第2話 らりー

白、黄色、ピンクといった色鮮やかな毛皮を着た二匹のフレンズ、オグロスナギツネとカモノハシ。その手には、先ほどみんなに配られた【らけっと】が握られていた。


 

 「みなさん初めまして!!【てにす】を教えるためにコーチとして博士たちに呼ばれた、カモノハシだ!!」


 「同じく博士たちに呼ばれましたオグロスナギツネです~。よろしくお願いします~。今皆さんに配りましたラケット、これを何に使うかというと~」


 オグロスナギツネが言いかけたところで、


 

 「わーい!お魚がとれるぞー!これ便利だね!たーのしー!!ジャガーもやってみなよ!!」


 近くの池で、【らけっと】を使い、魚をすくい上げているコツメカワウソとジャガーがいた。


 コツメカワウソは水辺や河川などに住む、本来ならば魚や貝を主食とする動物、ジャガーはジャングルなどに住む、ネコ科最強の呼び声も高い動物だ。


 コツメカワウソが池の中に【らけっと】を入れて持ち上げると、網のすき間から水が抜け、魚だけが上に残る。


 同じくジャガーが【らけっと】を入れて持ち上げても、なかなか魚がとれない。


 「おっと、逃げられた。なかなかむずかしいな。コツが全然わからん」


 「お魚の動く先に【らけっと】を動かすといいよ~」


 仲良しのフレンズである、コツメカワウソとジャガーが楽しそうに盛り上がっていた。


 

 「ああっ!博士が研究用に大切に飼っている熱帯魚が!!」


 「おまえたち!すぐにやめるのです!!」


 博士と助手が大あわてでコツメカワウソたちの元へ飛び、二匹の後頭部にフライングニードロップを叩きつける。


 

 「「うぎゃー!!ゴボコボ!!」」


 顔から池に落ちたコツメカワウソたちが悲鳴を上げる。



 「ハァ、ハァ、まったく、油断も隙もあったものじゃないのです…」


 「危機一髪でしたね…博士の熱帯魚たちに万が一のことがあったら、おまえらのじゃぱりまん三か月分没収しますよ!」



☆☆☆☆☆


 

 「では気を取り直して、オグロスナギツネとカモノハシが実際に【てにす】をやるのです。それを見ながら、ルールを説明するのです」


 そう言うと、オグロスナギツネとカモノハシは固く踏みならされた土の地面に、棒で四角形を描いていく。その真ん中に、フレンズたちの身長の半分ほど高さの、細長い木の板を立てる。


 

「さあ、フレンズたちに、【てにす】を見せてやるのです!」


 博士がそう言うと、オグロスナギツネとカモノハシは木の板でへだてられた四角形の両端に立つ。


 ゴムの樹液で作ったボールをカモノハシが空に向かって放り投げる。それが落ちてきたところを【らけっと】を垂直に振って打つ。


 スポーン!!爽快な音があたりに響き渡る。


 ボールは木の板のわずかに上を飛んでいき、オグロスナギツネの方に向かう。オグロスナギツネはそれを、同じく【らけっと】を横に振り、カモノハシの方へ打ち返す。


 返ってきたボールをカモノハシも同じように【らけっと】を横に振り打ち返す。


 

 「これが【てにす】の基本、【らりー】です~」


 「相手のナワバリである四角の線の中にボールを打ち返す。まずはこれをマスターするのが大切だ!」


 コーチ役の二匹が説明をする。


 

「全然わかった!さっそくやってみるよ!!」


 ジャガーとコツメカワウソがボールを空高く放り投げ、それを狙って水に濡れたままの【らけっと】を力いっぱい振り回す。


 

 「「ツルッ!!!!!!」」


 

 ジャガーとコツメカワウソの手から滑り抜けたラケットはあらぬ方向に勢いよく飛んでいき、博士と助手の顔面に命中していた……



 ―そんな様子を、少し遠くから見つめる視線が。


「何だかとっても楽しそう…。先月は【さっかー】、今月は【てにす】がけもくらべなのかなぁ??」


 少し遅れてやってきた、白い首輪がチャームポイントのフレンズ、クビワペッカリーがつぶやいた。



続く!???

※※※※※※※

作者のオリジナル作品、ティティアンレボリューション!~りんちゃん動物記~も宜しくお願いします!!!

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けものフレンズフェスティバル二次創作です!! 柳瀬鷹也 @TAKEYA0711

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