§5 市長補佐はシ○タ好きでした

 その後、俺の処遇等について詳しい話が実施された。


 俺が手渡すのは

  ○ 原始的なガラスの製法の知識と権利

  ○ 蒸気機関の原理・構造の知識と権利

  ○ 内燃機関の原理・構造の知識と権利

  ○ 俺が持ち込んだ身体以外のもの全部

となる。


 代わりに得たものは

  ○ この世界の通貨、日本円換算で500万円程度

  ○ 衣服や生活に必要な小物等

  ○ 国立上位中級学校の学生の地位

だ。


 昔から子供向けの図鑑や百科事典、Wikipedia等を読み漁った事が役立った。

 ただ持ち込んだ一切を手放すというのは正直寂しい気もする。


「申し訳ありません。でもこれはこの国の規則なのです。他世界の事物を世間に広めない為と、僅かな遺物でも有効に活用するためなのです」

 無論俺の知識にもその事は入っている。

「わかっています。大丈夫です」


 レマノのせいではない。

 むしろレマノはかなり好意的に色々やってくれたのだ。

 与えられた条件もかなりいいと思う。


「それでは着替えその他を持ってきます。その後本日の宿へと案内します。なお明日は学校へ向けてほぼ1日かけて移動する事になります。よく休んでおいて下さい」


「わかりました」

「それでは失礼します」


 それで終わればきっとレマノとの思い出は『若い親切な大人』で終わっただろう。

 ただその後、俺はレマノの別の面を知ることになる。

 数分後、下着を含む洋服類と登山ザック風のバッグ、その他地図や辞典から色々一式を載せたワゴンを持って現れたのはレマノ自身だった。

 てっきりここからは部下か誰かにやらせると思ったのだけれども。


「知識の散逸や不用意な拡散等を防ぐため、来訪者の世話は知識担当の補佐の仕事になっています」

 ちなみに俺の中に収まったレマノの知識は微妙にNOと告げている。

 でもここで逆らっても始まらない。

 レマノの前で服を脱ぐ。


「下着も全部です」

 わかっているからこっちを見ないでくれ。

 綺麗なお姉さんといってもいい位のレマノに見られるとかなり恥ずかしいぞ。

 でもレマノはこっちへの視線を外さない。


「身体を確認したり着替えを手伝うのも仕事ですから」

 俺の知識は明らかにNOと告げている。

 でも仕方無いので全部脱ぐ。


「それでは下着から着用方法を説明します」

 接触過剰という感じでレマノは手伝う。

 なかなか恥ずかしい体験だ。

 そうこうして着替えが終了。

 レマノは俺が脱いだもの等を持ち物一式と共にバッグに入れ立ち上がった。


「それでは本日の宿にご案内します」

 えっ、一緒に来るの?

 そう思ったがレマノの仕事?はそれだけでは済まなかった。

 旅館らしきところへついたらつきっきりで色々な物事についての説明。

 その後美味しいが何処風と言いにくい煮物中心の夕食を食べた後。

 旅館の風呂の使い方まで一緒に入って説明されてしまった。


 ちなみに風呂そのものはシャワーに近い形式。

 上からお湯が落ちてきていてその中で洗ったり流したりする感じ。

 でも俺は非常に落ち着かない。

 胸があまり大きくないのがむしろ年齢が近い感じでいけない。

 どうしても色々と彼女の身体に目が行ってしまう。

 そして風呂を上がって色々触られながら布で接触過剰気味に水を拭かれた後。


「明日の出発を見送るまでは身の回りの世話まで補佐の仕事ですから」

 知識がNOと告げるばかりか、他の適切な単語も引っ張ってきている。

 日本語に直すとショタという単語を。


「嫌ならやめますけれど、どうしますか」

 なんて色々されつつお互い裸で聞かれたら、もう……


 そんな訳でその夜、俺は十二歳にして童貞を失った。

 がっつり疲れて意識を失うように眠るまで色々とまあ……

 その感想はちょっとここでは書けない。

 だからレマノについては恩人という面以上に色々な感情がつきまとう。

 おかげでホームシックなど感じる間も無かったけれど。

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