泥濘の身体から水連
薬指にダイヤモンドを輝かせたままで、別れを告げる彼女の曰く、
「肺に水連が咲いたから」
息を奪いやがては命すら取るという。信じない私に、彼女はふいに口付けた。人とは思えない香しい息に噎せ返ると同時に、外で響くサイレン。
身の内の泥濘から花ひらく音を聞いたことはあるか?
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