§7 これも一つのカルチャーショック

 カルチャーショックを受けたのは制服を受け取った後の着替えだ。

 この世界ではそういう場合男女別に別れるという事は無い。

 風呂も基本混浴だし。


 そんな訳で制服を渡された後の着替えは全員一緒に教室という訳だ。

 意識しているのは俺だけだろうか。

 何せ男女比で圧倒的に女子が多い。

 俺の席の周りは全員女子だ。


 ちなみにブラジャーというものは存在しない。

 なので下着シャツから胸のぽっちんがわかる訳だ。

 発育はそれぞれいい悪いあるけれど。

 ちなみにラインマインは発育がいい方。


 あ、いかんいかん。

 何せ向こうの小学校では4年生以上は体育の着替えも別室だった。

 そんな訳で他世界出身の健全な男子としてはちょっと衝撃がある訳だ。


 まあそれはともかく。

 制服そのものは上が浴衣を短くしたような重ね合わせて紐で止めるタイプ。

 下はズボンを紐で縛って止める感じ。

 式典等の時にはさらに上に羽織のようなものを着る。

 そんな感じだ。


 つまり服にベルトとかゴムというものが無い。

 着物の帯という概念も無い模様で、基本は全てズボン風の後から出ている紐を前でしばる形式だ。

 基本この地域の服はそんな形式で男女差は無い。


 色は上が水色無地で下が紺無地。

 その辺は学校によって色が違うそうだ。

 なおこれからは寮で制服に着替えて、食堂と学校では制服姿で過ごす。

 つまり女性に囲まれて生着替えは無い。

 ちょっとほっとする。

 残念な気もするけれど。


 教科書やノートは普通に配られた。

 書籍や紙は普通に普及している模様。

 活版印刷の技術も普及している。

 文字が表音文字のみのローマ字形式だから活字にし易いのもあるのだろう。


 科学技術は日本で例えると江戸時代中期から後期程度。

 全体的には蒸気機関による産業革命より前の段階。

 でも所々現代風なのは落ちてきた人間がもたらした知識のおかげらしい。


「どう、制服似合うかな」

 ラインマインの声で我に返る。

 彼女は羽織まで着た後、両腕を広げてアピールしていた。

 似合うというか、異文化の服でまだ見慣れていないんだよな。

 でもまあ、彼女は可愛いことは可愛い。


「似合っているよ」

 だからそう言ってやる。


「本当かな」

「本当だって」

「よし、信じるね」


 その言葉の後。

「着替えたら入学式な」

 教師の声。


 この後は入学式、昼食、オリエンテーションと続く。

 式とかそういったものは好きでは無いが、まあこれも義務だ。

 向こうの世界で言えば国の大臣級の来賓まで来るらしいからな。

 せいぜい真面目な顔で受けさせて貰おう。

 そんな訳で出席番号順に廊下に整列し、体育館へ向かった。

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