(43)お便りは続くよ、どこまでも

 BGMは、つボイノリオの「吉田松陰物語」では無く……、

 尾形大作で、「吉田松陰の歌」です。

 https://youtu.be/OILd3x9TFC8




《温泉 その11》大山火の神岳温泉(鳥取県西伯郡大山町)


【お便り】十一さんより

スーパー銭湯はたまに行くけど何年と温泉行ってません。鳥取に行った時に大山のふもとのほうに結構温泉があった記憶があるくらいですね。



『すみ』

コメントありがとうございました。大山(標高千七百二十九m)の麓ですかぁ。大山に登った事はあるけど、温泉の記憶ないなぁー。どこだろう?気になりますねー。


 という事で調べてみました。東西35km、南北30kmの山体ですから幾つか温泉が見つかりましたが、その中から一番山に近い大山寺の参道沿いの大山火の神岳温泉「豪円湯院」をご紹介。


 天然温泉(弱アルカリ単純温泉)で、地下千二百mから湧出の日帰り温泉施設。なんと入浴料は380円です。手ぶらで行っても、タオル・アメニティなどの販売もありますし、お食事処もあります。

 露天風呂もありますから、大山を見ながら入りたいですねー。


 大山登山口の直ぐ近くです。いつか子ども達とも登って見たいと思ってましたので、下山時に行きますね。




《温泉 その12》萩阿武川あぶがわ温泉(山口県萩市川上)


【お便り】暗黒星雲さんより

温泉と言えばはぎ温泉。

え?

萩に温泉あったの??

って人多いかもしれませんが、あったんですよ。

某自元小学校のそばから偶然掘削された(マジ)はぎ温泉ですが、その源泉を各旅館へタンクローリーで配送してはぎ温泉郷などと名乗っております。

なんか違う……。


当初(2004年ごろ)単なる海水やろ、しょっぱい水に違いないとか多くの萩市民は思っていたようですが、泉質はカルシウム・ナトリウム塩化物冷鉱泉というやつで、まあ海水ではなく相応の効能があるものでした。

ひらがなで「はぎ温泉」と記載してある施設はこのタンクローリーで配送している偽っぽい温泉になります。もちろん各旅館で沸かしてます。

その他にも自前で温泉掘っている旅館や施設がありますが、それぞれ〇〇温泉と名前つけているようですね。大体泉質は同じ。

宿泊施設ではない温泉もあります。田万川温泉や阿武川温泉ですが、意外と地元の人にも人気ですね。料金が安いんですよ。旅館に行くと800円から1000円取られるのですが、こっちは半額以下になります。


いわゆる温泉郷とはかけ離れたイメージのはぎ温泉郷!!

ご近所によられた際にはぜひお立ち寄りくださいな。



『すみ』

 お便り&情報をありがとうございました。

 偶然ですが、なんと阿武川温泉に行ったことがあるんです。今、思い出しました。


 阿武川ダムの真下にある、萩阿武川温泉「ふれあい会館」(アルカリ性単純温泉)ですよね。地下千mから湧出し、「美人の湯」として評判なのか地元の方も沢山来られてましたね。


 この温泉、ちょっと話が長くなりますが、ひょんなことから私は知ったのです……。



 ある年の3月末、年度替わりに珍しく4日程休みが取れましたから、このチャンスに何処かへ行こうと計画しました。

 目指すは本州最西端って事にして、さー所持金はなんぼかなとポケットを確認すると三千円少々。


「ガッカリ」


 では無く、


「これならなんとか帰って来れる!」


 と喜びました。そうです。バイク&野宿&自炊なら0円でも可能です。(ガソリンはカードが使えます)

 しかも1リットルのガソリンで50キロは走れるとても経済的なホンダのCD90BENLYベンリーというバイクです。昔、交番のお巡りさんが乗ってた黒いやつです。通称「ゴキバイ」(ゴキブリみたいに黒くて何処からともなく湧いてくるバイクの略かなぁ?)。


 早速、カメラ機材と寝袋、自炊道具、インスタントラーメン(関西限定・ハウスの好きやねん)、着替え等を装備し、夜の8時に出発!


