第9走者 遊び行く者
9
6月15日
理科はいじめられていることを知ってからはメキメキと体力が増えている。
このままだと俺が一番の足手まといになってしまう、まあリレーには出ないので直接的にかけることはないが空気というものには不思議な力があるので、仮になってもみんなの邪魔をしないようにしようと思う。
そしてこの日大きな出来事が2つあった。
1つ目は英吾が久し振りにさんかしたということだ。もともとダイエット目的で始めたのだが、停滞期に入ってしまい体重が変わらずモチベーションが下がりそれが記録にも出ていたらしい。小森コーチの完全ダイエットメニューによる支配によってたった5日で突破し、ニコニコしながら帰ってきた。こっちは理科のことで大変だったというのに。
そして、2つ目はついにマネージャーが来るらしい。
〜
数人入部2日目
「なあ、この部活って女子マネージャーっていないの?」
なんとなくな理由でこの部活に入ったので特に大した質問もせずに入ってしまったが、部活を始める上で一番大事なことをなぜ入ってから聞いたのだろうもっと早く聞くべきであるのに違いないのに。
「いるにはいるぞ。」
この言い方は怪しいすごく怪しい。
「それってさ理科の女装とかだったら殴るよ。」
理科は見た目女っぽいので女装させたら可愛く見えるだろうがそんなもの真実を知る前の人間はいいかもしれないが知ってしまった人間はただ絶望するしかないのだ。
「何言ってんだお前は?ちゃんとした女子に決まっておろうが。」
本当だろうか?と思いつつもこいつは嘘をつくようなタイプではないので、信じる事にした。
「で?どんな子なんだ?」
「それは来るまでのお楽しみかなぁー。」
とてもいらないサプライズによってブスor女装というのが俺の頭の中で濃厚になった。
「いつくんの?」
若干投げやりな気持ちになってはいるが0.01%の可能性にかけてみたくなったのもまた事実だった。
「さあね、なんか忙しくて部活には来れないって言ってたよ。」
「ふーん。」
聞いといてなんなのだが正直俺の気持ち的にはもうすでにどうでもよかった。
〜
どうでもよかったものをずっと覚えれるほど脳のギガは残していないのでマジで忘れていた。
「へーやっと来るんだ。」
どうせブスだろうそう思っていたこの時までは…。
「さあ来てくれ。」
社の一言で入ってきたマネージャーは、見た目とりあえず女子だった。そして低い身長ちっぱい長い髪。ぶっちゃけストライクである。が、保険ちゃんだった。
「こんにちは、生徒会の仕事が忙しくて来れていませんでしたが、今日からはちゃんときます。」
「そうか、まあよろしく。」
がっかりではない、そしてロリコンでもない。
「何ですかその間の抜けた返事は?私は嫌ですか?ならそう言ってくださいよ!」
嫌ではない、前述の通りストライクなのだ。ロリコンではない。だが、何というかそう授業参観みたいな気持ちになってしまうのだ。
「まあまあ二人とも喧嘩しないの仲良くね。あと、新しく入った顧問の先生とも仲良くね。」
と言って社は小森コーチに目を向けた。
「新しい先生は新しい顧問の方でしたか!よろしくです。」
「ああ、よろしく。えっと名前は…」
「保険ちゃんとお呼びください。」
「えっ?でもそれはあだ名だろ?生徒同士は勝手にしたらいいが先生があだ名で生徒を呼ぶのには抵抗があるのだが…」
「知りません。それは先生の都合です。私は嫌です。私の意見を尊重してください。」
「うーん。だがな、よr…」
「保険です!」
すーごいデカイ声だった。鼓膜破れそう。ちなみに他の四人も名前は知らないらしい、保険ちゃんはあの自由奔放校長の遊びでクラスという概念がない。故に名前は知らないらしい。公立の学校で校長の意見で遊ぶってどうゆう事だよ。
当たり前だが俺は知っている。
「はい!じゃあ練習始めんぞー。」
急に保険ちゃんワールドからゴリラワールドになった。
「ゴリポンうるさい。」
「テメー殺すぞ。死にてーならいつでも言ってくれや。」
「ダメですー。かずくんを殺さないでください。」
ピュア。鬼ピュア。もうね、罪悪感がすごい。
「ん?いや…殺さないよ。うん。」
「本当ですか?」
涙目になってるよー。ヤベー抱きしめてー。ロリコンではない。
「うん。」
「誓いますか?」
「誓う。」
ゴリラ倒したー。スゲー。保険ちゃんパネー。なんだろう、心の声さえ棒読みになるこの茶番。(保険ちゃんはマジ、真剣と書いてマジ。)
「分かったかゴリポン殺すなよw。」
ヤベー笑い堪えられねーよ。
「かずくんもへんなあだ名はダメです。」
「はい!」
可愛いこの娘。
~
「今日はここまでだ。これ以上は身体を壊す。」
「あー疲れたー。保険ちゃん俺バニラ。」
「僕チョコお願いします。」
「僕もチョコお願い。」
「……バニラ…。」
「僕は…」
「英吾、お前は水だ。」
「いやおかしくない?コーチ?水てダイエット中かも知んないけど割と落ちたしプロテインだよ?よくない?」
「はは。ジョークジョーク。でも、プレーンな。」
「甘くないやつかよ。」
最近始めたプロテインはいつも各自で作っていたのだが、マネージャーがいるって最高。これも手料理みたいなもんだろと思いながら飲もう。つーか、国見コミュ症だしすぎだろ。
ちなみに英吾はマジで痩せた。80から65まで落とした。10日で。手術?マジであの小森さん怖い。英吾も何があったのか聞いても答えたくないの一点張りだし何があったんだ?
