第3話


 『4VS4』


 今日の朝、4人で食堂に行くと「あいつ、金で女囲ってるらしいぞ」「あいつ、ナルシストらしい」とか、色々変な噂が飛んでいたのが気になるが、これは気にしたら負けだ。

 バカとは、戦ってはいけない。

 俺は、そんなバカたちを無視しながら4人で朝食を済ませて、教室に向かった。


「兄貴、おはようございます!」


 教室に入って、一番に声を掛けてきたのは、もちもん金剛君だ。

 朝から彼の声を聴くと、元気が出る!


「おはよう」


 礼儀として、一応返す。

 俺たち4人は、自分の席に着き個人個人仲のいい人と、楽しく会話を実らせる。

 1人で居れば孤独感、2人で居れば劣等感、3人で居れば疎外感、だな。


「キーンコーンカーンコーン」


 チャイムの音と同時に、先生が入ってくる。

 先生の顔も2日目にして、もう見慣れたな。

 これはあれだな。メイと、3年間一緒に過ごしてたからだな。

 「ミク先生を朝から見れる俺は、幸せだ」「朝のチャイムは、ミク先生」「俺の朝は、兄貴への挨拶で始まる」などの声がする。

 約1人危険人物が居るので、後で絞めるか。


「おはよう。今から朝のSTを始める。まずは、今日の授業の説明だ。午前中は、各チーム対抗の練習試合を行う。午後は、アグロ・キュートの映像を見てもらう。質問がある者はいるか?」

「はい」

「今富」

「午前中の練習試合は、どこでやるんですか?」


 よくぞ聞いた。俺も気になってた所。


「すまんな。場所は、アリーナだ。10分後に授業開始のチャイムが鳴る。5分前には集合しておけ」


 4vs4だから、かなりの範囲が必要だな。だからアリーナか。


「先生は先に行って用意しておく。各チームごとに来てくれ」


 了解です!

 俺は、すぐに4人でアリーナに向かった。

 俺は1on1の方が得意だから、今回の4vs4はどうなるか分からんぞ。


「全員そろっているな。では、今からチーム対抗の4vs4を始める。戦わないチームは、観客だ。これからの勉強にしろ」


 昨日俺は、ほとんど傍観してたから、今日はしっかり体動かさないとな。


「まずは、チーム「サン」とチーム「アネモネ」だ。向かい合って、準備しろ」

「はい!!」 


 チーム「サン」の人たちは、あまり知らないが、チーム「アネモネ」の今富さんが気になるな。

 見た目も、謹厳実直って感じで実力ありそうだ。


「では、これより「サン」対「アネモネ」の練習試合を始める!3・2・1始め!!」


 男軍隊対女軍隊の戦いだな。

 パワー勝負になるのか、テクニック勝負になるのか。楽しみな試合だ。


「これでもくらえ!」


 初めに動いたのは、チーム「サン」側だ。チームのリーダーのような、中位の男が能力の「ファイア」を放つ。

 おいおい、いきなり1人で突っ込んでいいのか?


「無駄です」

「なにっ⁉」


 サン側が放ったファイアが消えた⁉

 これは、あの娘の仕業だな。

 名前は、確かウォーター・クラーク。能力は「鹹水」。

 さっきのは、塩分を多く含む水で一気に火を無効化したのか。

 相性が悪そうだな。男軍隊運が悪い。

 それより、入学の時から気になってたけど、今富さんは何でヘッドフォンをしているんだ?


「1人は、確実に潰す」


 !

 眩しい!

 アリーナ内にいきなり落雷⁉

 ビックリしたけどこれは、ウォーターさんのお姉さんだな。

 能力は「強電」。

 双子の能力の相性良すぎだろ。

 先ほどの強電で、鹹水を浴びていた1人がダウンする。

 サンチームの方がかなり動揺する。


「クーコ、一気に畳み掛けてもいい?」

「いいよ。2人でやっちゃって」


 クーコって誰?

 あっそうか。今富さんの下の名前が、久子。だから、クーコか。

 以外と、かわいいあだなだな。


「終わらせます」

「命乞いしなぁ!」


 サンダーさん怖い。

 以前の金剛君みたいで、少し引く。


「止めてくれ、止めてくれ!!」


 そこには、女に蹂躙される男たちの姿があった。

 これは、一方的過ぎてつまんないな。

 2人動いてなかったし。今富さんは、指示を出しただけ。


「試合終了!チーム「アネモネ」の勝ち!チーム「サン」どうした?もう少し努力しろ」


 けっこうビシッと言うな、先生。その通りだけど。

 まあ、メイと性格は似てるからな。


「次は、チーム「フォアフロント」とチーム「ギルティ」の練習試合だ。すぐに準備しろ」


 めんどくさい当たり方したな。

 これ、先生がわざとやってるだろ。地味に先生笑ってるし。

 本当に小賢しいな。まあ、やるからにはやるけど。


「兄貴!手加減してください!」

「それは試合だから無理だよ」

「これは、兄貴からの初めての試練。よろしくお願いします!」


 何か、勘違いしたようだけど、いっか。

 シビーが後衛で、俺たち3人が前衛だ。

 金剛君を止めれるのは、今の所俺しかいないと思う。だから、俺が特攻するのが得策か。


「では試合を始める!3・2・1始め!」


 未来視は使わずに、全身活性化を使い特攻!


「⁉」


 あいて側は、きつねにつままれたような表情を見せる。


「怪力君は僕たちが守る!」


 金剛君を守るようにして、3人が俺を覆うように襲ってくる。

 能力使わずに、拳で戦うのか⁉

 とりあえず、足で払うか。


「はあ!!」


 あっヤバい。力加減ミスった。

 あーー、飛んでった。

 これは、戦闘不能になってるな。すまん、ミスった。


「・・・・」


 クラスのみんなも、同じチームの3人も唖然としている。

 やっちゃった。テヘペロッ。


「兄貴、やってくれたじゃねえか。ここは、1on1でけりをつけましょうや」


 チーム対抗の意味すらない。

 まあ、俺が悪いんだけどさぁ。


「分かった。じゃあ、1発で終わらせるね」


 何か申し訳ないから、早く終わらせるわ。

 足だけに、集中して活性化をかける。

 これは、追いつけないだろ!


「⁉」


 俺は、金剛君との間20メートルを、0.2秒で詰めた。

 後は、手刀を彼の首にそえるだけ。


「試合終了。呆れたぞ古谷、本気は出したら・・・・」

「先生!次の試合行きましょう」


 危ねぇー。

 もう少しで、みんなに俺の秘密がばれそうだった。

 これだけは、絶対に守らないといけない。


「おっと、すまないな古谷。次の試合行くぞ!」


 午前中は、練習試合だけで終わった。

 予定通りだ。

 チームのみんなには、ちゃんと謝罪はした。ボコボコに怒られたが。

 午後は、アグロ・キュートの映像鑑賞か。まあ、鑑賞といえば意味が変わってくるか。


 俺は、絶対にばれてはいけない秘密がある。


                                  つづく 

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