第7話「展開が早すぎる」

あれから数ヶ月後が経過した。


この場所にも慣れ始め、俺は必死に訓練に励み、普通の新兵から「特殊暗殺部隊」に所属する事が出来た。


…いやまだ女っつーのは慣れとらんけどな?




…んで、そっから数日が経ち、漸く俺にも「役職」というものが与えられたのだ。




それが


『…副隊長に?』

王「そうだ。今のお前に相応しいと思うんだ。…な?セヴェルよ。」

セ「…はい、陛下。」


王「どうだ?我々の国、スィルヴィーエの特殊暗殺部隊副隊長として、やってみないか?」

『ありがとうございます!…しかし、私に務まるのでしょうか…?』

王「何も心配する必要など無い。何せ“今の”お前は強くなったからな!!」


そう言ってワハハと高らかに笑う国王陛下。



相変わらず言い方腹立つな。


…ところで、俺は役職を与えられてもあそこに居続けなければならないのか…?

あそこは“地獄”だから嫌なんだが。


王「…ああ、そうだ。…今日からお前は部屋に移動してもらう。」

『部屋に…?』

王「ああ。ずっと地下だったろう?役職がついた記念に部屋を与えてやろうと思ってな。」


どんな記念だ、という言葉は飲み込み、代わりにお礼の言葉を述べる。



王「さて、早速なんだが」

『?はい』

王「お前にはとある国へ偵察に行ってもらう。」

『…偵察…ですか?』

王「そうだ。お前が今から行くのは、南国…メディエリスだ。」

『メディエリス…?』


…初めて聞くような…?んやでも今までにも聞いた事あるような気も…しなくも、ない。多分。…クッソ…こんな事ならまともに授業受けとけば良かったわ。


セ「…ん。」

『…?これは?』

セヴェルさんに渡された物に目を通してみる。


どうやらメディエリスに関しての資料らしい。御丁寧に簡単な地図まで入ってる。


『!…ありがとうございます!』

セ「…フンッ」


…案外セヴェルこいつは良い奴なのかもしれない。


そんな事思った瞬間に不機嫌そうな顔してそっぽ向かれたから、やっぱ前言撤回。


王「…頼まれてくれるか?」

『…はっ。…国王陛下。』

俺は国王へ向き直り誓いの言葉を述べると、国王は満足気に笑った。











※※


俺は新しく用意された部屋に戻り上着を椅子の背もたれ部分に雑に掛けると、ふかふかのセミダブルベッドに仰向けに寝転がった。



因みに、ダブルとツィンの違いはダブルは2人用のでっかいベッドで、ツィンはシングルベッドが2つあるって意味やで。(ドヤ顔)


セミダブルっちゅーんは、ゆったりした1人用っちゅー事や。


…んま、詳しくはwebで。若しくはg○○gle大先生にでも聞いてくれ。

…なんてな。



ま、とりあえずこの手渡された資料を改めて読み返すとしようか。




メディエリス。


スィルヴィーエここより遥か南の方に位置する小国。

小さいながらも様々な点において発展している。

特に食料に関しては多種多様であり、中でも薬草の種類が豊富でよく効くと言われている。

また、武器に関しても多少発達しており、遠距離戦闘用武器の銃や弓等、近距離戦闘用武器の剣、刀等に加え、槍も用いられる。



何処どっから仕入れたんだ…?こんな情報。


えーと…気温は常に程よい温かさであり、天気は時折台風等も来るが基本的に良好である。


…どちらにせよ、偵察に行くんなら、また変装せなあかんっつー事よなあ…。

…うぅん、どないしよ…。


つかこのパクト、性別男で出来るんじゃ「わん(無理じゃよ)。」


『…びっ…くりしたあ…。ったんかお前。』


いつの間にか犬の姿のジジィ…神様がベッドの上に乗っかってきていた。



…なんで無理なんだよ。


犬「(お主はわかっとらんのぅ…。


そりゃあワシが女の子大好きじゃからの☆)」



やっぱど突いたろかこいつ。



…つか降りろよ邪魔だから。


神(犬)「…」


聞いてんのかおま…っ





え………





…クッソ寝やがったよこいつ…。


ほんっと、どこまでも自由な神様ジジィなこった。

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