第19話 恐るべし……
「え~と、あぁ看板が見えた。あそこだな」
俺は地図を頼りに通りを抜け、少し離れた先に目的のファミレスの看板が立っているのを見付けた。
先輩達の家からの方が近いし、ウニ先輩はもう来てくれてるのかな?
俺はファミレスに向かって走りながら入り口付近の様子を探った。
う~ん、外には居ないなぁ?
残念、まだ来ていないみたいだ。
千林ーズが居たら嫌でもその存在に気付くもん。
あっ、もしかして中で待ってるのかな?
無事に念願のファミレスに辿り着いた俺はファミレスの窓を覗き込み、中にウニ先輩の姿を探した。
途中ウェイトレスさんと目が合って少し気まずかったけど、見える範囲ではウニ先輩は居ないみたい。
けど、あの人ちっちゃいから衝立の向こうに居たら見えないや。
電話を……そう言えばウニ先輩の番号知らないや。
「そうだ。個別SMSアプリでメッセージ送ろう。『ファミレスの外に居ます』って書けば気付いてくれるかも」
名案を思い付いた俺はポケットからスマホを取り出してSMSアプリを立ち上げた。
あぁ、そう言えばこのアプリって通話も出来るんだったっけ?
どっちにしよう?
とっ、ここで立ってると千晶ちゃんに見つかる可能性があるな。
やばいやばい、ウニ先輩と合流する前に見つかったら元も子もないよ、どっかに隠れていないと。
え~と周囲には千晶ちゃんの姿は無いな……?
俺は念の為ファミレスの周囲を見回したのだが、幸いな事に千晶ちゃんの姿は無かった。
しかし、俺の視界の隅にちらっと妖精みたいな人影が映る。
街中で妖精?
そんなの居る筈が……いや居るよ!
それが千林ーズだよ!
千歳さんも+だからシスターズ+1じゃなく千林ーズ。
俺は慌てて人影の方に目を向ける。
するとそこには丁度先輩の家の方向から曲がって来たウニ先輩を見付けた。
相変わらずちっちゃくて可愛い、これが
しかし、ウニ先輩はちっちゃいから可愛いんじゃない。
黒髪ボブカットでお目々くりくりで丸い輪郭。
何度か触った事が有るけどほっぺなんて指がどこまでも入るんじゃないかってくらい柔らかいんだ。
どこからどう見ても小学生低学年の女の子にしか見えないや。
いや千林ーズ全員そうなんだけどね。
……母親の千歳までそうなのがちょっと腑に落ちないけど。
あれで俺の母さんとタメって人類としてどうなの?
本当に地球人なの?
やっぱり地球を支配しに来た宇宙人じゃないの?
その点、千晶ちゃんは可愛いって所に目を瞑れば普通の女の子って感じだ。
多分千晶ちゃんは地球人のお父さんの血が色濃く出たんだろうな。
って、今はそんな現実逃避している場合じゃない。
早くウニ先輩と一緒に家に向かわないと。
ウニ先輩は俺は探しているみたいできょろきょろと辺りを見回している。
どうやら俺の事に気付いていないようだ。
はぁ~ウニ先輩の普段着ってあんな感じなのか。
部屋着かな?
だってこの前の御陵邸に乗り込んだ時や家に遊びに来た時はもう少し落ち着いた感じだったもんね。
着替える間もなくやって来てくれたなんて本当ウニ先輩は優しいなぁ~。
俺はファンシーなキャラクタがプリントされたピンクのTシャツと黄色のスウェットに身を包んだウニ先輩を出来るだけ暖かめな眼差しで見詰めた。
その格好って千林ーズだから許されると思うんだ。
普通の人が来ていたら完全不審者だよ。
多分俺そのまま見て見ぬ振りをしてそのまま踵を返して家に帰ってると思う。
ある意味その恰好は涼子さんと双璧を成すレベルだな。
あれも涼子さんだからギリ許されるしね。
「おーい……、あ……あれ?」
俺は相変わらずきょろきょろしながらこちらに歩いてくるウニ先輩に声を掛けようとした時、言い知れぬ違和感を覚えた。
声を掛ける寸前に一瞬目が合ったと思ったのに、ウニ先輩はそのまま目を別の所に移したんだ。
目を逸らしたのとは違う、なんだか俺の事を全く知らないと言った感じに普通に辺りを探るようにきょろきょろを続けている。
あれ~? 俺の私服見た事無かったっけ?
