第5話 こんなはずでは
「ただいま、さとみ。いやぁ〜疲れたなぁ。今日の晩御飯何だぁ。」
「ヒロシさん、今日は春兄さんと健太兄さんが来てますよぉ。」
「はぁ?何だぁ〜って、電話の一本もよこさないで、急にかぁ…まいたなぁ。顔だけは出すけど…」
「おぉ、ヒロシ元気かぁ…」
「元気かぁ…じゃないすぅ〜よぉ。こっちは家庭があるんだから、急に来られると迷惑何ですよぉ。」
「って、もうすでに、半分程飲んでつまみまで食べているじゃないかぁ…これ以上飲んだら帰れなくなる。大好きなさとみに手を出されたらたまったもんじゃない、帰ってくれ。」
「解った、解った、今日はみんなの顔を見に来ただけだから、今日は帰るよぉ。」
「ちょっと、あなた、せっかく来てくれたのに…」
「いやいや、俺たちもつい、昔を思い出して、急に来ちまったからなぁ…何か悪かったなぁ。」
「なんのお構いも出来なくて、すいませんねぇ。」
「いやぁ、良いんだぁ、ヒロシと奥さん、哲に逢えて嬉しかったよぉ。それに、ヒロシが浮気しねぇ〜か、心配だったからなぁ…でも、本当に愛されているなぁ。良かったよぉ。ありがとうなぁ…」
「それにしても、春兄さんと健太兄さんが何故、連絡もなしにきたのだろうかぁ?」
そんな事を考えながら、ヒロシは風呂に入った後に、晩御飯を食べ、テレビを見ながら家族で談笑していた時に突然電話がかかってきたのだぁ…
「夜分、遅くにすいません。
川崎の美代子ですが…実は、春と健太が…」
と言おうとしたところ
「あぁ、美代子さんお久しぶりです。今日、春兄さんと健太兄さんが酒瓶持って突然来たからびっくりしましたよぉ。それに、半分も二人で飲むし俺のつまみも食べるし参ったよぉ。とはいえ、何も構う事が出来ず、すいませんでした。今度、連絡よこすように…伝えて下さいねぇ。」と伝えたところ
「えぇ、そんな事はないわぁ…実は今日、二人が川崎の十字路で交通事故にあって意識不明の重体になり、川崎総合 病院に入院になったんです。」
「いつですかぁ?ちょうど、2時間前です。」
それを、聞いた瞬間に青ざめて言葉を失い、その場で座りこんでしまった。
それを見て、さとみが駆けつけて、電話を交代した。
「えぇ、そうなんですかぁ…ほんの2時間前にこちらにきて、日本酒を抱えて二人で飲んでつまみまで…っとテーブルを見ると開封されていないつまみの袋があるだけだった。」
「最後に逢いに来てくれたんですねぇ?いつも、ヒロシさんの事を思っていましたからねぇ。」
その後、哲だけを残して川崎総合病院にタクシーで向かったのだった。
あくる日に、やつれた状態で二人は帰宅したのだった。
そして、お互いの顔を見ながら「こんなはずはない。何かの間違いよねぇ。あり得ない。でも、ありがとう」と言いながら涙を流していたのだった。
もちろん、これは、未来のヒロシが正月以来逢えていなかった事をずっと後悔していた事を叶えたに過ぎなかったのだぁ。
その後、春兄さんと健太兄さんに化けた高橋と哲は元の姿に戻り、「たくぅ、晩御飯まだだなぁ、ヒロシは冷たいなぁ…これから、どうすんだぁ…」とぶつぶつ、文句を高橋に言っていた。
まさか、依頼を一つ叶えた事を知るよしもなかった。
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