第10話 第三種接近遭遇

 

「へぇ~これが牧野くんの通う高校の制服なんだ~」


 追いかけごっこが疲れたので酒盛りを再開した俺達。

 まぁ俺はジュースなんだけど。

 金銀のアルミ箔に包まれたおつまみは、涼子さんが苦手と言う幸運も重なり何とかありつく事が出来た。

 腹ペコモンスターにも苦手な食べ物が有ったんだな。

 そんな中、急に涼子さんが漫画の資料として男子制服が見たいと言い出したので購入したままケースに入っていた制服を渡した。


「数年前から男女ともブレザーなのよね。昔は男子は学ランで女子はセーラー服だったわ」


 親父もだがお姉さんもこの学校の卒業生だ。


「ブレザーも良いけど~やっぱり男子学生と言ったら学ランよね~」


「そんな事言いながら先生のデビュー作ではブレザーだったじゃないですか」


「そうなんだけどあれは兄の制服を資料として使ったから仕方無いのよ」


 あっお兄さん居るんだ。

 わがまま一人っ子と思ってた。

 いや末っ子お姫様だったのだろうか?


「妹の高校は学ランだったのよねぇ。もうちょっと早ければ借りれたかもしれないのに」


 え? 真ん中でどうやったらこんなバオバブの木ようにのびのびと育つ事が出来るんです?


「涼子さんって兄妹居たんですね」


「ええ二人ともあたしにとってもやさしいの」


 あぁ二人ともブリーダームツゴロウさん的な素晴らしいマインドをお持ちだったんですね。


「さっきも言ってましたけど資料で見たいってことは、今も学園漫画を書いてるんですか?」


 あぁそんなに制服をグチャグチャにしないでください。


「違うわよ~。今はファンタジーな世界の恋愛物なの。あらぁ? 牧野くんも興味出てきた~?」


 え? ファンタジー? ただ見たいだけなんじゃないだろうか?


「違いますけどね。それよりファンタジー物で制服関係あるんですか」


「大有りよ~。漫画家はね、次いつ必要になっても良い様に常日頃から情報収集は欠かせないのよ」


 ガーン! 涼子さんが正論を言ってる。

 なんだかんだと言ってもやっぱりプロなんだな。


「まぁあたし学園物はデビュー作で懲りたので二度と書く気無いけどね」


 良い笑顔でそう言った。

 ははは、さすが涼子さんブレないなぁ~。


「しかし感慨深いものねぇ。コーくんがあたし達の母校に通うようになるなんて」


 酔っぱらって少し顔が赤くなっているお姉さんがそんな事をしみじみと言いだした。

 学生の頃のお姉さんてどんなんだったんだろうか?

 今でもこれだけパワフルなんだからとんでもない学生だったのだろう。

 スケ番とかだったりして。


「あの頃は何故か総番とか呼ばれてたわ」


「えぇぇぇーーー!」


 トップじゃないですか。


「違うのよ、あの頃は光にぃがもう就職してて日本中あちこち飛び回ってたからとっても寂しくてね。ちょっとむしゃくしゃして喧嘩ばかりしてたのよ。気が付いたら周りに喧嘩売ってくる人が居なくなってそう呼ばれてただけよ」


 何が違うのですかお姉さん。

 それ完全にキングオブキングスじゃないですか。


「ちゃんと学校には行ってたのよ。それに不良を更正させたって先生にも褒められたし無遅刻無欠席で皆勤賞も貰ったし勉強だって頑張ってたんだから」


「なんか影の風紀委員みたいな感じですね~」


 涼子さんはキラキラした目でお姉さんの話を聞いている。

 漫画のネタに使うのかな?


「なるほど……、大和田さんから時折発せられる"気"で只者ではないとは思っていましたが」


 黄檗さん"気"ってなんですか?


