其之十 青龍回帰
建安十(二〇五)年、春。再び
「名が同じだし、あの変わり様。何となく
その人物は
姓が〝仲長〟で、名が〝統〟である。出身は
仲長統は高幹が心に野心を抱いていることを察知し、
「――――貴殿は雄大な志は持っていても、雄大な才能は持ち合わせておらず、士を好んでいますが、人を選ぶ事ができません。このことを深く
と、自制を求めたが、それが受け入れられることはなく、仲長統は高幹の下を去って、荊州へやってきた。仲長統は不意に話し始めたり、突然黙ったりする
「――――何でも、〝
「――――そんなやばい奴なのか。幷州から追い出されてきたと聞いたが」
「――――いや、一風変わっているが、実は結構切れるらしい。幷州から追い出されたというより、劉荊州に招かれたというのが本当のところかもしれない」
「――――そうだろうか。その割には劉荊州を早々に怒らせたというじゃないか」
「――――やっぱり要注意人物じゃないか。あの
そんな噂が荊州学府の学生たちの間で
「聞いたところから判断すると、禰正平と士元を混ぜ合わせたような人物かもしれない」
「
そんな
「――――雄大な
高幹に言ったのとほぼ同じ
「思ったことをそのまま口にしてしまう人間なのか、
「劉荊州は最初からその者がどんな人物か興味がなかったのでしょう。興味があったのは、その者が持っている幷州の情報……」
孔明が鋭い洞察を働かせて言った。
「まさか劉荊州は幷州と結んで何かやろうと
孟建が言って、眉を
「幷州の地勢を考えたら、あり得るな……」
そう呟いた。幷州は西と南は河水(黄河)によって、東は千里(約四百キロメートル)に渡って伸びる
これら天然の防壁は外からの侵入を
「しかし、今さらですか?」
高幹は
袁氏勢力が衰退を極めようとしているこの時を迎えて、ようやく動こうとするその判断は
「揺れやすい人物なのだろう。劉荊州と似ていると指摘されたのは間違っていないように思うね。本当の自分は
荊州にとっても、最大のチャンスが到来しているのは間違いない。
歴史の勝利者とは、それを機敏に感じ取って好機を逃さない。孔明は劉表と劉備、漢室の末裔たちの動きに期待した。劉備も許都を攻撃して皇帝を救い出すことを強く求め、劉表も今度こそは乗り気になって、幷州の高幹とも結び、二州の兵力を合わせて曹操の背後を突く計画を練った。
そして、建安十(二〇五)年、八月。高幹が
また、幷州の山岳地帯に潜んでいた
本来なら、これに劉表もタイミングを合わせて蜂起する
劉備はこの最大のチャンスに何とか劉表を動かそうと訴えてはいたが、
「――――玄徳殿が言うことは分かるのだが、勝てる見込みは少ないだろう。曹操はそれを考えて備えを整えているはずだから……」
蒯越に大分吹き込まれているようで、劉表は先の決意はどこへやら、覇気に欠ける態度で応じるだけで、劉備を大いに失望させた。そして、荊州に無為無策の時をもたらしたまま、建安十年が過ぎ去って行った。
劉表は老境を迎え、心身共に衰えていた。そんな老人に漢室を復興する絶好の機会を感じ取る能力はなかった。あっても、それに応じる気概をすでに失っていた。
劉表の
荊州府の
「玄徳殿、どうなされた? 新年早々、そんなに暗い顔をして、
まるで無頓着に聞いた。劉備は苦笑いを浮かべて、
「今、用を足している時にたっぷりと
脾肉の嘆。脾肉とは
「年を取るのは仕方ないこと。私など物忘れも酷くなってきたし、小便の切れも悪い」
劉表は呑気にそんなことを明かして、はにかんだ。悪い人物ではない。しかし、乱世という時代にそぐわない。忘れてもらっては困ることがある。
「玄徳殿は功績もしっかりと残してきたではないか。貴殿は漢の予州牧・左将軍だ」
劉備は自身の闘志を鼓舞するように心と顔を引き締め、劉表に対した。
「その左将軍が申し上げます。今一度許都の攻撃をお考えください。曹操は主力を率い、自ら幽州まで遠征しています。まだ袁尚は健在で、
ここで会ったのを幸いに劉備は場所も選ばず劉表を説いた。弁舌は得意でないながらも、道理と情理を
「漢の再興は景升公の手に委ねられています。景升公は皇族ではございませんか。陛下を曹操の手から救い出す義務がございます。私も全力で助勢致しますので、この機会に是非ともご出陣をお考えください」
それに対し、老弱と化した劉表は少々迷惑気味な顔でうんうんと頷きながら、
「玄徳殿の言われるのはもっともなこと。……考えてみよう」
