第10話 曹沖《そうちゅう》:十三歳で亡くなった魏の神童

 曹沖そうちゅうは字を倉舒そうじょといいます。


 曹操の子で、幼いころから聡明であったため、曹操からとくに目をかけられていました。

 やさしい性格で、多くの者たちに慕われていたといいます。


 曹沖の親友で、おなじく神童と名高い周不疑しゅうふぎという者がおり、曹操はこの二人を可愛がっていました。


 名医の華佗かだが曹操に殺されたとき、十三歳の曹沖は嘆きのあまり命を失いました。


 曹操は愛する息子が亡くなったことを悲しみます。

 そしてあろうことか、周不疑にとばちりがかかります。


「なぜ息子は死んだのに、周不疑はのうのうと生きているのだ」と。


 そこで暗殺者を送って周不疑を殺そうとします。

 

 曹操の息子、曹丕そうひはこれを知ってあわてて止めようとしますが、「曹沖ならまだしも、おまえでは周不疑の相手はつとまらん」と、けっきょく周不疑を殺してしまいました。


 ちなみに中国で曹沖が有名なのは、曹操の子だからというわけではなく、中国ではだれでも知っている童話「曹沖、象を量る」の主人公だからです。


 あるとき曹操のもとに一頭の象が送られてきました。

 曹操はこの象の重さを量りたかったのですが、だれもその方法がわかりません。

 すると幼い曹沖は、カラの舟に象をのせ、どれだけ沈んだか印をつけさせました。

 それから象をおろし、こんどは舟がその印まで沈むよう石を積ませました。

 あとは石の重さを量って合計すれば象の重さがわかります。

 これを見て、まわりのおとなたちは感心したといいます。

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