第1章 学園生活の始まり、あるいは最初の収穫体験まで
#1 学園生活の始まり、もしくは異文化の洗礼!
§6 中学?生活1日目の朝
そんな色々を思い出していたら
いかんいかん。
あわてて服を着替えて外へ出る。
なおこの学校自体も今日から新学期。
本日はオリエンテーションと入学式、必要物品の配布があるとの事。
そんな日程でよく入学できたなと思うが、この学校には行政からの入学枠というのがあるらしい。
レマノがそれを行使してくれたので急遽入学出来た訳だ。
彼女には感謝してもしきれない。
まあそれだけじゃないけれど。
そんな訳でまずは食堂到着。
入校時に渡されたチケットを見せてお盆に置かれた朝食一式を受け取る。
献立は白米、焼き魚、卵焼き、スープ。
スープは鶏ガラ味で、キャベツに似た野菜とモヤシに似た野菜が入っている。。
俺からみてもそれほど違和感の無い朝食だ。
同じような連中があちこちの席で同じ朝食を食べている。
新学期だからか一人席の連中も多い。
人数はおよそ百人程度、男女比三対七というところだろうか。、
人種的には日本人かそのハーフっぽい感じの顔立ちが多い。
俺もさほど目立たない感じだ。
食事を食べ終えて教室へ。
教室の前後に貼ってあった席次表にならって窓際一番後の席に座る。
席そのものは出席番号順。
端っこなのはきっと手続きが最後だったからだろう。
座ると同時に前の席の女子が話しかけてきた。
「あれ、私が成績最下位だった筈だけれど、繰り上げ合格?」
どうもここの出席番号は成績順らしい。
ちょっと考えて、正直に言う事にする。
「行政からの枠で急遽入学したんた」
「珍しいね、まあいいか。私はラインマイン。ステルダから来たの。あなたは」
ラインマインと名乗る少女は赤い髪をボブにした可愛くて親しみ易そうな感じ。
「俺はホクト。カイドーから来た」
カイドーというのはレマノが市長補佐をしている地域の名称だ。
「あれ、カイドーからは私だけだと思ったのですけれども」
右横の席の少女が割り込んできた。
どうしようかと考えて、結局全部正直に言う事にする。
「実はつい最近、他の世界から落ちてきたんだ。急遽この学校に来ることになった」
「他の世界の人ですか、珍しいですね。私はヘルヴェティア、ヘラとお呼び下さい」
ヘラは黒髪長髪のお嬢様タイプという感じ。
それは別として他世界人への差別意識が無さそうな事に俺はほっとする。
知識としては知っているのだけれどやっぱり。
「でも他世界人でこの学校に来るというのも珍しいよね。普通はもっと下級の学校が職業訓練所に行くのに」
「それだけの知識が認められたのでしょう」
そう、この学校はレベルとしては頂点側に位置している。
この国ではこの下の初等学校卒業の段階で成績順に振り分けられるのだ。
下から半分は職業訓練校に、中位以上から上一割以下は地方の中級学校に。
中央都市や拠点都市にある上位中級学校は最上位一割のみが入学を許可される。
ある意味元の世界での『市立山下中学に行きたくない、進学実績のいい私立か公立一貫校に行きたい』という夢が叶ってしまった訳だ。
こんな形で叶うとは思いもしなかった。
「この世界の学校でついていけるか少々不安ではあるけれどね」
「確かに地理とか歴史は全部憶え直しだし、大変かもしれないですね」
実はレマノの知識があるからかなり自信があるのだけれど。
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