いつもと同じ台詞で思わせぶりに言って、そそくさと厠へ姿を消した。
会見を終えて、劉表の州府を出てきた劉備を供の
「首尾はどうでしたか?」
「言ってはみたが、景升公の性格だからな……」
渋い表情で答える。劉備は手ごたえを感じていなかった。荊州がずっと平穏だったこともあり、劉表はすっかり平和ボケしている感じである。荊州は大軍を
劉備はそれが
曹操が幽州遠征で許都を留守にしていた時も、劉備にわずかな手勢を与えて、
「――――あれは
自守の賊――――自分の領地を守るしかできない奸賊だと劉表を酷評した。
劉備がしきりに出兵を
「――――劉表は表向きは温厚君子ですが、内心は
謀士の
曹操は荊州の様子を探るため、荊州各地に密偵を送り込んでいたし、劉表配下の諸官たちに対する調略も行っていた。すでに何人からか内通、または協力の承諾を取り付けている。その中でも、最重要人物と言えるのが
蔡瑁と曹操は旧知の関係であったし、蔡家は襄陽の有力豪族で、蔡瑁の姉が劉表の後妻となっていた。蔡瑁は劉表の義理の弟に当たる。つまり、劉表の身内に曹操側と交通している者がいたわけである。
蔡瑁は蒯越と共に
そして、蔡瑁は郭嘉からのある依頼を受けていた。成功すれば、多大なる恩賞が約束された依頼を――――。
のどかな田園風景はいつしか静寂が包む
建安十一(二〇六)年、新年の挨拶のためである。徐庶が白い息を吐いて言った。
「左将軍が荊州の軍を動かすようになるには、
「そうかもしれないけど、後継問題は複雑なようだね」
「ああ。袁氏がそれで破滅したというのに、まるで頭にないのかね、あの連中は」
徐庶が毒付いて言った。その批判の対象は蔡瑁とその取り巻きたちである。
荊州では静かなお家騒動が
新年の祝賀会に呼ばれた劉備はその後継問題について、劉表から意見を求められた。劉備は袁紹のことを持ち出して、長幼の順が乱れることの危険性を語り、劉琦指示の姿勢を打ち出した。儒教では長子後継が基本だ。袁紹は三男の袁尚を
「この際、どちらでもなく左将軍に荊州を譲ってもらいたいもんだ」
「確かにそれが理想だね。荊州が乱れれば、曹操を利するだけ。曹操に取られるよりは左将軍に譲ってしまった方がいい」
「孔明もそう思うか?」
「まぁね」
「だったら、孔明も左将軍の下に来いよ。左将軍は皇族と言うが、ほとんど庶民の出だ。敷居が低いから、俺たちのような者でも相手にしてくれる」
徐庶が劉備に身を投じて数年が経つ。しかし、劉備は劉表に身を寄せる一客将に過ぎず、仕えたところで、
「劉荊州と違って行動力があるから、働きがいはあるぞ」
そう劉備の魅力を孔明に語った。実際、劉備は漢王朝を再興させるという忠義心のみで戦っているような人物であり、漢朝を重視する人々の間には熱烈な支持者がいる。庶民同然の出自であることが更なる支持を呼び、
徐庶もかつては義侠の生き方をしていた人物である。劉備を見ていると、徐庶は己の中に眠る義侠心を
「まぁ、孔明も一度会ってみると分かる。お助けしたくなるような
劉備の人となりを熱心に語った徐庶は孔明を同じ道へ誘ったつもりだったが、
「ふ~ん……」
義侠というものの魅力は何となく理解している孔明の返答は空虚なものだった。
劉備に対しては、義侠の将軍という清々しい印象が残っている。仕官するというのなら、自分の目でしっかりと見定めた相手でなければならない。龐統も自らの目で確かめるために旅立ったのだ。未だ孔明は自身の進路に決定的なものを見い出せていない。はっきりした答えを出すにはもう少し熟慮の時間と何らかのきっかけが必要だった。
「あっ!」
いきなり徐庶が声を上げたので、孔明も驚いた。
「どうしたんだい?」
「あれは左将軍だ。どうしてお一人でこんなところに……」
徐庶が眼下の峡谷を指差す。その道を
「どうやら追われているようだね」
「何、誰に?」
「さぁ……。でも、劉荊州の下には左将軍の存在を
「これはまずい」
それを聞いた徐庶は居ても立ってもいられずに、走り出した。
「どうするんだい?」
二回目の孔明の問いはもう徐庶には聞こえなかった。
襄陽の西方の
「これ以上しつこく付き
「うるさい、死ね!」
不穏な言葉を発した男が槍を突き出してきた。明らかな殺意に反応した趙雲がその槍を弾き飛ばして、自らの槍を相手の胸に突き刺した。その男は目を見開くと、硬直したように動きを止め、落馬して果てる。
が、追手の兵士はおよそ三十騎。対する趙雲は単騎。
「たった一騎だ。恐れることはない、
