第9話「夜」
『っ…!!?』
…ここは、ベッドの上…か…?
自分の手が元に戻ってるのを確認し、安堵の息を漏らす。
『夢…か。』
ふと時計を見てみれば、針は夜中2:30を回ろうとしていた。
嫌な時間に起きてしまったな。
服は汗でぐっしょり濡れてしまっていて気持ち悪い。
とりあえず着替えようかと思いながら、布団を剥ぐと、暖かい何かに手が当たる。
…犬だ。
…いや、犬の姿をした神様がこちらをじーっと見つめていた。
とりあえず、向こうを向け。
犬(……魘されておったぞ。)
顔を背けた犬がそう呟く。
…いや、テレパシーを送ってきたと言った方が正しいか。
今となってはどちらでもいいか。
…ん、ああ…ちょっと、な。
犬(…大丈夫かの?)
ああ。…んな事より、起きとったんやな。
犬(ワシは寝なくても大丈夫なんじゃ。)
…せやったな。
こちとらぁ…全っっ然…寝た気しねぇ…
痛む頭を抱えながらため息をつく。
犬「…フッ」
おう待てや。何鼻で笑っと---
突然糸が切れたかのようにプツンと会話が途切れる。振り返ってみれば先程まで寝ていたふかふかのベッドの上で気持ちよさそうにいびきをかいて寝ている。
いや寝るんかい。
少し揺らしてみる。
『おーい…?』
しかし起きはしなかった。
…爆睡か。
まあ、疲れてたみたいやし…しゃーない。
そのままにしとくか。
ちょっと飲みもんでも取ってくるとしよう。
俺はちょっとした上着を手に取り、食堂へと向かった。
※※
食堂。
ここは出入りは基本自由だが、俺は飯の時間以外は滅多に立ち寄らない。食堂というよりイートイン出来るコンビニみたいなやつだから基本的に24時間空いてるんよね。
便利な世の中になったもんだなあ…
そんな事を考えてる内に食堂に到着。
いざ開けようとすると、扉の奥から声が聞こえてきた。
「…で…」
どうやら先客が居るようだ。
こんな時間に?
俺は好奇心からそっと扉に耳を当てる。
途切れ途切れだが会話が聞こえてくる。
どうやら…2人いるようだ。
1人は…
「…で?あの女はどうするんです?」
!?!?
---あの声は…
「ああ…ノースか。」
!
「奴は…いい“道具”になるだろう。」
---いい……道…具…??
一体…どういう----
「ねぇ。そこで何してるの?」
!?!?
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