「ただ一人だけ勝てない奴が居たのよね」


「俺が通う高校って化け物が集う魔窟か何かなの?」


 ちょっと怖いんだけど。


「あぁ違う違う。学校なんかに敵は居なかったわ。勝てなかったのはあの女狐・・・・よ」


 ん? それってつまり?


「久し振りに帰ってきた光にぃが『僕の奥さん』だとか言って連れて来たから絞めてやろうと思って何度か喧嘩したんだけど結局勝てなかったのよ。まぁ負けもしなかったんだけどね」


 やっぱり母さんか!


「後で知ったんだけど元々関西の方で最強の虎って呼ばれてた伝説のスケ番だったのよね。あの女ぎ……コーくんのお母さんって」


 え? 西の虎ってその頃の渾名を引きずってたの?

 と言うか俺の両親が伝説作り過ぎな件について。


「なんかやり合ってる内にね、こいつはこんなにも光にぃの事を好きなのかって思うようになってね。仕方無い今は譲るわって気持ちになったのよね」


 懐かしい記憶に思いを馳せている顔をしながらお姉さんはそう語った。

 ……ん? 『今は』って言った?


「最初はすぐに逃げ出すと思ってたのよ。普通の女性ならいくら好きな人の知人だからって何度も喧嘩売ってくる小娘なんて面倒くさいの相手にしてられないじゃない? その通り逃げ出すか、それとも警察に訴えるとかするわよね。でもあいつは何度喧嘩吹っかけてもキチンと受けて、喧嘩が終わると『またいらっしゃい』って言ってくるのよ」


「少し信じられないけど、確かに所々母さんならそうしそうな感じはするね」


「そうこうしてるうちにね、こっちが根負けしたのよ。あぁこの人なら光にぃを任せられるわってね」


 お姉さんを根負けさせるなんて母さん凄いな。


「と言っても、今は貸してあげてるだけだからいつか返してもらうけどね」


 あぁ諦めては無いのですね。


「まぁその後、美貴さんとは仲良くなってね。本当言うと引っ越して行った後も美貴さんとは何度か連絡を取り合ったりしてたのよね」


 お姉さんは過去の出来事を告白した事で吹っ切れたのか母さんの名前を嫌味合戦の時の他所行きな言い方では無く自然体で言っている。

 それに母さんがお姉さんと連絡取り合っていたなんて知らなかった。

 親父にはあんなに怒っていたのに。……そういう物なのか?


「この前光にぃが電話してきたじゃない?」


「あぁ俺の引っ越しの件の時?」


「そう。あの後美貴さんは『コーちゃんの事お願いね』ってこっそり電話してきてくれたのよね」


 二人って本当に仲が良かったんだなぁ。


「話は戻るけど、その後暫くして美貴さんは妊娠してコーくんが生まれたの。本当に嬉しかったなぁ。その頃は私も落ち着いていたし、二人が出張で出かける時とか美貴さんに頼まれてコーくんの面倒をみてたのよ」


 俺がお姉さんが総番なんて物騒な存在だったって知らなかったのはそういう事か。

 それに母さんは嫌々お姉さんに俺を預けていたわけじゃなかったんだな。

 嫌いな相手の元に俺を置いていったと言う訳じゃないのが分かって少し嬉しくなった。


「大和田さんが牧野さんのお母さんて言うのも、あながち間違ってないのかもしれませんね」


 黄檗さんが感慨深げにそう言った。


「牧野くんの家庭の話で漫画一本書けそうね~」


 止めて下さい。


「少し気になったんだけど、そんな色んな所に出張していたのに俺が5歳までこの街に居たのはなんでなの? その後は関係無しに引っ越しばかりしてたけど」


 長い時は1週間居ないとか、何回も同じところを行ったり来たりしていたのを覚えている。

 その時はただ買ってきてくれるお土産のお菓子達に気を取られて、そんな事を考えた事も無かった。

 その後引っ越す様になって、その度になんで昔みたいに同じところに住めないのかと疑問に思っていた。

 余りの悲しみに両親に食って掛かった事も有る。

 そんな俺に対して両親は悲しそうな顔をしてごめんねと言うだけだった。


「あぁそれね。あの頃も光にぃや美貴さんは今の様に色んな所に行かされていたのよ」


 様々な場所のお土産から薄々感じてはいたがやはりそうなのか。では……?


