第3話「こいついっつも唸り声あげてんな。」

神「ノース、と言ったかの?」

『…ああ。』


神「…その口調と…その、“俺”っていう一人称はどうにかならんのかね?


仮にも今は女の子なんじゃ。女の子らしい一人称と話し方して貰わないと困るのじゃ。(ワシが)」今ワシがって見えた気g((神「気の所為じゃ。」


…と、言われてもな…。

うーん、と唸り声をあげながら頭を抱える。

鏡を見ている時にはあまり気にしてなかったが、アホ毛がぴょこんと立ってる。

何これ面白。



…じゃなくて。

『…今更変えるつっても無理な話だ。』


神「そこをなんとか…!」

そんなに頼まれたって…

『私っつーのに違和感しかねぇんだよ!!』

神「私!」

『無理!』

神「わた…『無理』」

神「わ『諦めて。』…」


すると、神様は唸り声を上げながら考え始めた。




そして


神「ボクっ娘はどうj『アホか。』」

諦めの悪ぃ神様だ。


神「でも俺だと、警戒されかねんぞ?」

『くっ…』

確かに…反論は出来ない。

俺っ娘って少ないからなあ…

正直俺もそんなに好きではない。



神「だから、“私”が嫌なら“僕”って言うしかないと思うのじゃ!!」

目を輝かせて、俺の顔を見てくる。



神「この通りじゃ!!」

『え、ちょ』神様が土下座してる。


え、なにこの図。

凄くシュールなんですけど。

思わずため息出ちゃいますわー…


『…はぁ…しゃーねぇ。

わぁーったよ。




…で。…あー…僕は何すればいいん』

神「そうじゃったそうじゃった。」


あっさりと土下座してた体を解放させ、立ち上がると、何処からともなく現れた本棚から1冊の素朴な古い本を取り出した。

どうやら資料の本らしい。


パラパラとページを捲りながら

神「今からお主はここから城下町へ降りていき、先にある城へ向かってもらう。」

『お城?』

神「うむ。そこにいる総統閣下にお会いし、新兵として招き入れてもらう。」

いきなり難題だなあ。



そう言うと満足そうに微笑みながら、何かを渡される。


『…なにこれ?』

神「パクトじゃ。」

『ぱくと?』

開くと真ん中に日本円でいう50円玉くらいの大きさのボタンがあった。

そいや、異世界ここにも通貨とやらはあるのだろうか。

神「これを押してみ」




ポチッとな。


すると、パクトから謎の煙が出てきて、身体全体が包まれていく。


『わっ』


煙に包まれたかと思うと、その煙は一瞬で消えてた。


『ケホッ…これ、何がどうなっt………えっ』


ふと周囲を見回し、見つけた鏡を見て驚く。

先程とは全く違う容姿がそこに映し出されたからだ。


先程白髪だったのが、茶髪のショートヘアに変わり、エメラルドグリーンだった瞳がシトリンに変わった。


なにこれ別人やん…!

誰お前(2回目)。


服も先程は、黒のフード付きポンチョに白の長袖ブラウスシャツに、茶色のサスペンダーがあって腹巻みたいなベルトがしてあって、その周囲にX字の紐が巻かれてあり、そこに武器が掛けられるようになっている。

そして、ブルームのようなヒラヒラとしたプリーツミニスカートに、黒のタイツに同色のレースアップショートブーツという可愛いものだった。

それが、今では、黒の長袖のパーカーワンピに黒のネックウォーマー、黒いタイツ、黒のロングブーツという、黒を基調としたかっこいい服に変わっている。


ん?なんでこんなに詳しいのかって?

g○○大先生に聞いたんだよ!!!


…にしても

『ほんとに別人だァ…』



神「分かったじゃろ?」


『うんうん!凄いよ!!』

パクトこれを使えば、諜者スパイの仕事なんて楽勝だよ!!!


目を輝かせながら、神様がいた方へ向くと、そこに現れたのは1匹の犬。



『は?犬?』

犬種は…アフガン・ハウンド…だろうか。

綺麗な白い毛並みをした大型犬がそこに居た。


Doどー youゆー Kotoyanenことやねん.




神「わん(ワシじゃ。)」

『こいつ直接脳内に…!』

神「わーん(…そうじゃ。俗に言うテレパシーとやらじゃ。)」

『ふーん…』

神「わんわん(この声はお主にしか聞こえんから、呉々くれぐれも気をつけるんじゃぞ。)」


“呉々も気をつける”

きっと、犬の時の神様こいつと会話する時の事を言っているのだろう。

…知らんけど。


『…ああ。』


僕がそう言うと、犬の姿をした神様は、煙に包まれ、ポップコーンが弾けるような音がしたかと思うと、仙人ジジィの姿に戻った。



神「ワシ、なんにもなれるんじゃ。」

うん、とりあえずドヤ顔やめろ。


『うざい。』

神「ひどぉいのぉ……」

『やめて気持ち悪い。』



とりあえず僕は、鏡を前にパクトとやらで様々な容姿に変身してみた。

なんか隣で顔を真っ青にして頭を抱えながら唸り声あげてるジジィみたいなん居るけど気の所為気の所為。




『お、これええんやない?』


それに映る僕の姿は金髪のサイドテールにアメジストの瞳、服は黒のショート丈パーカー、中に白のタンクトップ、黒のネックウォーマー、黒のショートパンツ、黒のタイツになっている。


なんとも動きやすい格好。

『おr……僕これにするよ。』


なんか、隣で「ノォォォオ」って喘いでる奴おるけど、知らん知らん。


それに、

『…“ノース”には、これが似合う。』


…なんとなくだ。

そんな気がする。


…ノースは、

可愛いっていうイメージより綺麗というイメージの方が強いなって。


なんとなく、そう思ったんだ。



神「…ほうか。…なら好きにせい。」

渋々諦めてくれたみたいだ。

…ちょっと頬を膨らませて拗ねてるけど。



神「あとこのパクトは、服以外にも武器とかも取り出せるから、ちゃんと身につけておくんじゃぞ。」

『ああ。』



先程と同様に一通り武器を出してみる。

そして気になったものを手に取り、満足気にベルトに差し込んだ。



『ん、よし。…行くぞ。






--北国、スィルヴィーエへ。』



…長い旅になりそうだ。

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