第5話「国王陛下とご対面。」
…ここが、国王がいるっちゅー部屋か。
んー、そいやスパイって、なにすりゃええんや?
ま、えっか。
とりあえず扉をきっちり4回叩く。
ねぇ、知ってる?(某豆風)
《プロトコールマナー》つって、正式な場所でのノックは4回、トイレは2回、…んで、親しい間柄は3回が基本らしい。
…ま、ビジネスシーンでは3回が一般的なんやけどね。
まあノックなんざ聞こえりゃいいって奴が殆どだからな。
【皆適当なんだ】\_(・ω・`)ココ重要!
そんな事考えてたら、重たい扉が開き、ぴっちりとスーツを着た男が顔を覗かせた。
「…入れ。」
その男が顔を少し顰めた後真顔に戻して言う。
そんまま、中へ入ろうとした。
『…ぶな。』
先程のスーツ男に刃物で切りつけられそうになる所をなんとか避けつつ、相手の手首を掴んでひねりそのまま相手を引く。
「なっ…!?」
俺の咄嗟の判断に予想してなかったのか、バランスを崩して倒れるスーツ男。
?「…やはり只者じゃなかったか。」
やはり…?
声の先を見やると、漆黒のマントに身を包んだ男が口角を吊り上げながら此方を見てくる。
『貴方が…?』
王「そうじゃ。」
…成程。どうやらこいつが国王とやらのようだ。にしても悪人ヅラしてんな(失礼)。
身構えてしまいそうになるのをなんとか堪え、国王へと向き直り、右の手のひらを左胸に当てながら跪く。
『…ごきげんよう、国王陛下。
…私は、ノースと申します。
…以後、お見知りおきを。』
なるべく相手に警戒心を抱かせないように笑顔を作る。
…我ながら完璧な挨拶。
心の中の俺が踊る。
王「…どう思う?セヴェル。」
セヴェルと呼ばれた先程の黒スーツ男は指でメガネを正し深い溜息をついてから、
「仕方ありませんね。…新兵ならいいんじゃないですか?様子見ということで。」
と言った。
…いや溜息つきたいのこっちや。
王「そうかそうか。セヴェルもそう思うか!!
なら、ノースよ。まずはお前を北国、スィルヴィーエの新兵として招き入れよう。我が国スィルヴィーエに思う存分使えるが良い!!!」
スィルヴィーエ…確かそんな名前だったな
『…はっ。…スィルヴィーエに栄光あれ。』
私はまた跪き、忠誠を誓う。
どうしても違和感が拭えないのはここだけの話にしとこう。
『…あの。私はどうすれば…?』
王「ああ、そうだったな。セヴェル。」
セ「はい。」
笑顔が素敵なセヴェルさんが案内してくれるらしい。
『お願い致します』
セ「…チッ」
え、今この人軽く舌打ちしたよね!?!?
なんでや!!!!
…解せぬ。
セ「こっちだ。女。」
『ノースです。』
セ「変わらんだろう。」
レディになんてこと言うんだこいつ。
そして、地下へと案内された。
…待て。地下?
は??
そこは地下にある薄暗い牢屋…いや、拷問部屋と言うべきだろうか。
御丁寧に拷問器具まで揃ってる。
『…どういうおつもりで?』
セ「貴様は今から道具だ。」
あ…成程…そういう。
隣にいる神様(犬)は唖然とした顔だ。
…知らなかったのか。
…通りで違和感が拭えなかった訳だ。
きっと家の中にいるのだろうと思っていたが、家は何処も明かりを灯していなかった。
つまり、
セ「貴様は何処の者だろうとこの国に忠誠を誓った身である。郷に入っては郷に従え…と言うだろう?」
『…確かに私は忠誠を誓った身ではありますが、未だ新兵になったばかりです。物事を判断するには早すぎる。…違いますか?』
セ「…はっ…それもそうだな。…だが生憎今は部屋が足りてない。」
『…そうですか。なら仕方ありませんね。』
そう言うとセヴェルは口角を吊り上げる。
気色の悪ぃ男だ。
セ「ではまた後ほど。夕食時になりましたら、呼びに参りますね。」
もうそんな時間が経ってたのか。
といっても時間軸どうなってんのか知らんけど。
とりあえず、地下部屋に半ば拉致された状態でろくに寛げる訳もなく、ずっとそばに居てくれていた犬に話しかけた。
勿論、頭の中で。
なぁ。
…これからどうするん?
神(犬)「…くぅーん。(どうするも何も…新兵として雇われたんじゃ。頑張って強くなるしか)」
『はぁ…』
ため息ついて自然と犬の頭を撫でる。
何故こうしてるのかというとだな。
神(犬)「(やっぱお主も気づいておったか。)」
こいつ…ついに脳内に…。
ってのは置いといて。
…まあ察しのいい人ならここで気づくと思うんやけど、監視カメラとやらがあるんすよ。
迂闊に動けねぇから、ほんっと、ワタシコマッチャウ。
んまぁ…例え道具だとしても、新兵として雇われたからには…
『…頑張らなきゃな…』
ため息混じりにそう呟いた。
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