第11話 転校

「雪華・・・?どうしたんだ、朝から。道は反対側だろう?」


「そういう問題じゃないんです!」


遮られる。


「雪華ちゃん・・・学校遅刻しちゃうよ・・・?」


明菜も、困惑した様に問う。


「魔女は黙ってて!」


「えっと・・・雪華ちゃん・・・かい?何だか、少し見ない間に雰囲気が・・・?」


鳳が困惑した様に言う。


「モブも黙ってて!」


おいおい・・・

あんなに慕ってた鳳をモブ扱い。


厨ニ病って、こんなに進行が早いのか?

これ自然治癒とか言ってられるのか?


「お兄様、昨日はどういう事ですか?!ずっとお待ちしてたんですよ?!」


「いや、泊まるって伝えたよな・・・?お泊りセットも持って行ったし・・・?」


「魔女も魔女です!何故今生では会った直後のお兄様を、あっさり泊めるんですか?!年頃の淑女として、あり得ないですよね?!」


「え、でも、龍生よ?」


明菜が小首を傾げる。


「え、待って欲しい。白谷、本当に黒森さんの家に泊まったのかい?」


鳳が話に入ってくる。

モブは黙ってて欲しい。


別に何も無かったぞ?

シングルベッドに2人寝たせいで、ちょっと身体が痛いけど。


「今宵こそは、お兄様と1つになれると・・・雪華は、お兄様のお帰りをお待ちしていたのに・・・!」


「待って、雪華ちゃん?!きみ、往来で何を言ってるの?!」


鳳が雪華をぐらぐら揺らす。


「ぬぬぬ・・・『妹はお兄様と結ばれるのが当然です』」


雪華が力を込めて言葉を発すると・・・鳳が突如、虚ろな目になり、


「うん・・・そうだね・・・妹はお兄様と結ばれるのが当然だよね・・・」


催眠?!


「厨二力の奥に眠る3つの扉の1つ・・・言霊こだま。まさか、本当に使える人がいるなんて・・・」


明菜が呻く。

それもう、厨二とかで片付けて良いのか?


「さあ、お兄様、帰りますよ!」


「「帰らないよ(わよ)!」」


俺と明菜の声がハモる。

そろそろ歩き出さないと遅刻する・・・


「妹はお兄様と・・・妹はお兄様と・・・」


「鳳、正気に戻れえええええ?!」


何だよ、厨二力って。

最早超能力とか魔法とか、その域じゃないのか?!


とにかく鳳を俺と明菜で引きずりながら、学校への道のりを急いだ。


--


「では、転校生を紹介する。白谷雪華、白谷龍生の妹だ」


先生が紹介する。

おかしい。

凄くおかしい。

まず、妹が同じクラスに入ってきている時点でおかしい。


「初めまして。お兄様の妻、白谷雪華です」


雪華の自己紹介。

色々おかしい。


「趣味は蹴鞠けまり骨牌かるたです。特技は、雨乞いです」


ぺこり。

雪華が会釈。

もう、何から突っ込んで良いのやら。

お前の趣味は歌で、あとゲームが好きだよな?


「席は・・・」


担任が部屋を見渡し・・・


「魔女の席が良いです」


雪華が担任に言うと、


「そうだな。じゃあ、黒森、後ろにずれてくれ」


「ええ?!」


明菜が叫ぶ。

まず、魔女じゃない。


「先生・・・私、教科書無いんですが・・・」


明菜が困った様に言うと、


「ふむ・・・そうか、そうだな。じゃあ、白谷妹は、白谷兄の後ろにつくように」


「ええ?!」


雪華が驚きの声をあげる。

もうカオス。


結局雪華は、教科書が無い状態で授業が進む・・・


これからどうなるのだろう・・・

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