「かなり苦労してたみたいよ。二人とも帰ってくるたび死にそうな顔してたもん」


「それは知らなかったな。逆になんでそれまで引っ越さなかったんだろ?」


 いい加減行ったり来たりが辛くて耐えきれなくなったんだろうか?


「それはね、コーくんに故郷と言う物を作ってあげたいって想いからなのよ」


 え? どういう事?


「二人供会社から転勤の辞令が山程出てたらしいわ。でもね少なくとも子供が物心付くまではここから動かないって突っぱねてたのよ」


「知らなかった……」


 そんな事教えてもくれなかった。


「故郷と言うものが無いと人間駄目になるって言ってね。コーくんが5歳になる頃にどうしても断れなくなって転勤することになってしまったって嘆いていたわ」


 両親は俺の事をそんなに想ってくれていたのか。

 いつだったか俺の事なんかより仕事が大事なのかよ! って怒鳴ったこともある。

 それを聞いた両親はどんなに傷付いたのだろうか。

 そして俺の事をどれだけ思ってくれていたのだろうか。

 また目頭が熱くなってくる。


「コーくん? コーくんも引っ越しで色々と辛いことが有ったと思うけどあまり二人の事悪く思わないであげてね」


「うん……、分かったよ」


「あー酔っちゃったから変なこと言っちゃったわ。これ二人から言うなって言われてたの。内緒にしといてね」


「エェ話や~」


 涼子さんが涙を流してる。

 隣で黄檗さんも涙を拭ってる。


「ちょっと湿っぽくなったわね! さぁもっと飲もう飲もう!」


 お姉さんが場を盛り上げようと声を上げた。


「そーですね飲みましょ~」


 その後宴会は深夜回っても続けられた。


 流石に一緒に雑魚寝するわけにもいかず俺は隣の部屋で寝ることになった。

 翌朝起きて部屋を仕切っている扉を開けるとまだ皆寝ているようだった。

 起こさないように台所に出ると今日作るカレーの準備に取りかかる。


「野菜や肉は昨日買ったから~」


 あとは何が必要だったかな?

 ワインはミートソースの時のが残ってる……?

 あれ? ここに入れてた筈なのに?