そう言えば制服姿と部屋着姿しか知らなかったか。
だから気付かなかった……でもそんなに印象変わるかな?
それとも気付いているんだけど、周囲の警戒を怠らず千晶ちゃんの襲来に備えてくれているって事だろうか?
そうだったら良いんだけど、ウニ先輩に知らんぷりされるのはちょっと傷付くなぁ。
俺も辺りを見回してっと……うん、千晶ちゃんは居ないな。
とは言え大声出すのはマズイし、ウニ先輩ももう近くまで来ている。
小さい声で呼びかけようか。
「お疲れ様です。もう警戒はしなくて大丈夫ですよ」
あれ? 声を掛けたのに、ウニ先輩ったら目が合った途端なんか不審な目で俺を見出したんだけど?
ど、どう言う事?
もしかしてウニ先輩って学校外で声掛けられるの嫌な人なの?
そんな目で見られるの凄くショックなんだけど……。
「貴様は誰だ?」
「え?」
え? え? 聞き間違いかな?
今ウニ先輩の口から信じられない言葉が出た気がした……。
え~と、聞き間違いじゃなければ『貴様は誰だ?』って聞こえたんだけど。
『貴様』って『貴様』って……、そんなのまるで初対面の時のウニ先輩じゃないか。
そう言えば顔付きもキッと目力を入れて俺の事を睨んで来ているのも初めて生徒会で出会った時
そのままだ。
あの時は風邪でゴホンゴホン言いながら凄んで来たんだよな。
まぁ可愛いから迫力は無かったんだけどもね。
でも、なんで今更その時の再現をしているんだろう?
ウニ先輩流のジョークなんだろうか?
「あの千尋先輩……? えっと、どうしました?」
この突然の行動の意味を確認する為、ウニ先輩に理由を尋ねてみた。
「千尋~? 貴様は誰だ! 答えろ!」
俺の問い掛けにも相変わらずの態度で俺に凄んでくる。
ん? あ、あれ? なんかおかしいぞ?
ジョークにしてはちょっと落としどころが分からない。
俺はどうやってツッコンだらいいんだ?
芸人先輩なら的確にツッコめるのだろうか?
それとも更なるボケへの誘いなのかもしれないな。
ならもう少し乗ってみるか。
「いやだな~。俺ですよ。牧野です」
「ま~き~の~だ~と~?」
ウニ先輩は地獄の亡者共の様な声で俺の名前を聞き返してきた。
その姿はまさしく"ぷんぷん"と言う可愛らしい擬音がぴったりな感じで胸を張り両手を腰に当てている。
なんか頭に"=3"こんなぷんぷんマークが見えるようだ。
ははっ、本当に初めて会った時の再来って感じ。
しかし、ここからどうやってギャグに持っていくんだ?
シュール系ギャグなのか?
くそっ! 俺のツッコミへの経験値が不足しているようだ。
ウニ先輩のボケに対するツッコミラインが全く見えない。
こんな事ならもう少し芸人先輩の所で修行するべきだったか……。
俺は自分のツッコミ道の未熟さを反省しつつ、このギャグのネタバレをしてもらうようにウニ先輩にお願いする事にした。
トホホ……完全な敗北宣言だよ。
「ちょっ? 本当にどうしちゃったんですか。千尋先輩、どう言う事なのか教えてください」
「どう言う事だと? それはこっちのセリフだ。それにオレは千尋ではない!」
……は?
