きっかけは海風

僕らは無言で海沿いを歩いていた。地面の端がふと盛り上がり、塀になる所へ彼女は踏み込んだ。

腰の高さの塀の上を、彼女は歩く。

風が吹いた。スカートがなびく。彼女が海の彼方へ運ばれる幻影を見た。

思わず手を掴んだら、目が合った。

「好きだ」

彼女がはにかんだ。

「やっと言った」

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