「ない!」


 間違えてどこかに置いたかと思い周りを見渡す。


「あっ、有った……」


 いつの間にか食卓の上に空となって転がっていた。


「いつの間に……しまったなぁ言っておくべきだった……」


 おそらく俺が部屋に入って寝た後も飲んでいたのだろう。

 酒が切れて何かないかと家探しして見つけたのかもしれない。

 いやもしかしたら不名誉な言いがかりのエロ本探しの最中既に場所を把握していた可能性が高いな。

 流石に料理酒やみりんまでは手を付けていなかった。

 いや料理酒は少し減ってる……、無くなってないってことは不味かったのか。

 確か料理酒って普通の酒では無く塩分が入っていて塩辛いと聞いた事が有る。


 俺のカレーは先に別の鍋で牛肉のワイン煮を作ってから混ぜ合わせるんでワインが必要不可欠だ。

 仕方無い買いに行くか。

 この際カレーのルーももう一個買っておこう。

 涼子さんは兎も角、黄檗さんもがっちり食べるみたいだし、お姉さんは完全に予定外だった。

 2個じゃちょっと心許ない。


「ごめん。ちょっと足らない物が有るので買い物行ってくるよ」


 寝ている皆には悪いのだが一応声を掛けた。

 するとみんなして起きて来た。


「買い物行く行くー!」


 涼子さんは何やら嬉しそうにニコニコしている。


「商店街に行くのですか? それなら牧野さんのお父さんが立て直したと言う商店街を見てみたいですね」


 黄檗さんも行きたいようだ。


「私ももちろん付いていくわよ。今晩のお酒も買っておきたいしね」


 全員で行く事になるのか……。


 涼子さんと黄檗さんは身支度をしに202号室に戻って行った。

 年頃の女性だから身だしなみに気を付けているのだろう。

 あの涼子さんでさえこの恰好じゃちょっとねと言っていたし。

 お姉さんも持ってきていた化粧ポーチで化粧直しをしている。

 お姉さん最初から泊まる気だったんだな。


 待たせたら悪いと思ったのか30分ほどで身支度を終え涼子さん達が帰って来た。

 女の人の身支度ってもっと長いと思っていたのに違うのかな。


「昨日の夜食玩愛好会の掲示板にね、来週発売のチョコ玉子絶滅種シリーズが今日この地域で先行発売されるって情報が流れてたのよ!」


 あぁ俺に悪いと思ったんじゃなくて、ただ単に自分が早く買いに行きたかったんですね。

 そう言えば俺が寝るため隣の部屋に行こうとした際に何かスマホを見ながら奇声を上げていましたね。


「……じゃあ行こうか」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 4人で商店街まで歩く。

 先頭で楽しそうにスキップをしている涼子さんは赤色のTシャツと黒ジーンズと言う思ったよりちゃんとした服装をしていた。

 宇宙人を思わせるあの恰好で無くて本当に良かった。

 でもパッと見は格好良く見える横文字のプリントTシャツに書かれている文字は"NIKUKYU DAISUKI"だった。

 何処で売っているんですかそれ?

 それに"I♡地球"といい、なぜ何かを好きと宣言するTシャツばかりなのですか?


「先生に任せるととんでもない格好をするので、私が出来るだけマシなのをチョイスしました」


 これでもマシなのか。でも黄檗さんナイス!


「あっそうだ!」


 急に涼子さんが立ち止まり俺の方にやって来た。

 何だろうと思っていると俺の頭を両手で優しく掴み……。

 憂いを帯びたまなざしで俺を見つめて……。

 顔がどんどん近づいてくる……。

 形の良い唇がすぐそこまで……。

 え? キス……?


 ……はせずに俺の額に自分の額を当ててきた。


「! ! ? ? ! !」


 それでも急な事に思考が追いつかない。

 プライベートのノーメイク状態でも一応キレイでは有ったのだが、今目の前に居るのはバッチリメイクをした涼子さんであり、その顔は最初に見たあの素敵な隣人美人に戻っていた。

 顔が近い近い! 吐息が当たる! 良い匂いがする!

 俺は頭が真っ白になって硬直した。


「こらー! 深……涼子さん! 何しているんですか!」


「先……深……墨染さん! それ事案仏契ぶっちぎりです! アウトですよ! 外で何しているんですか!」


 慌ててお姉さんと黄檗さんが涼子さんを引き剥がした。

 流石お姉さん! 涼子さんの身バレを防ぐために咄嗟に言い直す事を忘れない。

 黄檗さんも頑張りましたね。


 引き剥がされた涼子さんは悪びれた様子も無く頭を掻きながら、


「いや~折角の初玉だし牧野くんって強運の持ち主だからちょっと運を分けて貰おうと思って~」


 え? あなたは人の運を吸取る悪魔か何かなのですか?


 それに"初玉"ってチョコ玉子の新シリーズの事をそう呼んでいるんですか?