何処からどう見てもあなたはウニ先輩じゃないですか。
もしかして弟さんが居たんだろうか?
それとも兄?
あっ! もしかして千歳さんの兄弟って可能性も十分有るな。
千歳さんが四十越えて
いやいや、アラサーの男性が
と言う事は従兄弟って可能性が高いかも。
なんか千歳さんの森小路一族って遺伝子強そうだし。
言い易いから千林ーズって言ってるけど、千歳さん血統なんで本当は森小路ーズなんだよね。
おや? 『モリショージーズ』も言い易いな?
これからはそれでも良いか。
千晶ちゃんだけがお父さんの方の千林一族の血を強く受け継ぐ事で成長出来たって気がする。
けど、ちょっとこの人怒り過ぎじゃない?
あぁ、そうか。
元々俺がここに居るのを探してて怒っているようだったし、俺の名前を聞いた途端更にヒートアップした感じだから、ドキ先輩の件で怒ってるのかも。
実は従兄妹のドキ先輩の事が好きで、そのドキ先輩が俺に好意を向けてくれているのを知って怒っているのかも。
う~ん、千晶ちゃんとそのお父さんだけでも気が凄く重いのに、更に一人参戦か~。
何とか説得して状況を分かって貰うしかないや。
「あの……千林先輩達の従兄弟の方ですか?」
「はぁ~? 従兄弟だと~? お前は何処を見ている!」
ん? 何処を見ているって言われても、しっかりあなたの事を見ていますよ。
そのまん丸お目々にぷにぷにホッペ。
さらさら髪のキューティクルも太陽の光を反射してまさに天使の輪と言っても過言じゃない。
まさに森小路ーズの特徴を有していますね。
この眼はしっかりと森小路ーズの遺伝子の特徴を捉えています。
だけどこの反応は従兄弟って予想は外れたって事か。
ならどんな関係なんだろう?
もしかして、はとこ? ギャプ娘先輩に対する乙女先輩って感じなのかな?
だとしたら似過ぎている気がしない訳でもない。
ギャプ娘先輩と乙女先輩ってぜんぜん似てないしね。
まぁ森小路ーズの遺伝子ならおかしくないのかもしれない。
地球人類じゃない可能性も高いんだし。
けど、それも違ったらまた怒りそうだし本人に聞くのが良いか。
「ごめんなさい。あの千林先輩達とどう言ったご関係の方なんでしょうか?」
俺は素直に森小路ーズとの関係を目の前の森小路ーズに尋ねた。
千歳さんの血縁関係者には違いない筈なんだけど。
「そんな事も分からんのか! オレは千尋達の父! 千林 千春だ!」
……?
………え?
…………今なんて言ったの?
俺の頭の理解が追いつかない。
えーーと俺の耳が正常なら確か『父』って聞こえた気がしたんだけど?
『父』ってどう言う意味だっけ?
一般的には『お父さん』って意味だよね?
俺の聞き違いか?
ははははっ! そうだよね。
聞き間違いさ。
もう一度尋ねよう。
「えーーと、千春さん? いま千林先輩達の『父』と言いましたか?」
「そうだ! 一回でちゃんと聞け! それに馴れ馴れしく名前で呼ぶな」
「え? あ、すみません。一つ聞きたいんですが、あの『父』って言うのは、『お父さん』って意味で正しいんですよね?」
「はぁ~? お前は馬鹿か? それ以外何と言う意味があるんだ!」
………。
いや、そりゃあね。
先輩達がこの千春さんと似ているのは確かだよ?
現にウニ先輩と間違ったんだしね。
けどね? けどね……。
………………。
………………。
………………。
「うおぉぉぉぉぉぉ! なんで! なんで! お父さんまでそっくりなんだよぉぉぉぉぉ!!」
俺の精神は理解の範疇を超えたこの事実にあっさりと崩壊して思わず魂の慟哭の如き絶叫を上げてしまいそのまま地面に崩れ落ちた。
そして、こぶしでアスファルトを何度も殴る。
千歳さんに会ってなかったらまだ納得いった!!