「あれ、雨かぁ……」


 下宿を出る時から雨でした。ですのでレインスーツを着ての走行です。

 京都から国道9号線を北上し、本州最西端の山口県を目指します。


 途中風雨が強く走るのが辛かったので、深夜を走る大型トラックの直ぐ後ろ3m位を追走します。スリップストリームってやつですね。90ccの原付バイクですが、軽々とトラックの後ろを付いて行けました。


 それでもやっぱり春の雨は冷たく辛い。途中、鳥取県鳥取市まで来て心が折れました。市内を彷徨って鳥取大学付近の24時間やってるコインランドリーに入り、100円の乾燥機で濡れた服を乾かしましたね。パンイチにウインドブレーカー姿の私。女学生が入ってきたら変質者扱いですね。乾くまでドキドキしてましたが無事でした。


 そこからまた雨の中を走ります。幾つか温泉街を抜けました。


「温かい温泉に入りたいなぁ」


 と思いましたが、当然夜中ですからやってません。しょうがないので我慢して走ります。


 米子を通過し島根県へ。松江、出雲を通過し、浜田を越えた当たりで日の出です。

 雨が上がり、太陽が出てくると気温が上がってそれと共に眠気が襲ってきます。益田を越え、山口県に入った途端にどうしても我慢できなくなり、国道9号線の沿いの海岸で仮眠です。


 それでも30分程で起きました。本州最西端から海に沈む夕陽をどうしてもこの日に見ておきたかったので、また走り出します。


 そして萩市内に入りました。幕末の歴史に全く弱い私でも吉田松陰ぐらいは知ってましたのでちょこっと見学します。恐る恐る「松下村塾」を見に行きました。


 なぜ「恐る恐る」かと言うと、私は滋賀県彦根市出身だからです。そう、「安政の大獄」で吉田松陰を処刑した大老・井伊直弼の居城彦根城のお膝元。もしかして彦根市出身ってのがバレたら「酷い目に合わされるかも」と勝手に想像してたのですが、そんな事は無かったです。あはは。


 萩城跡周辺の無料で見学出来る所を周っていると、お腹が空いてきました。ですので萩城跡の隣、「石彫公園」にバイクを停め、その先の浜辺付近で自炊をする事にしました。


 私が自炊でラーメンを作ろうと準備をしていると、そこへホームレス風の、いや正真正銘のホームレスのおじいさんがやってきます。私の数メートル隣に座り、薪を燃やして持参の鍋で料理を作り出しました。


 私は構わずラーメンを作ってると、隣からとてもいい匂いがしてきました。

私がラーメンを食べてると、そのホームレスのおじいさんに呼ばれます。


「こっちに来て一緒に食べないか」


 と声を掛けられます。ラーメンだけでは少し足りなかった私は、鍋の中を覗かして貰います。野菜たっぷりのなんと美味しそうな煮込みうどん。少し沢山作り過ぎたそうなのでお礼を言って頂きました。めっちゃ美味しかったです。


 食べてからもいろいろお話しをしました。

 私が京都から来たと言うと、大層懐かしそうに、昔、京都は丹波のマンガン鉱で働いていた頃の苦労話しをして下さいました。

 何年も家に帰らずマンガン鉱で働いてたら、奥さんと息子達は家を出てしまってて、萩に帰ってきた時は誰も居なかったそうです。

 その後、風の便りで、


「嫁さん達は京都府の南部のある街で暮らしているらしい」


 と言っておられました。


 そのある街ってのが私が勤務してた所の直ぐ隣でしたから、もしかしたら何か知ってるかも知れないと思っておじいさんの名前を聞きます。


「『あんの』と言います」

「あんの? どんな字ですか」

「阿武川ってあるやろう。阿武あぶって書いて、『あの』とか『あんの』て読むんや」


 マジかぁ!!!


 私はびっくりしてしましました。いつも勤務帰りに止まる交差点の近くに「阿武」って表札の家があり、「変わった名前やなぁ」と思って記憶に残ってました。

 それで私は、


「『阿武あんの』って家を知っています。もしかしたら、おじいさんの家族の家かも知れません。なんとかおじいさんと出会った事を伝えてみます」


 と言い、承諾を得ておじいさんの写真も撮らせて貰いました。


 そんな偶然の出会いに話しは盛り上がり、まだ雨で濡れ冷えたままの僕は、この近くに温泉は無いかと訪ねます。

 それで教えてもらったのが、萩阿武川温泉「ふれあい会館」です。当時、確か200円で入れる割引券も貰いましたね。


 萩阿武川温泉はそういった不思議な出会いの温泉でした。


 おじいさんにお礼と消息を伝える事を約束して別れました。

 その後、私は温泉に浸かり、温泉の気持ちよさと偶然の出会いに感動し、1時間も長居をしてしまいました、とさ!


 すいません、長くなってしましました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る