背後で兵士をまとめる蔡瑁が趙雲の殺害を命じた。劉備は一客将のくせに劉琦を後継に
新年の祝賀に現れた劉備は趙雲一人を
さすがに劉備は危機には敏感で、伊籍の言葉に暗殺の臭いを
誤算は劉備から離れず護衛を果たす忠烈無比の勇将・趙雲だ。劉備暗殺にはこの男が邪魔だ。だが、一向にその一騎を突破できない。趙雲の周りにはすでに五、六体の
「……半分の兵を残す。お前はここで奴を引き付けておけ。俺は
蔡瑁は不敵に腹心に言い残した。この先は
脾肉を嘆じて馬を駆った劉備は逃げ場に
「どう、どう!」
劉備は嫌がる乗馬を制御しながら、何とか川を進む。劉備の脾肉の辺りまで水に没し、馬は首を出しているだけだ。脾肉を切り付けるような真冬の水の冷たさも今は関係ない。河岸に追いついた蔡瑁が劉備に叫ぶ。
「予州殿、何故逃げられるのだ。それ以上進むと
劉備はそんな虚言を無視して、さらに馬を前に進めた。しかし、檀渓の急流は思った以上に速く、馬ごと劉備の体を押し流した。
「あっ!」
激流に劉備はバランスを崩して前のめりになり、首もとまで水に
「ははは。これは手を出すまでもなくなった。奴が溺れ死ぬのは時間の問題。事故で死んだとなれば、我等としても都合がよいわ」
蔡瑁は劉備の無謀さを笑って言った。暗殺というわけではないが、これで劉琮
蔡瑁の視線の先で、とうとう劉備の頭が水中に没した。
が、次の瞬間、ゴオオウゥ……!
鉄砲水が押し寄せて来るような
渓流を勢いよく流れ下っていた流水が
「な……」
言葉を失って立ち尽くした。それは蔡瑁だけでなく、劉備本人も何が起こったのか分からなかった。ただ、崖下を振り返って蔡瑁の
「天のご加護だ……」
「何が起こったというんだ……」
少し離れたところから、諸葛孔明がその一部始終を目撃していた。
美しいと思った。天にいると思った。そして、自分が青と白の隙間、一面の雲海の上にふわふわと浮かんでいることに気付いた。途端に浮力を失った。焦った。落ちる。雲海に突入し、視界が途切れ、それを突き抜けた。雲の下は別世界だった。
雷鳴轟く嵐の空。天井を闇のベールで覆われた暗く陰鬱な世界。その中を落ちた。いや、光がないし、風も空気の流れも感じないため、落ちているという感覚がない。雲海だったはずの白雲の
三度目の稲妻は雷撃となって体を撃った。痛みはなかった。が、それで落ちるスピードが急加速した。空の終わりが見えた。叩きつけられる……!
夢想の世界から戻った劉備が目を開けた。またこの夢か。一瞬そう意識しただけで、目を動かした。天井は薄暗かったが、
どこだ、ここは?
体を起こした。視界に入ったのはすぐ側にある温かな暖炉。その向こうに人影があった。
「気が付かれましたか。よいかな、よいかな」
そう言って柔和な笑顔で声をかけた。そして、劉備に
「何があったか存じませんが、この冬の最中、ずぶ濡れで倒れておりましたぞ」
「そうでしたか。情けないことに
「それは難儀なことでございましたな」
劉備は自分の衣服が変わっていることに気が付いた。きっとこの御仁が行き倒れていた自分をここまで運んで更衣までしてくれたのだろう。そして、ふと思い出すことがあり、
「お探しのものはこれですかな?」
その仕草に気付いた学者の男が劉備が求めるものを差し出した。
神器・
「ありがとうございます。私は劉備玄徳と申します。先生の名をお伺いしたい」
「私は名を
「あなたが水鏡先生でしたか。ご尊名を伺ったことがあります」
劉表が平穏を保つ荊州に各地から賢人が集まっていることを自慢するように劉備に語って聞かせた時、その名が挙がった。
「私も予州様のことは聞いておりますよ。
司馬徽は冷えた劉備の体を気遣って、新たな門生に指示した。
若く賢そうな門生だが、眉に白い毛が混じっている。その門生が熱い茶を茶碗に注ぎ入れ、「どうぞ」とそれを差し出した。
「私をご存じでしたか」
「弟子の一人が予州様にお世話になっております。徐元直と申します。その元直が予州様のことをよく聞かせてくれますから。まさかその予州様がこんなお姿で見えられるとは思っていませんでしたが」
「お恥ずかしい」
それを受け取った劉備は早速茶を一口すすって、茶碗を床に置いた。
「先程狗に追われたと申しておりましたが、景升公が飼われている狗ですかな?」
柔和な笑顔だが、司馬徽のその指摘はさすがに鋭かった。
「はい。私が景升公に漢再興のための
「景升公は賢人を
司馬徽が劉表を避ける理由が
