休日に電話

 あの日、お昼に彼女と電話した後、頭の中が一時的にお花畑になった俺だったが、なんとか持ち直して仕事をやり遂げ、週末の休みは死守することに成功した。


 もっとも、やはり徹夜に近い労働は避けられず、土曜日の今日は昼近くに起きたものの、昨日までの疲労感がまだ残った状態である。


 元気がほしい。

 彼女に電話……するか?


 その前に、職場でのお昼の電話の内容を反芻してみる。


 俺はどうやら彼女を名前で呼んで良い身分らしい。本人にそれを許されている。

 そして、彼女はネタだと言っていたものの、電話で「賞品……私?」と俺にいってきた。どう考えても心許されてること半端ない。


 もちろん今のところは電話だけの関係であり、無害認定されている可能性も無くはないが、だからといって、あそこまで露骨に自分を危険にさらすことはしないだろう、と俺は思いたい。思いたいのだ。

 

 しかし、最後の可愛いアピールはいったい何なのだろうか?

 「賞品……私?」との文脈から考えると、何で私をお嫁にもらってくれないの?私こんなに可愛いのに?という意味にとるのが自然なようにも思えるが……自然なようにも思えるが……飛躍しすぎだろうか。国語の点数が悪かったこともあり、考えれば考えるほど、だんだん自信がなくなってくる。


 よし!わからん!

 電話、しよう!


 俺は今日もキーパッドに自分の番号を打ち込んだ。

 もう慣れてしまいブラインドでもいけそうな勢いである。


 『通話または通信中』が表示される。


 俺は彼女が「もしもーし?」と出てくれるのをひたすら待った。

 しかし、5分経っても、画面の表示は変わらなかった……。

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