「みんなー。飲みながらでいいからちょっと聞いて。なんか明日小森先生は会議があってつよぽんも用があってここが使えないらしい。だから明日みんなで遊ばない?」
こっこれは、まさか生きてお目にかかれるとは、これが真のリア充にのみ使うことを許された「明日空いてるし遊ばない?」ではないか!急に用事を入れることへの躊躇のなさ、俺のリア充レベルではまだ足りない。くそっ。
ちなみに全員オッケーだった。
前俺が夜ご飯誘った時全滅だったのに。これがレベルの差か。
~
社のようなリア充レベルカンストみたいなやつが遊びに誘うのでどんなところかと思えばアミューズメントコーナーだった。要はゲーセンだった。
「さてさて、では第一回チキチキ陸止部個人対抗ゲーム大会。」
「イェーイ…」
当たり前だがみんなついて行けずテンションが低い。ちなみに俺は保険ちゃんが急用で来れなくなったのでテンションが低い。ロリコンではない。
「じゃあまずは、音ゲー。」
音ゲー:音に合わせて叩いたり踊ったりする物基本アニソン
「まあ、オタクの俺としては負けるわけにはいかんよな。」
そもそも、音ゲー経験者が俺と社しかいないので社より良ければ勝ちは確定だろう。
社:88%
理科:45%
英吾:55%
まあまあ理科がというか初心者はゆっくりで簡単な譜面でも合わせるのは難しい。
特にこういうノーツの来る場所が太鼓のように1箇所ではなくいろんな場所から来る厨二図無ではこの得点はしかたがないだろう。
では、フルコン取りますか。
三木:95%
目立ったミスは少なかったが一度切れた後の立て直しが悪かった。だが、1位はもらっただろう。
国見:100%
「は?」
つい口から出てしまった。しかも難易度は俺と同じmaster。
「お前さては経験者だろ、黙ってたんだろ!」
「…いえ、きたやつを叩いただけですが?この曲って難しいんですか?」
天才かよ。国見がやったのはマックスを10とした時の8.5くらいの難しさである。初心者には何かのわからないような鬼畜譜面であるのにもかかわらず、初見フルコンて。
「次は、ダンスー。」
このゲームは対戦ではなく協力どれだけ合わせるかで点数が上がる。チームは、社英吾、俺理科、社国見。
奇数なので、経験者の社が2回するらしい。俺はダンス系はしたことがないので今回は諦めよう。
もちろんしたことが無いのはいつも一人で来るからである。たまに一人でする人見るけど、メンタルやばくね?
社英吾:80%
やはり経験者。初心者とでもなかなかの高得点である。
俺理科:97%
びっくり。何にって理科に。あんまり踊れなかった俺に合わせんの上手すぎ。
「いやーいじめられた時に身につけた、周りに合わせる技の応用ですよ。ははは。」
笑えねーよ。
社国見:90%
流石の身体能力コンビシンクロ率では勝ったがダンスは二人の方がカッコよかった。
「3回戦はレーシングゲーム。」
これは五人同時にできるので一番順位がはっきりするのでみんなやる気が違う気がする。
1位:英吾
2位:俺
3位:社
4位:理科
5位:国見
割と意外な結果になった。理科が出来ないのはさっきまでを見れば想定内だが、国見が出来ないのは意外だったしそれ以上に英吾障害物避けるの上手すぎ、一回も当たらなかったぞあいつ。
「最終戦はパンチングマシーン。」
王道。殴る。強さが出る。順位が出る。
シンプルだが一番いい気がする。
1位俺
2位国見
3位英吾
4位社
5位理科
初めて一位を取ったがあまり腑に落ちない。というのも国見がちゃんと真ん中に当てれていなかったし、総合順位では「ヨルノアカリ」とかいう人が俺より高い点を取っている。
「最終結果発表ー。」
1位俺17p
2位国見14p
3位英吾13p
4位社11p
5位理科8p
1位が5pで5位が1p社のダンスは良かった方を採用。
結果一位にはなったが最下位とはいえ理科のダンスに助けられたしなんだか微妙な終わり方である。
だが、勝負は勝負理科にはアイスを奢らせた。
~
「どうだった?」
「そうですね、だいたい決まりましたかね。」
「そうか。大丈夫なのか?」
「そりゃもちろん完璧なパーティですよ。」
「お前の話だ。」
「…………。」
「そうか。」
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