第10話

 再び春が訪れました。


「兄さんが死んだの」少女は屈みこんで泣きました。


「それは残念だ」地雷は言いました。


「カブールで傷を受けて病院にいた時なの」少女は言いました。


「それは残念だ」地雷は言いました。


「病院がミサイルに狙われたらしいの」少女は言いました。


「悲惨だ」地雷は言いました。


「胸から上が失[な]くて兄さんに見えなかった」少女は泣きました。


「悲惨だ」地雷は言いました。


「もう兄さんの凧揚げは見られない」少女はさらに泣きました。


「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。


「ソ連兵が憎らしい」少女は言いました。


「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。

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