第6話「あ^~お風呂って気持ちええんじゃあ^~」
『ん…?』
どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようで、外はもう明るくなっている。
なんか懐かしい夢を見たような気がするんだけど…なんも覚えてねぇわ。
『んーっ…ふあぁ…』
伸びすると自然と欠伸って出ちゃうよね。
分かる。
「やっと起きたか。」
『…ぅえ?』
声がした方を向くとセヴェルさんが不機嫌そうな顔をしながら腕組みをして柱に寄り掛かっていた。
…いや、いつから居たのこの人。
怖いんだけど。
セ「…朝食の時間だ。」
『あ…はい。』
セ「早く準備して食堂へ来い。」
『あ、待って!』
それだけ言って脱兎の勢いで退室しようとしたセヴェルさんを慌てて呼び止める。
セ「…なんだ。」
顔を顰め、こちらを睨みつけてくる。
本当に無愛想だなこの人。
『…あの…。しょ、食堂迄の道が分からないんですけどぉ…』
セヴェルさんは暫くこちらを見ていたが、やがて大きく息を吐いた。
所謂クソデカため息とかいうやつだ。
…いやそこまで大きい溜息つかんでも良くない!?
そして、クソデカため息とやらをしたと思ったら、人差し指を曲げ、「こちらへと来い」という合図をした。
いや、口で言え。
※※
セヴェルさんに案内されて食堂に着いた。
どうやらバイキング形式になっている為、適当に美味しそうなものを取ってお皿に乗っけていき、席を探す。
セヴェルさん曰く「適当に」との事だったけど、俺は一応新兵だから、新兵っぽい格好をした人の輪に入れてもらいながら食べたよ!
割と楽しかったなあ…。
満腹になり、その足で女子風呂へと向かう。
あ、道ならさっき食堂で新兵の奴から「よかったらどうぞ」って地図を貰ったんだよな。いやあ、何処ぞのメガネスーツ男とは違って優しいわ。うん。
何処ぞのメガネスーツ男とは違っt((怒られそう
『…ここか。』
銭湯とかで見た事ある「女湯」という文字が書いてある暖簾がかかっている。
この先は夢が広がってんだなあ、と我ながら最低な事を考える。
仕方ないよね!俺男だもの!!
あ、ここから先は男の子は見ちゃダメだからね!絶対だよ!
俺は見るけど!
『失礼しまーす』
心を踊らせながらも平静を保ち、念の為一言告げて入る。
ここから先は夢の国…
…じゃなかった。
中は静寂に包まれていた。
ここは脱衣所で、その先に引き戸がある。
引き戸には「この先露天風呂」って書いてある張り紙が見えた。
『…なーんだ。』
と思いつつも、露天風呂という言葉に心を踊らせる。
…あくまで平静は保ったままで。
そういや、服はパクトを使えば変えられるだけでなく、消す事も可能なんだって。
いやあ、パクトくん有能ですわ。
念の為、武器やパクトは持って入る。
引き戸を引くと、すげぇでっかい露天風呂が。(語彙力の低下)
バスタオルを身体に巻き露天風呂に浸かる。
ああ^~気持ちええんじゃあ^~(脳死)
『…にしても、この国は凄いわぁ。
露天風呂まであるなんてな。
…あんたもそう思うやろ?
…セヴェルさん。』
俺は手に持ってたコロンビアナイフを、メガネスーツ男に向けたまま言う。
セ「…いつから気づいてた?」
『端から。』
セ「…貴様は一体…?」
『…ただの新兵。』
セ「そういう事じゃない。」
『…私は普通の人間ですわ。…ただ、並の人より護身法を学んでるだけの普通の人間。』
セ「…成程な。」
と笑った。鼻で。
『…鼻で笑わんといてくださいよ…』
セ「…ははっ…失敬失敬。
…失礼したな、ノースよ。」
そう言って踵を返した。
1人になった女湯で俺はぽつり呟いた。
『…あいつ変態じゃん…』
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