親子で似るのは当たり前だしね!
俺も親父にそっくりだしさ!
けどね……?
本当にけどね!
夫婦で似るってなんだよ!!
似た者夫婦の枠を超えてんだよ!!
上空一万メートル越えでそんな枠を超えてんだよ!!
クローンかっての!
今になってお姉さんが千林家から帰ってきた後にげっそりとしていた理由が分かったよ。
マジで恐るべし……。 恐るべし千林一族!!
「ふぇぇぇ~」
ん? 今なんかとっても可愛い声で『ふぇぇぇ~』って怖くて今にも泣きそうな声が聞こえて来たぞ?
どこかで子供が泣いているのか?
ふと耳に聞こえて来た子供の泣き声に少し冷静になった俺は声のする方に顔を向けた。
なにこの可愛らしい
そう思わなくも無いが、そこには泣きそうな顔のウニ先輩……いや、その恥ずかしいTシャツは千春さんでしたっけ? が居た。
どうやら俺の突然の慟哭にビビッてしまったようだ。
しかし、俺と目が合った途端すぐに目をキッと力を入れ俺を睨む。
今更遅いよ……。
今更凄んでも遅いんだよ……。
もうなんか出会った時のウニ先輩そのまま何だけど、本当にこの人はお父さんなのか?
実はウニ先輩が化けてるって可能性は本当に0なのか?
「きっ貴様! 急に大声出しやがって! 怖か……。ちっ、違っ。ボク……オ、オレを馬鹿にしてるのか!!」
大声上げたのが怖かったんですね、すみません。
あと今『ボク』って言いかけましたね。
それに馬鹿にはしてませんよ。
「千花の件も併せてもう勘弁ならん! オレの怒りを思い知れ!」
本当にすみません。
本当に今更あなたが凄んでも迫力無いんですよ。
もう微笑ましくて微笑ましくて。
その恥ずかしいTシャツじゃなかったらまだマシだったと思いますけどね。
千春? さんは怒り出して掴み掛かろうとして向かってきた。
ウニ先輩のようにいきなり殴りかかって来ないのは流石に大人って事なのかな?
とは言え、なんか必死な顔して両手を上げてるこの姿はとても愛らしい。
でも、そんなに走ったら危ないですよ? あっほら……。
ぴょこぴょこぴょこ、がっ! すってーんっ!
可愛い擬音を出しながら走って来た千春? さんは何かに躓いたようで、俺のしゃがみ込んでいる目の前すぐに思いっきり顔から転んでしまった。
今自分の足に自分で躓いたよな?
…………。
あれ? 動かない?
千春? さんは壮絶に顔面から転んだ状態でそのまま動かなくなってしまった。
え? 大丈夫か……ん? 肩が少し揺れている? あと何か聞こえてくるような?
「……ヒック、ヒック」
あっ痛くて泣きそうなのを堪えてるんですね。
マジでこの人ウニ先輩なんじゃないのか?
ウニ先輩との生徒会室での出会い完全再現なんだけど……。
仕方無いなぁ~。
「大丈夫ですか? 千春さん」
俺は目の前で倒れている千春? さんを抱き起こした。
なんかすげぇ軽いなこの人。
体重までウニ先輩完全再現に驚いた。
目に涙が溜まって必死で泣くのを堪えている表情までそのままだ。
しかもアスファルトに顔をぶつけたもんだから汚れちゃってまぁ。
あっ鼻血が出てきた! しょうがないなぁ。
俺は汚れた顔と垂れてきた鼻血をハンカチでふき取り、ポケットティッシュを千春? さんの小さい鼻の穴に合わせて丸めて入れて上げた。
千春? さんはなんか俺の処置を素直に受け入れキョトンとしている。
やっぱりあなたウニ先輩なんじゃ?
