酔っ払いな戦闘姫 4

 あたしは積極的に動いた。

早速鈴木さんと約束を入れたのは言うまでもない。

 何度かの食事を繰り返し、お互いの趣味や食事の嗜好も把握。

やっぱり、食事の好みが合わないのはダメよね。

結局長続きしないから。

これもあたしの持論。

幸いなことに、あたしと鈴木さんの好みは合っていた。

これはなおのこと期待できる。

ああ、聞こえてくるわ。

幸せの足音が。

 でも、最後に必ずママの店に行くのが気になる。

だって、絶対ママを絡めるし。

鈴木さんは、あたしとママが楽しそうにしてるからって言うけど、そんなことはない!

たまには、二人だけになりたいのに。

それに、一向にあたしに手を出す気配がない。

おい、鈴木。そろそろキスぐらい良くない?

まあ、軽い男よりは好きだけどね。


 そして、今夜も食事の後に、いつも通りママの店へ。

 ただ、何か浮かない顔をしてる。

あれ? さっきまでは、そんなことなかったのに。

「どうかされましたか? 何やら浮かない顔をしてますが」

 さすがにママも気づいて、声をかけたみたい。

「今日はお二人に話さなければならないことが」

 ちょっと、トーンが不穏なんですけど……。

 鈴木さんは、絞り出すように続けた。

「実は、東京の本社に戻ることになりました」

 急な話に、あたし達は言葉が出なかった。

「元々代打だったので、長期ではないと思ってましたが、まさかこんなに急だとは僕も……」

「いつ行かれるんですか?」

 あたしはやっとのことで、声を出した。

「来週末には離れます」

「そ、そんなに急に……」

 ママの声は、動揺を隠せてなかった。

「それで、お願いがあるのですが」

 鈴木さんが、あたし達の顔を交互に見て言った。

「ぜひ、最後の夜はお二人と過ごしたいんです。ダメでしょうか」

「ぜひ、そうしましょう。最後の夜は共に」

 ママが気丈に振る舞ったのは分かるけど、あたしは、何かもやっとした。

なんで、あたしと二人っきりじゃないのよ!

声に出して言えるわけもなく、今夜は沈んだ気分のまま終わった。

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