない気がするが、急に来たので動揺がまだ隠せていない。
あんなやべえ名前の人たちのリーダーなのでものすごいに違いない。なんなら、ムゲンノカナタノサキとかいうのかもしれない。
「申し訳ありません。荷ほどきなどをしていて自己紹介を忘れていました。」
「いえいえ、問題ないですよ。僕らそんなの気にしないので。」
問題はここからである。
「私、一一(にのまえはじめ)と申します。」
「「はい。よろしくお願いします。」」
2画て。簡単な名前だな。違う衝撃が来たわ。どうしよう。路線が違う。
「世界で一番早く名前がかけますね。」
大したことが言えなかった。
「そうだと私も思っていたのですが、学生時代【 (いっさいかいくう ぜろ)】という方おりまして、まさか字のない名前があるとは。はっはっはっーーー。」
どういう学校だよ。一切皆空なんてマニアックな四字熟語を何もないところになんで読もうと思ったんだよ。と思ったが、どうでもよかった。
それより、豪快に笑って少し唾がかかった方が気になった。
「では!始めます!」
~
結果から言うと俺は1番だったぶっちぎりで1番だった。
8回目くらいで揃った。
正直怖かったがまあ、ラッキーと思っておきたい。
景品はとても豪華なものかと期待したのだが、子供がいるからなのかあまり高いものはなかった。
それでも一等は高級肉だった。
今度秋子さんと一緒に食べよう。
「お前ら明日の朝は早いから早く寝るぞ。」
「明日って何時起きですか?」
「4:00。」
「早くね?」
「仕方ないだろ、戻るのに3時間かかるんだから。」
「だとしてももっと遅くはできないのかよ。」
「ダメださっさと寝ろ!」
全く小森コーチは厳しい。合宿が終わったんだからゆっくり寝たいじゃないか。
ん?
合宿が終わった?
あれ?
確か合宿は金、土、日の3日だよな。
てことは明日は月曜日。
4:00に起きて、ご飯を食べて5:00に出る。3時間かかるから8:00着。
始業のチャイムが8:15。
「遅刻じゃね?」
「どうしたんですか先輩?急に大きな声を出して。キモいですよ。」
「いや、理科キモいってなんだよ。そんなことより、明日月曜日じゃん。絶対学校間に合わなくね?」
「だから、制服と教科書を持ってきたんでしょ?」
へ?
一つも持ってきてないぞ!
「まさか忘れたんですか?」
「うん。」
「何やってんですか。」
「ははは、まあしゃあないわな。風邪って言って休むか。」
「ダメだ。」
へ?
「絶対にダメだ。」
小森コーチ?何故?
「私はこの合宿を薄墨先生に許可いただく時に、一回断られたのだ。それは、風邪を引いたり、怪我をしたりしないかを一人で見きれるのかと言われ断られた。結果的には執事さん達と連携をすると言ってどうにかゴリ押ししたんだ。それを次の日に風邪で休まれたら、合わせる顔がないじゃないか!」
何という私情のはさみ方だ。しかし、小森コーチの顔に泥を塗り気はないし、どうしたものか?
「では、私が車を出しましょう。」
それは意外なことに、さっき知り合ったばかりの一さんだった。
「いいんですか?」
「はい、明日は暇ですし少し三木さんと話したいと思っていたので。」
「ありがとうございます。すみません、うちの生徒がアホで。」
おい。
「ありがとうございます。」
こうして、俺は一さんに家まで送ってもらい準備を俊足で済ませ学校に行くことになった。
「ほら、さっさと寝ろ。」
これで本当に合宿は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます