(9)露天風呂といえば……

 大臣さん、★ありがとうございました!



 で、露天風呂つながりでもうひとつ。


 BGMはこれです。↓ ダークダックスで「山男の歌」

 https://youtu.be/xPvcXNFc16U


 20代後半は、暇があれば山に登ってました。山へ何日も入ってテント生活をしてますから下山する頃は身体も相当臭くなってます。そやし下山すると必ず温泉に入ってから帰えります。


 岐阜県側から北アルプス(飛騨山脈)に登った時は、奥飛騨温泉郷・新穂高温泉からちょっと外れた「深山荘」と言う宿の岩で出来た露天風呂に必ず入ります。大学のワンゲル部時代からの、しかも先輩から代々受け継ぐ伝統でした。


 完全無欠の100%源泉掛け流しで、蒲田川に面した開放的な露天風呂です。幾つもの浴槽が段々畑みたいになっていて、一番下は川面とほぼ同じ高さでしたね。夏ならそのまま川で泳ぐことも出来ました。

 秋なら紅葉、冬なら雪山を見てビールを飲みながら湯に浸かるのが最高でした。


 ある年の冬、槍ヶ岳(3180mの日本第5位)に登って下りてきた時の事です。いつもの様に「深山荘」で露天風呂に入ります。

 気温は2、3度やったんで早々に身体を洗って湯船に浸かります。そしていつもの様に上から2段目の浴槽に飛び込もうとした時です。


 2段目の浴槽にはまだホースで新しいお湯を入れてるところでした。そんなら一番に入ってやれとジャンプして飛び込みます。ところが湯船に着地した瞬間、私の足に感じたのは冷たい水の感触。


「なんや、これは水か!」


 と感じたんは一瞬で、次の瞬間にはめっちゃ熱い感覚が足から伝わって来ます。ほんまに熱い湯に入ると、温度感覚が狂いますね。


「やばい、火傷する!」


 と思て、慌てて湯船から出ようとしますが、水圧でなかなか進めません。ヤカンから熱湯を掛けた様に熱く、


「このままでは子どもが作れんようになる!」


 という危機感が募りますが、急げば急ぐほど焦って足が滑り、転んで全身が湯に浸かってしまう事も。


 それでも何とか湯船から出て、蛇口から桶に水を入れて被りますが、それでは全然冷やせません。

 それを見てた先輩OBが、


「それやったら川に飛び込め」


 と言うもんやから、川に走って行きます。


 丁度20メートル程離れた対岸には穂高登山やロープウェイの客向けの無料駐車場があります。

 たまたまですが、その駐車場に女の子の集団が集まっていて、フルチンで川に向かって走ってくる私を見つけたもんですから一斉に悲鳴が起こります。


 僕も冷やすので必死ですから、そんな悲鳴に構ってる余裕はありません。川の中央の深い所に向かって、ナニをぶらぶらさせながら進みます。


 それをどう勘違いしたかその女の子の集団から変態扱いされて、終いには石まで投げつけられた事もありました。

 逃げまとう女の子を尻目に僕は冷たい川の水で身体を冷やし、何とか助かりました。


 後で宿の主人に、


「2段目の湯船はめっちゃ熱いですね」


 と聞いて見ると、


「あそこに入ったんですか? あれはまだ源泉を入れてる途中ですよ。80度の源泉です。看板置いといたんですけどねー」


 と言うてびっくりされてました。看板があっても1段目から飛び込んでるからそんなもんは見えませんでした。


 帰ってから足を見てみると、夏に日焼けしたみたいに皮がめっちゃ捲れましたが、後にちゃんと二人の子どもを授かったんで、男の大切な所は無事やったみたいです。


 露天風呂と言うと、この話を思い出してしまうすみこうぴです。

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