第14話 い・や・で・す
「そっか・・・白谷神社の生まれなら、素養は有るのよね」
厨二病の素養。
「龍生には、此処で基礎の修練を積んで貰おうと思うの。そうすれば・・・雪華ちゃんにも、少しは対抗できる筈・・・」
あいつ、すげー勢いで矛とか出してたぞ?
生半可な厨ニ力?とかでは無理だと思うんだが。
ポリ・・・
修練場にいた黒子から貰った砂糖菓子を食べつつ、館の周りを案内してもらう。
「何処まで身に付ける事ができるか分からないが・・・」
今日まで、超常現象とは縁のない人生を送ってきたからなあ・・・
「まあ、雪華ちゃんを理解する糸口にするだけだから・・・少し、触りでもできれば良いと思うの。私は・・・その間に、厨二病の事をもっと調べてみるわ。いつかはきっと治るけど・・・早く治療する方法も有るかも知れない!」
でもさ。
「家系が原因なら、治らないんじゃないのか?」
明菜は、つと目を逸らすと、
「現実との折り合いは、つく様になったわ」
そう呟いた。
まあ・・・やらないよりはマシだろう。
--
「君が、娘の友人かね。娘が友人を連れて来ると聞いて、嬉しく思ったが・・・男とは思わなかったよ」
ですよね。
明菜の父親の、何かを抑えた様な声に、心の中で頷く。
「で、娘とはどんな関係かね?」
「お父様!龍生は、そういう目的で訪れたんじゃ無いんです!」
明菜が、強い口調で、非難する様に言う。
「うむ・・・?」
面食らい、父親が後ずさる。
「龍生は、ただの彼氏です!そういうのやめて下さい!」
偽装だけど。
「う、うむ・・・すまん・・・」
数歩後ずさり、父親が謝り・・・
「あれ?」
小首を傾げる。
ですよね。
「お父様、龍生に、我が家の陰陽の鍛錬をつけてあげて下さい。少し事情が有って、陰陽の鍛錬が必要なんです」
明菜が父親に頭を下げる。
「お願いします」
俺も、頭を下げる。
「むむ?我が家の秘を明かすとは・・・明菜、お前は何を考えておるのか?」
やばい。
明菜が責められてる。
事情を話して・・・
「大丈夫です、お父さん」
「誰がお義父さんかね?!」
何故か妙な所に噛み付かれる。
何故。
「えっと、お父さん、大丈夫ですよ。私は白谷神社の息子、他所者ではありません」
「白谷神社の関係者が吾ら黒の森の民の秘に手を出すなあああああああ」
やばい。
更にヒートアップした。
「もう、お父様!基礎や概念を教えるだけで良いんですよ?!駄目なら、私が自分で教えます!」
「自分で、だと?お前は修練から逃げ、我が一族の秘を否定したのだぞ?諸元の火すら操れんじゃろうが!」
「諸元の火くらい操れます!」
明菜がびっと人差し指を建てると、
「オン・ウウ・テアツウオィ・ウリ・エーン!」
ゴッ
明菜の人差し指に、拳大の青い炎が灯る。
「な・・・明菜・・・お前・・・まさか、手を抜いていたのか?!これは・・・儂よりも遥かに・・・強力だ」
明菜、お父さんより厨二力高いのか。
「ぬう・・・まさに、何百年に1人の逸材・・・」
これ、幻覚なんだよな?
厨二力って一体なんだよ。
「私は・・・普通に生きたいの。でも・・・今は、今だけは、龍生にこの陰陽が必要なのよ」
明菜はそう言うと、
ふっ
青い炎が消えた。
「明菜・・・やはり、お前は我が家を継ぐべきだ。今すぐ高校に行くのをやめて、陰陽の修行をするんだ!」
「い・や・で・す!」
親子喧嘩が始まってしまった。
どうするかなあ・・・
あの火を出す奴、俺がやっても出るのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます