第6話
秋になりました。
「ソ連兵を多く見かけるの」少女は屈みこんで言いました。
「関わるな!」地雷は激しく言いました。
「カブールへ向かう道を装甲車の上に乗って通るの」少女は言いました。
「関わるな!」地雷はさらに激しく言いました。
「たまに村の近くで戦車を見かけるの」少女はさらに言いました。
「関わるな!」地雷はより激しく言いました。
「わたしソ連兵が大っ嫌い」少女は顔をしかめました。
「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。
「全員ムジャーヒディーンに殺されてしまえばいいのに」少女は言いました。
「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。
「村の多くの男の人がムジャーヒディーンになったよ」少女は言いました。
「地雷に気をつけろ」地雷は力をこめて言いました。
「世界中から人が集まり、ムジャーヒディーンが増えてるらしいの」少女は誇らしげに言いました。
「地雷に気をつけろ」地雷は力をこめて言いました。
「父さんも『ジハードだ!』と言って戦いたがっているの」少女は言いました。
「やめておけ」地雷は言いました。
「姉さんも」少女はさらに言いました。
「やめておけ」地雷は言いました。
「でも畑仕事があるからって父さんは悔やんでいるの」少女は言いました。
「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。
「姉さんも『男に生まれたかった』と嘆いているの」少女はさらに言いました。
「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。
「わたしも男に生まれたかった」少女はあごを膝頭にのせました。
「やめておけ」地雷は言いました。
「わたし早く結婚して男の子をたくさん産むの」少女は言いました。
「それはなによりだ」地雷は言いました。
「ヒンドゥークシュのようなたくましい男に育てて祖国を守らせるの」少女は目を大きく開きました。
「武器を持たない男に育てろ」地雷ははっきりと言いました。
「ねえ、弟がかわいいの」少女は言いました。
「わたしの知ったことじゃない」地雷は言いました。
「一昨日初めて立ったの」少女はうれしそうに言いました。
「地雷に気をつけろ」地雷は力をこめて言いました。
少女はうれしそうに地雷に腕を伸ばしました。
「さわるな!」地雷は怒鳴りました。
少女は笑いながら腕を引っ込めました。
「小麦の種蒔きは終わったよ」少女は言いました。
「それはなによりだ」地雷は言いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます