第12話「南国-メディエリス(ルカ)」

カーテンの隙間から楔の様に差し込んできた青白い光で目が覚める。


『ん…』


もう少し眠っていたいが、そろそろ準備をしなくてはと身体を起こす。

隣を見やると2人は未だ寝ていた。


着替えようとパクトへ手を伸ばし少し考える。

スパイとして国へ潜入するのにノエルが居て大丈夫なのか?

潜入する格好は今のままで良いのか?


…ノエルに関してはスッドおばさんとやらに預けるとして、格好は変えとくべきだろう。


『なんにしよ。』


彼是考え漸く決めたのは、茶色のショートボブにシトリンの瞳、服装は白のワイシャツに灰色のノースリーブニット、下は黒のジョガーパンツというなんともオシャレで女性感溢れる服装になった。


そろそろ、女性極めてきてる気がする(気の所為)


「ん…おね…ちゃ……?」


時間かかりすぎたのか、ノエルが起きてしまった。

カーテンを捲れば青色が滲むように空へ広がっていく。


「…だぁれ?」

『あー…私だよ、ノースだよ。』

「でも昨日とかっこうが…」

『変装してんよ。変装。』

「へんそう?」

『おん。こうやって格好を変えることで悪い奴からノエルを護れるんよ。』

「よく分かんないけどすごいね!」

『まあそうだよな…あ、せや。私の名前今からノースやなくて、ルカって呼んでな?』

「どうして?」

『ノエルを護る為。』

「わかった!」

『おけ。…おい、ハウンド起きーや。』


「…わん。(起きとるわ。)」

「からだは大丈夫?ハウンドさん」

「わぅ…ん…(大丈夫じゃないかも)」

『大丈夫だって。行こ』

「え?う、うん」

「…(…)」


俺達は南へと向かった。




※※


南国。

やはり自然豊かな場所だ。

草木も生い茂っていて、空も雲1つ無い青々としていて、更には「雨」という言葉を素知らぬ顔で照りつける太陽。


そんな良い所に1つ欠点があった。それは…

『あづい…こんなん、日射病なるわ。』

「にっしゃびょう?」


あー…せやった。ここ俺の国じゃねぇからノエルは知らんのか。


『日射病っちゅーのは…こういう…さんさんとしたお日様に当てられてっとすっげぇ暑いやん?』

「うん」

『したらどーなる?』

「うーん…あせがでてくる?」

『せや。汗かくと身体の水分が無くなって身体のコントロールが効かんくなって…倒れちゃうんやで』

「えぇ…怖ーい…」

『まあ、水のみゃなんとかなっけどな。』

「へぇ…!…でも…どこかの本でよんだことがあるよ!なんかね…ねっちゅうしょう?っていうのもあるんだって!」

『へぇ?よぅ知ってんね?』

「えへへぇ…お勉強がんばったんだ!…まだよくわかんない事もあるんだけどね」

『えらいなぁ』

そう言って頭を撫でてやると、大人しく目を瞑る。

その姿が非常に愛らしい。


「わんっ(おい。)」

あ、すまん。めっちゃ忘れとったわ。

すまんて許して。咬まんといてやめて。


「…(そろそろ着きそうじゃのう。)」


『だいぶ歩いたな。もー少しで着くんちゃうか?』

「うん!ここら辺だよ、わたし覚えてるからあんないするね!」

『ほんまに?あんがとな』


そうしてスッドおばさんとやらの家に辿り着いたのは、太陽が天頂を通過した後だった。

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