「これで大丈夫ですよ。急に走ったりしたら危ないですから気を付けてくださいね?」
俺は子供をあやすように優しく頭を撫でてそう言った。
あっ顔を赤くして顔をしかめた……、流石にちょっと子供扱いしすぎたから怒っちゃったかな?
本当に先輩達のお父さんならちょっと失礼過ぎたか。
この顔から千林ーズと同じ対応しちゃったよ。
「うわぁぁぁん痛かったよ~」
ウニ先輩の時と違って今度こそ怒るかと思いきや、またもや完全再現の如く子供のように泣き出して抱きついてきた。
丁度俺がしゃがみ込んでいる所に飛び掛る様に抱きいて来たもんだからなんだか抱っこする形になってしまった。
うわぁ~なんだこの生き物? 小さな子ウサギみたいに俺の手の中でぷるぷる震えてるぞ?
この人が何歳か分からないけど、抱き心地もウニ先輩そのままだ!
完全に森小路一族の血を感じる!
あっ! もしかして千春さんは本当のお父さんじゃないんじゃないか?
血縁上のお父さんは死んじゃって、森小路の血族の誰かと婿入りの再婚したのかも。
それなら似ている事も苗字が千林のままなのも納得だ! うん多分そうだよ!
俺の精神衛生的にも、そうであって欲しいと思う。
「はい、大丈夫大丈夫。もう痛くないですよ~」
俺は優しく背中を撫でて泣いている千春さんを落ち着かせた。
まぁ流石に結婚出来る年齢の筈なので、もう大丈夫だろうと抱っこしている千春さんを降ろして立たせようとした。
しかし、ガッチリホールドされて離れない。
「ヒックッ……家まで抱っこ!」
なっ……なんだと?
いい大人が家まで抱っこだと……?
「ちょっ……千春さん? 抱っこってそんな……」
「千花が変っちゃったお詫び!!」
ぐっ、それを言われると何も言えない。
仕方無いか……、それでチャラにしてくれるなら安い物だ。
……本当にウニ先輩じゃないんですよね?
「わかりました。このまま家まで送りますよ」
観念した俺は千春さんを抱っこしたまま立ち上がった。
抱っこしてるんで千春さんの顔は見えないけど、森小路ーズ……もう千林ーズで良いか。
顔は見えないけど、この一ヶ月弱千林ーズを幾度も抱っこして来た俺なら分かる。
俺の肩を握っている手に入る力や耳に聞こえる息遣い。
間違いなく今千春さんは満面の笑みで喜んでいる事だろう。
抱っこした事ないんで分からないけど千歳さんも同じ顔しそうだな。
人妻抱っこする気はないんで、そんな事分からなくてもいいけど。
「ありがとう! 牧野くんは優しいねぇ~」
千春さんはギュッと抱き締めてきながら嬉しそうにそう言った。
なんかまんま千林シスターズ+1だなこの人。
と言うか、なんで加齢臭せずに他の千林ーズみたいに赤ちゃんみたいなミルクの匂いがするんだろう?
恐るべし千林一族。
まぁ、抱っこした人から加齢臭したら流石の俺でも萎えるので助かったけども。
「千花……ううんそれだけじゃない。千夏や千尋……それに千歳が毎日楽しそうなのは牧野くんのお陰ってのが分かったよ。本当にありがとう」
「千春さん……いえ、そう言って貰えると俺もうれしいですよ」
最後に千歳さんの名前をだされたのは、なんだかすっごく気まずい気分になりましたけどね。
もしかして千春さんが怒っていたのは皆が楽しそうにしている疎外感から来る物だったのかな?
……千歳さんの名前が出てくるの少しタイムラグが有ったのは気の所為だよね?
妻が他の男の名前を嬉しそうに喋ってるのを嫉妬していた訳じゃないよね?
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