 先程の事にまだ頭の整理が付かない。

 顔が真っ赤で心臓がバクバクいっている。


「なに馬鹿な事言ってるんですか! もう少し常識を弁えて下さい」


 怒る黄檗さんの横であまりの回答にお姉さんはツボに入った様で腹を抱えて笑っている。


 どうにかこうにか気を取り直し再びみんなで歩き出す。


「涼子さん……マジ勘弁して下さい……」


 先程行われた第三種接近遭遇に、まだ顔が熱い俺は涼子さんに抗議する。


「ごめんなさい。でも顔真っ赤にしちゃって可愛いわね」


 ちょっと意地悪な表情を浮かべてからかってくる。

 本当にこの人は……―



 ―ゾクッ



「ん?」


 その時何やら背中に悪寒が走った。

 最近何やら視線を感じる事は有ったがこれ程の視線と言うか殺気? を感じる事は無かった。

 余りの事にあたりをキョロキョロしていると涼子さんは、


「急にどうしたの?」


 と言ってまた顔を近づけて来る。


 ―ゾクッ


 また感じる。

 再度辺りを見回したが何も見当たらない。

 ん? お姉さんと黄檗さんが目配せしてる? 何だろうか。


「もう牧野くんたらおかしな子ね。そんな事より早く行きましょう!」


 チョコ玉子が早く欲しいようで涼子さんはそう言って歩き出した。

 気のせいかと思い俺も後に続く。


「ごめーん! あたしちょっとあっちの店に用事が有ったの! すぐ戻るから先に行ってて」


 お姉さんは急に慌てたようにそう言って何処かに走っていった。


「仕方ありませんね。言われた通り先に行っておきましょう。先生も待てないようですし」


 黄檗さんがそう言って先に行っていた涼子さんの所に向かう。


「何なんだ?」


 不思議に想いながらも二人を追いかけた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「やったー本当に売ってたー!」


 駄菓子屋チックなお菓子屋に着くなり目的の物を見つけた涼子さんは子供のようにはしゃいで新シリーズのチョコ玉子を選んでいる。

 全部買い占めるかと思ったら3個だけしか買わないようだ。


「涼子さんの事だから全部買う~とか言うと思ってましたよ」


「そうしたいんだけど初玉だからね。私が買い占めちゃうと他の人に迷惑が掛かるじゃない? そこはプロとしてのマナーなのよ」


 また出た初玉。

 文脈からチョコ玉子新シリーズの初リリースという事でしょうか?

 と言うかプロのマナーって、昨日も言いましたがあなた漫画家さんでしたよね? しかもプロの。


「それにこの商店街に他にも売ってる所有るんじゃない?」


 あぁ全部回る気ですね。


「折角だし俺も買ってみますよ」


「お願いね、あっ出来れば3個くらい買って~、黄檗さんもね」


 あ~自分が買わないのはカウントされないんですね。

 プロの矜持とかないのですか?


「あらあら光一君も隅に置けないね~」


 ニヤニヤしてそう言ってくる店長のお婆さん。

 止めて下さいそれは誤解です。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 当初の目的のワインとカレールー及び追加ミッションのチョコ玉子と酒購入の為、酒屋に向かう途中でお姉さんがにこやかな顔で戻って来た。

 黄檗さんと何やらアイコンタクトをしている。

 何だろう?


 不思議に思いながらも歩き出す横からお姉さんは俺の頭をポンポンと叩き、

「コーちゃん? 女の子には優しくしないとダメよ?」

 と言ってきた。


「え? 急にどうしたんだよ?」


 訳も分からずお姉さんに尋ねたが、お姉さんはただニヤニヤするだけで何も言ってくれなかった。


「みんな~早く~! チョコ玉子が逃げちゃうわよ~」


 知らない間に一人でずんずんと歩いて行っていた涼子さんが少し離れた場所から叫んでいる。

 外でそんな風に大声で呼ばれるのはかなり恥ずかしいのですが。

 周りの人がみんな見ていますよ?


 あっ黄檗さんが他人のふりしてる。

 お姉さん明後日の方向を見ながら離れていかないで下さい。

 それと涼子さん? 目的の酒屋はそっちじゃありませんよ?


 そんなこんなで酒屋に着き無事に買い物を終えた。

 チョコ玉子も勿論売っていた。



「光一君も隅に置けないね~」


 ニヤニヤしてそう言ってくる酒屋の大将。

 止めて下さいそれは誤解です。


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