第12話

 秋になりました。


「姉さんが死んだの」少女は屈みこんで泣きました。


「それは残念だ」地雷は言いました。


「結婚したばかりなのに」少女はさらに泣きました。


「悲惨だ」地雷は言いました。


「水汲みの途中に地雷を踏んだの」少女はにらみました。


「それは残念だ」地雷は言いました。


「水色のブルカは穴だらけで真っ赤に染まっていたの」少女はさらににらみました。


「それは破片型地雷だ」地雷は偉そうに言いました。


「あなたと違うの?」少女は訊ねました。


「種類が違う」地雷は言いました。


「どう違うの?」少女はさらに訊ねました。


「わたしは爆発するだけだ。あいつはさらに破片をとばす」地雷は答えました。


「人を傷つけるには変わりないよ」少女はにらみました。


「同感だ」地雷は言いました。


「旱魃のせいで食べ物がないの」少女は言いました。


「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。


「家畜が盗まれて畑が耕やせないの」少女はさらに言いました。


「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。


「ソ連兵も嫌いだけど、地雷も嫌い」少女は泣きました。


「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。

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