第16話「こんな〇〇は嫌だ」
『ふぅ…さっぱりしたあ…』
厳しい訓練を受け、風呂を終えた俺はユークさんが待つ食堂へと向かっていた。
少しずつではあるが、漸くこの格好にも慣れてきた。
慣れたくはないが。
『あ…』
「……チッ…」
見慣れた
傷つくわあ、俺泣いちゃうよ??
オギャーよ??
「…お前、この後時間あるか?」
『えぇと…晩食後なら…』
「…なら後で訓練場来い。」
それだけ言うと、俺の返事を待たずにその場を去っていった。
……俺、アイツ苦手だわ。
アノヒトコワイ…と、やべぇ。急がねぇと。
ユークさんが待ってる。
食堂に着くと
『すみません、お待たせしました』
「大丈夫大丈夫♪さ、食べよ食べよっ♪」
『はい!』
※※
『はああ…しあわせ…』
満足気に膨れたお腹をさすっているとユークさんが訊ねてきた。
「ねえねえ、この後空いてる?」
その言葉で我に返る。
『あー…えっと、この後イフさんに呼ばれてて…』
すみません、と謝ると
彼は少し寂しげな様子を見せたが、
「じゃあまた今度ね♪」
と笑顔でそう言ってくれた。
何この天使。惚れそう。
いや俺男だけど。
※※
ユークさんに別れを告げ、食堂を飛び出した俺は訓練場へと急いだ。
階段を一段飛ばしながら上がり、肩で息をしつつも重たい扉を開ける。
『すみません!!お待たせしました!!』
しかし返ってきたのは反響した自分の声だけ。
辺りを見回して状況を伺う。が、辺りは静まり返っているどころか人の気配すら感じられない。
『…イフさん?』
呼び掛けても応答無し。…つか「来い」って言っといて居ないってどういう事だよ。
もしかしてあまりにも遅いから待ちくたびれて自室に戻ってしまった…とか?
まさか…な?
『イフさーん!?居ますか!?居たら返事してくださーい!!』
再度呼び掛けても応答無し。
…しゃあない。
今日は俺も部屋へ戻ろう。
そう思い、踵を返した。
-----その
ヒュンッ
『!!…しまっ……』
-----トンッ
空を切る様な音がしたと思い咄嗟に身構えたが、既に遅かった。
「……"一瞬の油断が命取り"とは、よく聞いたものだ。…違うか?」
気づけば壁に追いやられ顔の横には小ぶりな短剣が突き刺さっている。
目の前には白髪のイケメンの顔。
あまりの出来事に俺は考えを喪失した。
ただ1つ分かるのは、今俺は
しかも今ならなんとオプションで短剣が突き刺さっている。全然嬉しくない。
「なぁ…」
俺の思考回路を遮るように彼が問いかける。
「お前……誰だ?」
『…え…?』
「…お前本当に“ただの”軍医見習いか?」
俺は、何も言わなかった。
いや、何も言えなかった。
本当の事を言えばやられる。かと言っていい加減な事は言えない。
恐らく今は何を言っても完全に取り繕うのは難しいだろう。
思案に暮れていると、彼はクソデカため息をついてあっさりと俺を解放した。
『…え?』
展開が早すぎて追いつけない。
え??物語の主人公が物語に置いてかれる事ってある??嘘でしょ??
我主人公ぞ??
「…まあいい、始めるぞ。」
良くない。
なんか起きたら美少女になってたんですがそれは。 とも @TomoxJ11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。なんか起きたら美少女になってたんですがそれは。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます