俳句2句短歌1首「秋の艶奏会」
暖求め 机下をうごめく 黒タイツ
秋が深まり、古き学び舎ではほのかな冷えが床を這い始める。春夏とそぞろに空をぶらついていた足も、今は暖を求めて互いに寄り添い合っているのであった。
熟れ時の 栗をつついて 舌鼓
膨れ上がって身の詰まった栗の皮を丁寧に優しく剥いてやる。ふっくらとした実からは円熟味がこれでもかとムンムンに放たれており、味わわれる時を今か今かと待ち侘びているようであった。無意識によだれが垂れて舌なめずりをしてしまう。
舌先でそっと実に触れてやると、それだけで深みのあるフレーバーが脳の奥にまで伝わってきた。じっくりと少しずつ少しずつと意識していても、自ずと食指を急かして貪りたくなってしまう。
こいつは一級品だ。
眉ひそめ 熱に浮かれる 柳腰
はらり落つる 髪も芳し
柳のようなたおやかな体が胴の上で躍動する。根本は私の根と深く深く絡み合って抽送し、幹は倒れ込まぬよう枝のような細腕に支えられ、枝垂れた髪の香が眼前に漂う。君は眉をひそめているのに何だか嬉しそう。
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