第14話

 過酷な夏がやってきました。


「弟が死んだの」少女は泣き崩れました。


「それは残念だ」地雷は言いました。


「小麦畑で遊んでいた時なの」少女は言いました。


「それは残念だ」地雷は言いました。


「ヘリコプターから何かばら撒[ま]かれたの」少女は言いました。


「関わるな!」地雷は激しく言いました。


「弟がそれにさわったらしく突然爆発したの」少女は狂ったように泣きました。


「それは空中散布式地雷だ」地雷は偉そうに言いました。


「また地雷なの?」少女はにらみました。


「そいつは地に隠れず、堂々と姿を現して興味を引くのだ」地雷は言いました。


「なんでそんな物がこの世にあるの?」少女は激しくにらみました。


「戦争があるからだ」地雷は答えました。


「なんのためにわたし達みたいな村人を狙うの?」少女は激しく泣きました。


「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。


「手足が溶けて、顔がなかったわ」少女はさらに泣きました。


「悲惨だ」地雷は言いました。


「地雷は最悪よ!」少女は泣きました。


「同感だ」地雷は言いました。

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