(60)自転車
★京丁椎さんからのおたより
テレビのアンテナが有る山は……。もしかすると三重県との境に有る山ではないでせうか?
あ、僕もお腹が空いてます。
すみからの返信
いえいえ、鈴鹿山脈ではなかったです。遥か向こうは岐阜県でした。アンテナも、村の共同アンテナと言うことが、父の話して分かりました。
でも少年にしたら大発見やったんですよ。こんな山奥に電波が届くので。
その頃かな? アマチュア無線の免許を取ろうと思い始めました。やっぱり冒険には無線が必要ですからね。携帯電話もなかったし。(笑)
ほんで、小学生になった私は、自転車と言う冒険道具を手に入れました。もちろん中古ですけどね。近所のお姉さんお下がり。
それを早速、冒険仕様に改造です。
救急箱(キャラメルの箱)を取り付け、食料庫(クッキーが入っていた缶)を設置。水筒や食料(お母さんに作って貰ったおにぎり)を積んで、あっちゃこっちゃ、朝から暗くなるまで走ってました。
で、前話に戻りますが、霊仙山の脇には、北の「醒ヶ井(中山道の宿場町)」から、南の多賀町(彦根市の東)へ抜ける古道がある事を知ったんですよ。
「よし、醒ヶ井から峠を越えて多賀町へ行こう。彦根に出たら、おばあちゃんの家に泊まって、帰ってきたらええわ」
と考え、実行に移します。
救急箱、OK。食料(おやつと菓子パン)、OK。水筒、OK。
準備万端で出発です。
えっ! なんでおにぎりが無いかって?
そう、この時は、親に内緒で出発したので、
「おにぎり作ってー!」
とは、言えませんでした! あはは。
まずは、国道21号線で醒ヶ井まで行き、そこから山へ入りました。
ところが、養鱒場を越えた辺りから、ポツリポツリと雨が降ってきました。山道に入る頃には本格的に降り出して、
「ここで決断しないとあかんなー。冒険家なら、多分撤退するはずや」
なんて一丁前の事をいいながら、帰宅しました。残念でしたが、子どもなりに、ええ経験をしたと誇らしげに帰りました。
その後、このルートの冒険は、大学生になってバイクに乗るまで達成できなかったんです。ってか、忘れてただけかも。
つづく
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