第15話「遠距離戦闘訓練withユーク」

『ごちそーさんでした!』

少し遅めのお昼ご飯を終えた所で、茶髪天使ユークさんに一緒に訓練しないかと誘われた。

勿論俺は二つ返事で誘いに応じた。




※※


『うわあ…、広っ…!』

「ふふ、まあね〜。」


ユークさんに着いてきた所はまるでファンタジーとかでよく見る魔獣が出てきそうな少し廃れた訓練場だった。

見た感じ石造りっぽいがどうやら頑丈らしい。


廃れたとは言っても掃除が行き届いているらしく、手入れされた沢山の武器が1つ1つ綺麗に並べられていた。

彼はその中から1つを手に取りこちらへと渡してきた。

「んしょっと…これとかど〜かな?はい、ど〜ぞ」

『あ…ありがとうございます…』

「い〜え」


渡されたのは狙撃銃スナイパーライフルとかいうなんかでっかいの。


『…ちょっと腕に来ますね』

「これでも他の狙撃銃に比べると軽い方なんだよ〜」

うせやろ?


なんとこの銃、重さを分かりやすく例えると2Lのペットボトル2本分らしい。なんでも前線で歩兵が運用することを前提として作られている為にこの重さなんだとか。


にしても重ぇよ。


「それじゃっ、あそこにある的に撃ってみよっか!」

『えっ』


えと、銃は苦手で…と振り向けばキラッキラな眼差しでこちらを見てくる。

『くっ…』

無理だ言えねぇ。


覚悟を決め、数十メートル程離れた所にある金属製の的に向かって銃を構える。

『はぁ…』

よし、狙いを定めて…


引き金トリガーを引く。



………


「あらら~、ざんね~ん」

『…もっかいだ。』


その後2、3発撃ったが掠りさえしなかった。


『はぁ…』つくづく俺のAIMエイム力の無さに泣けてくる。


「まあまあ、でもいい腕はしてるから、もう少しだけ構え方に磨きをかければ、当たるよ~。もっかいやってみよ?」

『…はい…』

「ほらほら、元気だして!がんばろ!」

天使か。



それから俺はああしてこうして…と構え方の基礎の基礎から手取り足取り教えて貰った。







………カンッ


遂に金属独特の甲高い音が鳴り響いた。

『あ…当たっ……た…?』

「おっ、やったじゃん!」

『あ、当たった…!!やった!!当たった!!!』

「ふふ、よく頑張りました!」

『はい!ありがとうございます!!』

「よし、じゃあ次は2つに増やしてみよっか」

『はい!』

…ん?え、ちょっと待て。

まだやんのこれ。





俺はあの後徹底的に教えて貰い、気づけば辺りは暗くなっていた。


狙撃銃スナイパーライフル拳銃ハンドガン散弾銃ショットガン機関砲マシンガン突撃銃アサルトライフル


一通りの銃に触れ、取り敢えず人並みには扱える様になってきた。


「よ〜し、今日はここまでにしよっか!」

『…はぁ…はぁ、あ…ありがとうございました…!』

「ふふ、おつかれ〜」


お、終わった……

もう無理明日ぜってぇ筋肉痛になるわ。

「この後夕飯にするから、食堂おいでね!」

と、何かしらの紙を渡された。

どうやらここの地図のようだ。


『あ、ありがとうございます!』

「ん、また明日もやるからねっ!」

『え゛…は、はい…』

「ふふ、じゃあ、またね〜」


とりあえず、風呂入ろう…

あー…疲れたなあ…






※※



訓練場に1人残されたユークが呟く。


「…覗き見は良くないなあ…

ねぇ…せんせ?」


暗闇から足音が近づいてくる。

「ククッ…でもまあ…楽しかったよ。…あの子、銃は苦手みたいだけど扱い自体には慣れてる様だった。」


「そりゃあ…この資料から察するに…ねぇ?やっぱあの子、只者じゃないね。…もしかして、スパイだったりして。」


「ククッ…そりゃあ面白い。まあ…今後も指導頼むよ、ユーク。」


「はい。

…ゾイせんせ。」

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