前のエピソード――第二章　地底と天空　BGM #02 ”dive to freedom”.《021》

（20XX/04/01 10:20）

【ログイン方法】

　ゲームへのログインは、スマホや携帯電話の画面に表示される特殊な光の乱舞によって連続的な表象を生み出し、ディーラーの脳へ高精度のイメージを与える事で導入される。

【ＡＩ企業（リアル）】

　コールセンターの受付対応や工場の自動操業から始まった、人件費削減のためのＡＩビジネスモデルが、ついには全社員のオート化を果たした企業を言う。唯一『会長』だけは人間であり、多数のＡＩ企業を束ねた数人～数十人の一族が財閥を名乗る場合もある。なお、多くのＡＩ企業はゲームと連動し、自らの資産の大部分をスノウに変換し、管理している。

【マシントゥマシン】

　世界中の金融取引の中で、人から機械、機械から人ではなく、プログラムからプログラムへと売買の応酬を行う状態の事。現在の比率は四八％だが、これが過半数を超えると人間が機械を操るのではなく、機械が世界経済を決定して人間を歯車にする時代が来ると噂される。

【ＡＩ落ち】

　借金などによる破産申告の一種。世帯主の財産権を一時的に放棄する代わりに、ＡＩ企業による全面的な庇護を受ける制度。生活自体は良好で表向き差別的な扱いは受けないが、実質的にはＡＩ自体に対する漠然とした不安の受け皿とされてしまう場合もある（そもそも正式名称は別にあり、ＡＩ落ちは蔑称）。ＡＩ企業が肩代わりした借金は原則無利息で、自力で完済すればＡＩ落ちから脱せられる。

【先物取引】

　ある一定の額を支払ったのち、実際の商品は時間を空けて受け取る形式の取引方法。相場が絶え間なく変動している場合、安く買って高く売れば儲けを出す事ができるが、反対に大損する場合も。食糧関係が特に有名だが、鉱物資源や燃料、純金にプラチナ、外国為替など銘柄は多岐にわたる。ネトオク転売を数十トン単位で行うと考えればリスクのイメージもしやすい。

【出資者（パトロン）】

　自分では取引を行わず、有名チームに資金を預けるディーラー。当然、失敗すれば預けた金は返ってこないし、最悪、持ち逃げのリスクもある。粛清も含め、利用は個人の自由。

【管理者】

　マネー（ゲーム）マスターに紛れていると噂される運営サイドの人間。詳細不明だが、仮にゲーム内で特別権限が与えられている場合、ゲーム内通貨スノウが円やドルのように重宝されるリアル世界において、個人から国家の資産まで、あらゆる金を指先一本で増減できる存在となる。リリィキスカは（今度は自分がカナメを守る目的で）管理者と対等な交渉をするために『遺産』を集めており、管理者とはすなわちカナメの妹である事を明かした。