「しかし、景升公の力なくして陛下を曹操の手からお救いできません」
「そうでしょうか?」
以外にも司馬徽は劉備の思いを否定するように言って、自らも茶をすすった。
「そもそも景升公は軍事の人ではありません。軍才だけを比べたら、袁公以下でしょう。荊州の兵は多くとも、それを十分に扱う能力はありません。仮に景升公が兵を挙げても、曹公に勝てる見込みはございませんよ。実は景升公の狗たちもそれをよく分かっていて、ですから、曹公との戦を避けようと必死なのですよ」
「では、どうすれば陛下をお救いし、漢を再興できましょうか。先生、どうかご教示ください」
劉備はその場に
「予州様、お止めください。私の知識は暇な時に子供に語って聞かせる程度のものです。世俗に交わるのが
司馬徽は手を振って己の才覚を一笑に付した。
「……そうですか」
劉備は嘆息して
「……ですが、この地には〝
「そのお二人は今どちらに?」
劉備は希望に顔を上げ、身を乗り出して聞いた。
「鳳雛の方はすでに飛んで行ってしまいましたが、臥龍は近くの
「これは良いことを聞いた。今からすぐに伺います」
「いえ、今はおよしなさい。まだ狗が辺りを嗅ぎ回っていることでしょうし、予州様が戻らなければ、新野が動揺してしまいますぞ」
司馬徽は
「そうでした。では、一旦新野に戻ります」
「それがよろしい。元直に知らせを出しましたから、もうすぐしたら迎えにくるでしょう」
「ご親切にありがとうございます」
劉備が拱手して、此度の好意に感謝した。劉備の視線が横に置いていた神器に定まった。青龍爵を取って、唐突に言う。
「こうして出会えたのも何かのご縁。水鏡先生に一つお願いがあるのですが」
「何でしょうか?」
「これは伝国の神器の一つで青龍爵といいます。国家の秘宝と言われているものですが、訳あって、今は私が保管しております。これを先生に預かっていただきたい」
「伝説の中に聞いたことがあります。この世には仙界の力を引き出す霊宝が存在すると。しかし、そんなものを何故私に?」
司馬徽が
「もともとこれは乱れた世を
「しかし、そのような重責を……」
「こうして巡り会ったのも天のお導きでしょう。先生の
「そこまで
劉備の真剣な言葉に押されて、司馬徽はそれを承諾した。
劉備が去ってしばらくして、孔明が
「水鏡先生、新年のご挨拶に参りました」
「おお、孔明か。何とも残念であったな」
師がそう
「どういう意味ですか?」
「いや、劉予州殿のことだ。入れ違いだった。もう行ってしまわれたが、実はたった今まで予州殿が来られていてな。しばらく話をしたのだが、良きお人のようだ。漢朝のために尽くそうとする熱意に感じ入って、そなたを紹介した」
「え、私をですか?」
「うむ。近々予州殿が訪れるだろうから、会って話してみるのもよいのではないか?」
「はぁ……」
孔明は
「予州殿には悪いが、これはやはり私のような者が持つべきものではないな」
そう言って、司馬徽は劉備から託されたばかりの青龍爵を孔明に出して見せた。
「あ、それは?」
孔明が思わず声を上げ、目を見開いた。驚くのも無理はない。実は、孔明はこの霊宝を知っている。かつて青龍爵をその手に取ったことがある。そして、この霊宝こそが自分の人生を大きく変えたと言っても過言ではないのだ。
孔明が青龍爵を手に取った頃はまだ十四の少年だった。その時の孔明は青龍爵が重要なものであるという認識はあったものの、大学者・
司馬徽は自分の手の中の青龍爵を見つめた。これが
「伝承は私も聞いたことがある。その伝承が真実だとするなら、これは力を失っておるようだ。だが、再び霊力を宿すことができれば、荊州を守る力として活用できるであろう。どうやって霊力を取り戻すか。それを最後の課題としてそなたに託す」
司馬徽は本当にほんの一時だけ青龍爵を預かっただけで、それを孔明に差し出した。
「……」
言葉が出て来なかった。十数年の時を超え、再び自分に託された命運。
「私のような世捨て人はまだしも、天を駆け巡るべき龍がいつまでも寝そべっていていいという時期ではない。先程元直が来た。あんなに生き生きとした元直を見るのも久しぶりだ。
熱い言葉で師が弟子の背中を押す。孔明はその言葉と共に静かに青龍爵を受け取った。
徐庶はもう戻らないだろう。友人の龐統も起った。これは自分が飛び立つ時機も到来したということなのだろうか――――。
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